KAWAMOTO Kiyoshi

SATOU Manabu

佐藤 学

川本 清

SATOU, Manabu

5517

佐藤, 学

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サトウ, マナブ

KAWAMOTO, Kiyoshi

5583

川本, 清

kawmt

カワモト, キヨシ

Hachinohe Institute of Technology Repository / 八戸工業大学学術リポジトリ

八戸工業大学紀要 第 40巻（2021） pp.159-163 - 159 -  見たらわかる、もっとわかる、 実験実習アーカイブの制作 佐藤 学†・川本 清††  "Looking deepens your understanding" Creating supplementary materials with videos Manabu SATOU† and Kiyoshi KAWAMOTO††   ABSTRACT    We created videos at hand as one way to convey the work in experiments and practical training to students in an easy-to-understand manner, intending to contribute to the evolution of means and methods for communicating the work in the educational field in an easy-to-understand way. Mainly in "physics experiments," it is useful from utilizing videos as an alternative to showing in front of students, which is essential for students with little experience, and promoting understanding of movements and three-dimensional positional relationships. There were. Also, it was useful in grasping the difficulty of knowledge from the viewing status of the video. Key Words: Improvement in education method, Experiments and practical training, Supplementary materials キーワード : 教育改善，実験実習科目，補助教材，物理学実験，機械工作実習，機械材料工学 1. 緒言  教育現場での伝える手段は時代とともに変化発展している。教室での板書を中心とした要点記述と教員の音声による説明を組み合わせた伝達方法から、板書の代替としてプレゼンテーションソフトウエアを用いた分かりやすく伝達情報量の多い表現方法に変化している。また近年の情報通信技術の著しい発展より動画発信にかかる負荷は相対的に低減しており、YouTubeなどで気軽に動画による情報伝達共有が進んでいる。教育現場でも、さらに分かりやすく伝えるための手段方法の進化が必要でありまた可能な状況になりつつある。 一方、中学校や高等学校では、かつてに比べて実験や実習の時間数が少なくなっている。家庭でも実物道具を用いた実体験がなく、実験・実習の想像がつかない学生も見られる。本学における実験・実習科目として、例えば工学部1学年共通科目「物理学実験」や工学部機械工学科3学年専門科目及び教職科目「機械工作実習」があるが実体験に乏しい学生への配慮も必要となっている。学生数に対応した教職員数が確保できれば、学生の目前でやってみせることができたし、可能な限り実施している。しかしながら、   令和  2 年 12 月 7 日 受付  † 工学部機械工学科・教授  †† 基礎教育研究センター・教授 八戸工業大学紀要 第 40巻 - 160 - 教職員数が限られる現状ではやって見せることを試みても、大人数教室では、手元が見えない。そのほかの各学科の実験・実習科目でも同様であろう。また、専門的な技能技術に関する分野では技術員の高齢化、技能伝承の視点も必要である。 実験や実習等での作業を分かりすく学生に伝える方法の一つとして、手元動画を制作し、本学の教育現場でのさらに分かりやすく伝えるための手段方法の進化に資することを目的とする。 手元動画は学生が取り組みやすい事前学習の教材として、学生の理解度・満足度の向上が期待される。また、時間超過しがちな実験・実習時間の時間管理という点からも効果が期待される。さらに学生の学習意欲の向上に繋がる教育方法の改善が期待される。 基本的な工作作業や測定作業だけでなく、優れた技能を伝承するための手法としての手元動画の撮影も試みる。本学工作技術センターでは一級技能士や溶接技術者の資格を有し優れた技能を有する職員が学生指導の一部を担っている。長年にわたって蓄積された技能を伝達したり引き継いだりすることは容易ではない。限られた人員で可能な限りの技能伝承の試みとして手元動画の制作を行う。特に溶接作業では、作業者目線から見える溶融池付近の様子が出来栄えに関連する。強い光が生じ十分な減光と明暗差を同時に満たし、作業者目線に近い位置からの撮影を可能とする機材が必要となる。撮影技術としての工学的な研究課題としての側面も目的とする。 2. 経過と成果概要  2.1 プロトタイプ動画制作  実験や実習等での作業を分かりすく学生に伝える方法の一つとしての手元動画の撮影および編集を行った。1学年前期および後期に「物理学実験」で実施している、「基礎実験1．長さと質量の測定」、「基礎実験3．電気回路の基本測定  図 1   基礎実験１動画スクリーンショット   図 2  基礎実験３動画スクリーンショット   図 3  基礎実験5動画スクリーンショット 振り子の取り付け切れ込みの奥に取り付けるとぶつかる 図 4  基礎実験5パワーポイント説明図  図 1   基礎実験１動画スクリーンショット 見たらわかる、もっとわかる、実験実習アーカイブの制作（佐藤・川本） - 161 - 〜テスターの使い方、ハンダ付け〜」、「基礎実験5．ボルダ振り子による重力加速度の測定」の実験テーマに関わる動画を撮影した。図1から図3にそれぞれの動画のスクリーンショットを示す。 撮影は、デジタルハイビジョンビデオカメラ HC-V360MS（パナソニック(株)製）を用い手持ちまたは三脚に固定して行った。編集は、Adobe Premiere Proを用いて行った。   2.2 プロトタイプ動画の評価と改善  制作したプロトタイプ動画は本学e-ラーニングサイトHIT-LMSの「物理学実験」サイトに掲載した。学生は自由に閲覧可能となった。プロトタイプとして動画撮影した基礎実験1と基礎実験3では、学生がひとりひとり道具を使って実験作業を行う。工業高校等での実習の経験がある学生と経験がない学生では、指示説明の受け取り方に違いが生じているので、伝わりやすい工夫が必要である。何の説明をしているのか伝わりやすいよう要点を文字で書込みしている。また、３次元的な動きについては図4で示すようなパワーポイントの説明では伝わりにくいが、図3で示す動画では、支持台とチャックの位置関係や動きを直接示すことができるので伝わりやすい。学生一人ひとりに対応するという点や3次元的な位置関係の伝達という点から、伝達しやすさの改善がなされたと考えられる。   2.3 「物理学実験」での動画活用と教育効果の測定評価 プロトタイプ動画制作の経験を踏まえ、「物理学実験」講義中に活用可能な動画制作を行った。「物理学実験」ではテーマ実験としてグループごとに異なった実験テーマを6回行っている。現状の人員配置では、学生数10名前後の2つのグループに1名の教員が同一時間で対応しなければならない。実験に取り組む前の事前説明の時間が重なってしまうので、学生はその間、自学して待つことになる。実験テーマの「Ewing法によるヤング率の測定」と「スペクトルの観察」を担当する場合では、「スペクトルの観察」で用いる簡易分光器の作り方を簡単に説明した後、学生が分光器を作製している間に「Ewing法によるヤング率の測定」の事前説明を行っている。分光器の作り方については指導書に記述している。しかしながら、比較的簡単な紙工作であるにもかかわらず、経験の少ない学生は適切な工作ができているとは限らない。この改善のため分光器の作り方についての動画を制作した。  図5のように三脚を机上に設置し、見え方をモニタで確認しながら真上方向から分光器の作り方の撮影を行った。手元は電球で照明した。プロトタイプ動画と同じカメラとソフトウエアを用いた。15分以内の再生時間に編集しYouTubeから閲覧可能とした(図6)。URLの入力なしに、QRコードを読み取ることで学生のスマートフォンからも直接視聴できるようにした。   図 5  動画撮影のセットアップ  図 6  「スペクトルの観察」スナップショット  八戸工業大学紀要 第 40巻 - 162 - 教育効果の測定として、制作した動画を利用しなかった前期に受講した学生と動画を利用した後期に受講した学生の授業評価アンケートの比較をした。動画視聴に関する特段の記述は見られなかった。物理学実験では6回の基礎実験と6回のテーマ実験を学生は実施する。１つのテーマ実験のなかの30分程度の作業に関する評価は難しいものと考えられる。しかしながら15分間の動画の視聴状況について、図7に示すYouTube Studio動画の分析情報を確認した。10分過ぎの時間帯で他と比べて視聴率が高くなっている。ここは回折格子フィルムを貼り付ける部分となっている。分光器作製において学生の関心のある作業、おそらく分かりにくい作業が回折格子フィルムを貼り付ける作業であることが推測される。教育効果あるいは伝達しやすさの測定が可視化できる可能性が示されたと考えられる。   2.4 その他の実験実習アーカイブの制作 他部局展開コンテンツ例として、および技能伝承の観点から溶接動画を制作することとしている。溶接作業者の目線で撮影可能な溶接面取付け型のカメラを導入した。強い光を発する溶接部分の撮影には十分な減光が必要であると同時に、明るさの異なる領域を撮影しなければならない。暗い部分が真っ暗、明るい部分が真っ白になってしまわないように、広いダイナミックレンジを持つカメラとしてウエルドビジョン製Weld Master WM-600を用いた。図8にアーク溶接の溶接部を撮影した動画のスナップショット 図 7  動画の視聴状況   図 8  アーク溶接手元動画のスナップショット  見たらわかる、もっとわかる、実験実習アーカイブの制作（佐藤・川本） - 163 - を示す。溶接面上部に取り付けたカメラの画像は溶接作業者が直接見て確認できないので位置合わせに課題がある。また、溶接作業で重要な溶接金属が溶けている部分すなわち溶融池の明瞭な画像の撮影にもさらに改善が必要であることがわかった。  比較的単純な軟鋼の下向き突き合わせ溶接の撮影を試みた。技術伝承すべき溶接技術は、ステンレスやアルミニウムなど材料、立向きや横向きなど溶接姿勢、各種継手溶接など多様な要素がある。適切な撮影条件を見出し、役立つ動画撮影にはさらなる検討が必要であることも確認できた。 3. 結言  教育現場でさらに分かりやすく伝えるための手段方法の進化という目的で動画制作を進めた。撮影のノウハウ、すなわち、撮影対象の照明、大きさ、背景、動作の方向、時間などかりやすく伝えるための手段として注意すべき点が明らかになった。様々なメディアが使える時代の教育改善の一環として本取組は八戸工業大学の令和元年度の教育改革支援助成に採択され実施した。COVID-19への対策として最近は講義方式として遠隔授業が求められている。見てわかる、わかりやすい動画制作のノウハウを蓄積共有し、実験実習アーカイブとして全学展開できるよう、本取り組みは引き続き進めてゆきたい。   謝辞 物理学実験の実施にあたっては本学基礎教育研究センターの細越寿則技師に便宜を図って頂いた。溶接作業収録においては本学工作技術センターの三上晃工師にご協力頂いた。また、本稿は令和元年度教育改革支援経費助成として採択頂いた課題について報告したものである。各位に感謝申し上げる。    要 旨 実験や実習等での作業を分かりすく学生に伝える方法の一つとして手元動画を制作し、本学の教育現場でのさらに分かりやすく伝えるための手段・方法の進化に資することを目的とした。主に「物理学実験」において、実体験に乏しい学生にとって重要な学生の目前でやってみせることの代替としての動画の活用や、動きや三次元的な位置関係の理解促進という観点から有益であった。また、動画の視聴状況からわかりにくさの把握に有効であった。  キーワード : 教育改善，実験実習科目，補助教材，物理学実験，機械工作実習，機械材料工学  

"Looking deepens your understanding" Creating supplementary materials with videos

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見たらわかる、もっとわかる、 実験実習アーカイブの制作

見たらわかる、もっとわかる、実験実習アーカイブの制作

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