急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感

Abstract

急性期病院に勤務する看護師が認知症高齢者をケアする上で困難だと感じていることを明らかにする.200床以上の急性期病院に勤務する看護師115名に自記式質問紙調査を実施した.分析は,Krippendorffの内容分析を参考に,意味文脈を重視しながら意味のまとまりのある文脈に区分し,1文脈1単位とし,それぞれのデータについて,意味内容の類似したものについてまとめ,カテゴリーとサブカテゴリーに類型した.有効回答は 105名(91.3%)であり,平均年齢34.4歳,認知症看護経験平均年数7.4年であった.分析の結果,69の文脈が得られ3のカテゴリー,11のサブカテゴリーが得られた.カテゴリーは《認知症の症状に関連する困難》,《看護師としての職責に対する葛藤》,《認知症専科でない病棟に起因する困難》の3つに類型された.本研究では,急性期病院の看護師は,認知症の中核症状やBPSDに対応することに困難を感じていた.また,患者の尊厳を大切に看護したいとの思いがあるが,安全重視のために拘束をせざるを得ないジレンマを抱えていた.一般病棟は,重症患者と認知症患者を多く受け持つことやこの両者の安全を守らなければならないこと,認知症高齢者の不穏な行動がその他の患者の入院生活に影響を及ぼしていることに困難を感じていることが示唆された.今後,本研究で得られたカテゴリー,サブカテゴリーから項目を作成し,急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師を対象に質問紙調査を実施し,認知症看護の困難感について実態を明らかにし,関連する要因を検討していくことが望まれる

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