医学書テキストに現れる文末表現の特徴 : 単語N-gramを用いた分析

Abstract

Hitotsubashi UniversitySenshu University / National Institute for Japanese Language and LinguisticsSenshu University会議名: 言語資源活用ワークショップ2020, 開催地: オンライン, 会期: 2020年9月8日−9日, 主催: 国立国語研究所 コーパス開発センター本発表では,一般的な文章とは異なる文体的特徴を持つと考えられる「医学書」を対象とした言語学的分析の一例として,医学書2冊のテキスト(延べ約282万語)に現れる文末表現の特徴を単語N-gramを用いて分析した。比較対象として,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の「特定目的・ベストセラー」内の文学作品のデータを用いた。分析の結果,医学書の文末表現には文学作品と比べて(1)定型表現が多く用いられること,(2)動詞の使用傾向が強いこと,(3)受身形の使用に特徴があることが明らかになった。また,医学書の文末で使用頻度の高い動詞「ある」「する」「いる」では,「ある」は「形状詞+である」,「する」は「漢語名詞+する」,「いる」は「受身形+ている」という形が,文学作品に比べて顕著に多く出現することが分かった。これらの特徴は,医学書が疾患や症状を解説し,その処置や対応方法を述べる内容のテキストであることによると考えられる

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