Abstract

臨地実習における学生の困難感の特徴を明らかにし実習状況による比較を行うことで、学生にとって効果的な実習指導を検討することを目的とし、A看護系大学で基礎・成人看護学実習を履修した学生177名を対象に、自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、先行研究に基づいて独自に作成した、実習における困難感に関する71項目で5件法にて回答を得た。実習で対象者全員が該当しなかった3項目を削除し、項目分析、因子分析、t検定およびχ2検定を行った。因子分析の結果、実習における学生の困難感は『看護過程の展開』、『カンファレンスの運営と討議』、『患者との関わり』、『指導者との関わり』、『看護援助の実施』の5因子が抽出された。基礎、成人看護学実習ともに困難感の順位は同列であり、『看護援助の実施』が最も高かった。また、基礎看護学実習における困難感が全て有意に高く、困難感の3群比較では、基礎看護学実習での高群の割合が有意に高かった。成人看護学実習中に患者変更があった対象者は、「看護問題の優先順位をつけること」や「患者との接し方」などに困難感が高かった。また、実習1回目よりも2回目の方が、「看護過程の展開」や「カンファレンスの運営と討議」についての困難感が低かった。指導者は、基礎看護学実習においては学生が何に困難感を抱いているのかを早期に把握し、不安や緊張の緩和を図るといったより細やかなサポートを行う必要がある。また、受け持ち患者が変更される場合は、学習への影響を考慮して指導する必要がある。さらに、学生が自身の課題に取り組みながら実習による経験を積み重ねることで困難感を学びや自信に繋げ、自分の看護実践に自信をもって自己成長できるよう導くことが不可欠である

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