国立国語研究所国立国語研究所National Institute for Japanese Language and LinguisticsNational Institute for Japanese Language and Linguistics第10回コーパス利用講習会，オンライン，2021/03/04 (木) 10:00-12:00，国立国語研究所音声言語研究領域・コーパス開発センタ

Hanae Koiso

Wakako Kashino

小磯 花絵

柏野 和佳子

application/pdf国立国語研究所国立国語研究所National Institute for Japanese Language and LinguisticsNational Institute for Japanese Language and Linguistics第10回コーパス利用講習会，オンライン，2021/03/04 (木) 10:00-12:00，国立国語研究所音声言語研究領域・コーパス開発センターconference objec

柏野, 和佳子

カシノ, ワカコ

小磯, 花絵

コイソ, ハナエ

Kashino, Wakako

Koiso, Hanae

Academic Repository of the National Institute for Japanese Language and Linguistics / 国立国語研究所学術情報リポジトリ

国立国語研究所学術情報リポジトリ『日本語話し言葉コーパス』語種構成表(Version201803)著者 柏野 和佳子, 小磯 花絵URL http://id.nii.ac.jp/1328/00003266/Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja『日本語日常会話コーパス』 (2018年度版)の調整頻度を活用した分析柏野 和佳子 小磯 花絵©2021 NINJAL 1「度数・頻度」「粗頻度」• 度数・頻度：コーパスから取り出された生の値。• 粗頻度 raw frequency：コーパスから観測された頻度情報。rawには、「生の、未加工の」といった意味があり、コーパスから取り出された状態のまま、調整を加えていないことをふまえ、このように呼ぶ。• 粗頻度の特性：元となったコーパスサイズの情報が含まれていない。「10回」という粗頻度が1万語コーパスから得られた10回なのか、100万語コーパスから得られた10回なのか示されていない。↓サイズの異なるコーパスから取り出された粗頻度は互いに比較できない。石川慎一郎「ベーシックコーパス言語学」ひつじ書房(2012)p.113-1142「調整頻度」• 調整頻度 adjusted frequency ：異なるコーパスから得られた頻度の相互比較が可能になるよう、粗頻度を一定の基準によって調整した値のこと。• 調整頻度の特性：– たとえば、500万語コーパスから得られた10回と、2,000万語コーパスから得られた30回を、そのまま比較することに意味がない。– 共通の物差しを用意して、個々の頻度をそれにあわせて調整する必要がある。– 最も単純な方法は、度数÷総度数 で求めること。• 0.000002回(10÷500万)と、0.0000015回(30÷2,000万)※あまりに値が小さく、扱いがたい。→ 単純な相対頻度に変えて、調整頻度を用いる。石川慎一郎「ベーシックコーパス言語学」ひつじ書房(2012)p.1143「PMW」• 調整頻度の基準値にはさまざまな値を使用できるが、値をある程度大きくして読み取りやすくするために、コーパス研究では、通例、「100万語あたり調整頻度」が使用される。• PMW per million words：100万語あたり調整頻度は、英語の頭文字をとり、PMWと表記する。• 0.000002回(10÷500万)×100万=2回• 0.0000015回(30÷2,000万)×100万=1.5回• ただし、常にPMWが適当なわけではない。100万語未満のコーパスには不適とする立場がある。– 調整しようとするすべてのコーパスサイズの下限値を超えない範囲で最も大きな10の乗数(1万、10万、100万、1,000万…を選ぶのが原則。石川慎一郎「ベーシックコーパス言語学」ひつじ書房(2012)p.115                                 4『日本語日常会話コーパス』（ CEJC）現在構築中，モニター版を公開中5『日本語日常会話コーパス』は，国立国語研究所の機関拠点型基幹研究プロジェクト「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」（プロジェクトリーダー：小磯花絵）の研究成果です。http://pj.ninjal.ac.jp/conversation/「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」(約10分半)https://youtu.be/HksF4QtbrI8一般の協力者に依頼し，日常に生じる自然な会話200時間を記録映像・音声を含めて収録・公開多様な場面・話者を対象『日本語日常会話コーパス』語数表①(2018年度版)6形式名 会話数 会話時間 語数雑談 84 36.0 434,541 用談相談 23 11.3 122,017 会議会合 9 3.0 52,769 合計 116 50 609,327 場面名 会話数 会話時間 語数自宅 28 12.7 122,727 職場 8 2.3 32,723 学校 8 3.8 53,207 施設 48 20.6 261,987 室内 15 6.9 92,495 屋外 5 1.9 20,957 交通機関 4 2.1 25,231 合計 116 50 609,327 年齢 男性 女性 計10代以下 24,044 5,270 29,314 20代 60,269 41,198 101,467 30代 37,201 64,415 101,616 40代 44,391 96,987 141,378 50代 32,051 81,729 113,780 60代 23,476 38,910 62,386 70代以上 37,978 17,592 55,570 不明 773 3,043 3,816 合計 260,183 349,144 609,327 https://www2.ninjal.ac.jp/conversation/cejc-monitor/cejc-wc.html『日本語日常会話コーパス』語数表②(2018年度版)7https://www2.ninjal.ac.jp/conversation/cejc-monitor/cejc-wc.html話者間の関係性 語数(記号等除外・全て)サービス場面関係 11650家族 162578家族・親戚 62614仕事関係 24146仕事関係・同僚 2426仕事関係・友人知人 7895先生生徒 14481先生生徒・友人知人 8581先生生徒・友人知人・同僚 9832同僚 26706友人知人 234916友人知人・家族 21287友人知人・家族・初対面 6382友人知人・仕事関係 4137友人知人・仕事関係・初対面 2717友人知人・先生生徒・仕事関係 8979総計 609327話者間の関係性 語数(記号等除外・全て)家族 162578家族・親戚 62614友人知人 278418同僚 26706先生生徒 32894仕事関係 34467接客 11650総計 609327【分析①】助動詞「です」の語形の出現傾向☞ 尾崎（2002）の指摘のとおり若い男性が使用している？助動詞「です/ます」の縮約形例：早いです（形容詞＋です） → 早いっすご飯です（名詞＋です） → ご飯すやります （動詞＋ます） → やるっす※ 20代・30代の若い男性を中心に使われている。女性はあまり用いない。60歳以上では男女ともに使用は見られない。尾崎喜光（2002）「新しい丁寧語「（っ）す」」『男性のことば・職場編』 pp.89-98, ひつじ書房語彙素「です」の階層構造語彙素です語形デスッスデチュデシュ書字形ですっすでちゅでしゅす語彙素「です」の階層構造語彙素です語形デスッスデチュデシュ書字形ですっすでちゅでしゅす①語彙素「です」で検索語彙素「です」の階層構造語彙素（語彙素読み）です語形デスッスデチュデシュ書字形ですっすでちゅでしゅす②検索結果から、４つの語形のうち、今回対象とする「デス」と「ッス」の頻度をもとに、各語形の出現率を計算語彙素「です」の階層構造語彙素です語形デスッスデチュデシュ書字形ですっすでちゅでしゅす語形「ッス」には、書字形として、「っす」と「す」が含まれる例）面白いっす、ご飯す形容詞＋です 早いです → 早いっす名詞＋です ご飯です → ご飯す動詞＋ます やります → やるっす形容詞＋です 早いです → 早いっす名詞＋です ご飯です → ご飯す動詞＋ます やります → やるっす形容詞＋です 早いです → 早いっす名詞＋です ご飯です → ご飯す動詞＋ます やります → やるっす◀限定【分析①】検索条件 前方共起条件： 品詞「形容詞」、活用形「終止形」キー： 語彙素「です」、品詞「助動詞」、活用形「終止形」形容詞（終止形） or 名詞 ＋「です/(っ)す」 （終止形）のパターンに着目して分析ステップ１【分析①】ステップ2 検索履歴から検索条件式を編集キー: (語彙素="です" AND 品詞 LIKE "助動詞%" AND 活用形 LIKE "終止形%")  AND 前方共起: (品詞 LIKE "形容詞%" AND 活用形 LIKE "終止形%")             ON 1 WORDS FROM キーWITH OPTIONS tglKugiri="|" AND tglBunKugiri="#" AND limitToSelfSentence="1" AND tglWords="20" AND unit="1" AND encoding="UTF-16LE" AND endOfLine="CRLF"前方共起の条件で、形容詞（終止形）に加えて名詞を OR条件 を使って追加キー: (語彙素="です" AND 品詞 LIKE "助動詞%" AND 活用形 LIKE "終止形%")  AND 前方共起: ( (品詞 LIKE "形容詞%" AND 活用形 LIKE "終止形%")  OR品詞 LIKE "名詞%" )ON 1 WORDS FROM キーWITH OPTIONS tglKugiri="|" AND tglBunKugiri="#" AND limitToSelfSentence="1" AND tglWords="20" AND unit="1" AND encoding="UTF-16LE" AND endOfLine="CRLF"各語形の出現率【分析①】「っす」が全体の2割弱と少なからず見られる※「でしゅ」「でちゅ」は幼児語 ・・・ このあとの分析からは除外【分析①】性別との関係男性の方が女性よりも「っす」を多く用いる【分析① 】年齢との関係20〜40歳の若手の方が「っす」を多く用いる【分析① 】性別・年齢との関係男性は若い世代ほど「 っす」を用いるという傾向が顕著に見られる。女性はどの世代もあまり用いない。【分析②】縮約の出現傾向☞ 日常会話では縮約はどの程度 使われている？接続助詞「て/で」 + 動詞「いる」 → てる/でる （例： 見ている→ 見てる）接続助詞「て/で」 + 動詞「おく」 → とく/どく （例： 取っておく → 取っとく）接続助詞「て/で」 + 動詞「しまう」 → ちゃう/ぢゃう （例： 死んでしまう →死んじゃう）接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」 → ちゃ/ぢゃ （例： 書いてはだめ → 書いちゃだめ）準体助詞「の」＋助動詞「だ」終止形 （例： 見るのだけど → 見るんだけど）助動詞「で」+係助詞「は」 → 「じゃ」 （例： 好きではない→ 好きじゃない）動詞仮定形 +接続助詞「ば」 → 融合 （例： 知れば → 知りゃ）[こそあ]れ+係助詞「は」 → [こそあ]りゃ （例： これは → こりゃ）接続助詞「て/で」 + 動詞「いる」 → 助動詞「てる/でる」例： 見＋て＋いる → 見＋てる飲ん＋で＋いる → 飲ん＋でる語彙素て品詞：接続助詞語形テデチャジャ＋語彙素居る品詞：動詞語形イルオルイレル＋動詞例）見る飲む接続助詞「て/で」 + 動詞「いる」 → 助動詞「てる/でる」例： 見＋て＋いる → 見＋てる飲ん＋で＋いる → 飲ん＋でる連用形語彙素てる品詞：助動詞語形テルデル＋動詞例）見る飲む接続助詞「て/で」 + 動詞「いる」 → 助動詞「てる/でる」例： 見＋て＋いる → 見＋てる飲ん＋で＋いる → 飲ん＋でる連用形【分析②-1】 接続助詞「て/で」 + 動詞「いる」  → てる/でる 検索条件 前方共起： 品詞：動詞キー： 品詞（中分類）「助詞-接続助詞」、語彙素「て」後方共起： 語彙素「居る」、語形「テル」ステップ１ステップ2 検索条件 前方共起： 品詞：動詞キー： 品詞「助動詞」、語彙素「てる」 ※縮約形「てる」は助動詞検索結果から接続助詞「て」の語形が「チャ」「ジャ」があれば除く※実際はなし「て+いる」の縮約形「てる」日常会話では縮約形「てる」が多用される【分析②-1】接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」 → 接続助詞「ちゃ/ぢゃ」例： 見＋て＋は → 見＋ちゃ飲ん＋で＋は → 飲ん＋じゃ語彙素て品詞：接続助詞語形テデチャジャ＋語彙素は品詞：係助詞語形ハ＋動詞    接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」  → 接続助詞「ちゃ/ぢゃ」 例： 見＋て＋は →   見＋ちゃ飲ん＋で＋は →   飲ん＋じゃ例）見る飲む連用形語彙素 語形テデチャジャ＋動詞接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」 → 接続助詞「ちゃ/ぢゃ」例： 見＋て＋は → 見＋ちゃ飲ん＋で＋は → 飲ん＋じゃて品詞：接続助詞例）見る飲む連用形【分析②-2】 接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」 → ちゃ/ぢゃ検索条件    前方共起：  品詞：動詞                      キー：品詞（中分類）「助詞-接続助詞」、語彙素「て」                      後方共起：品詞（中分類）「助詞-係助詞」、語彙素「は」ステップ１【分析②-2】 接続助詞「て/で」 + 係助詞「は」 → ちゃ/ぢゃステップ2a 検索条件 前方共起： 品詞：動詞キー：品詞（中分類）「助詞-接続助詞」、語彙素「て」、語形「チャ」※縮約形「ちゃ」は接続助詞「て」の一語形「チャ/ジャ」キー: (品詞 LIKE "助詞-接続助詞%" AND 語彙素="て" AND 語形="チャ")  AND 前方共起: 品詞 LIKE "動詞%" ON 1 WORDS FROM キーキー: (品詞 LIKE "助詞-接続助詞%" AND 語彙素="て" AND 語形 LIKE " [チジ]ャ") AND 前方共起: 品詞 LIKE "動詞%" ON 1 WORDS FROM キーステップ2b    検索履歴から検索条件式を編集「て/で+は」の縮約形「ちゃ/じゃ」縮約形「ちゃ/じゃ」と元の形「て/で+は」は同程度に用いられる46%54%チャテハ【分析②-2】  話者間の関係性同僚や先生生徒の間では縮約より元の形を用いやすい【分析② -2】動詞仮定形 ＋ 接続助詞「ば」 → 動詞融合形例： 見れ ＋ ば → 見りゃ飲め ＋ ば → 飲みゃ語彙素ば品詞：接続助詞語形バ＋動詞仮定形-一般例）見れ飲め動詞仮定形 ＋ 接続助詞「ば」 → 動詞融合形例： 見れ ＋ ば → 見りゃ飲め ＋ ば → 飲みゃ動詞仮定形-融合例）見りゃ飲みゃ動詞仮定形 ＋ 接続助詞「ば」 → 動詞融合形例： 見れ ＋ ば → 見りゃ飲め ＋ ば → 飲みゃ【分析②-3】 動詞仮定形 +接続助詞「ば」 → 融合検索条件 前方共起： 品詞：動詞、活用形（小分類） 「仮定形-一般」キー：品詞（中分類）「助詞-接続助詞」、語彙素「ば」ステップ１ステップ2 検索条件 キー： 品詞：動詞、活用形（小分類）「仮定形-融合」動詞仮定形 +「ば」の融合形動詞仮定形 +「ば」の融合形は全体の約1割程度しか用いられない【分析②-3】性別・年齢との関係女性より男性の方が「動詞仮定形+ば」の融合形を用いやすい年配の世代の方が「動詞仮定形+ば」の融合形を用いやすい【分析②-3】話者間の関係性同僚や先生生徒の間では融合形より元の形「動詞仮定形+ば」を用いやすい【分析②-3】42【イベント】国立国語研究所シンポジウム「日常会話コーパス」VI 2021年3月4日（木）13時から、Webにて開催（参加無料、要参加申し込み）詳細・申し込み方法：https://www2.ninjal.ac.jp/conversation/event/sympo6.html

『日本語日常会話コーパス』（2018年度版）の調整頻度を活用した分析

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『日本語日常会話コーパス』（2018年度版）の調整頻度を活用した分析

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