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GSK3β in cancer cell metabolism
International Symposium on Tumor Biology in Kanazawa & Symposium on Drug Discoverry in Academics 2014 [DATE]: January 23(Thu)-24(Fri),2014, [Place]:Kanazawa Excel Hotel Tpkyu, Kanazawa, Japan, [Organizers]:Kanazawa Association of Tumor Biologists / Cancer Research Institute, Kanazawa Universit
GSK3βのがん促進機能の分子機構解明とその阻害に基づく消化器がん治療法の開発
金沢大学がん進展制御研究所我々は,glycogen synthase kinase 3β (GSK3β)ががん細胞の生存・増殖を維持・推進するという,本酵素に関する従来の理論や知見から予測されていなかった「がん促進機能」を発見した.本研究では,消化器がんを中心にGSK3βの病的作用や本酵素阻害に基づく制がん効果の実証,その分子細胞メカニズムの解明とともに,本酵素の高精度活性検出系を考案・開発する.これによりGSK3β阻害の制がん理論を確立し,そのメカニズムに基づく新しいがん治療法や分子標的薬剤の開発,ならびに本研究から派生する新規がん分子標的の探索に寄与する知的・技術的基盤を創出する.本課題を通じて,GSK3βが媒介する未知のがん化シグナルの解明とがん医療に貢献することを目指す.1. ヒトがんでのGSK3βおよび関連分子の発現解析大腸がんと胃がん組織では,それぞれの正常粘膜に比べてGSK3βの発現と第216チロシン残基リン酸化(活性化型)が増強し,第9セリン残基リン酸化(不活性化型)は低下していた.これらの変化はほとんどの症例で観察され,臨床病理学的特性との相関はなかった.大腸がんや膵がん細胞に対するGSK3β阻害のがん抑制効果の分子メカニズムは細胞周期やがん抑制分子経路の制御によるものであることを明らかにした.2. GSK3βにより制御される遺伝子発現プロファイルのcDNAマイクロアレイ解析GSK3βの活性阻害により,大腸がん細胞SW480ではJNK (c-Jun NH_2-ternimal kinase)関連分子経路が,また,膵がん細胞PANC-1ではp53とc-Myc関連分子経路が変動することを見出し,現在,その検証を行っている.3. GSK3β阻害にともなうがん細胞の遊走,浸潤や形態変化の解析強度の浸潤を特徴とする膵がん細胞のGSK3β活性阻害により,細胞遊走と浸潤が抑制された.これにともなって,上皮-間葉移行や葉状仮足などの浸潤を促進する細胞の形態変化や関連分子(Rac-1など)の局在と機能が抑制された.4. 難治性消化器がん治療への応用のための基礎実験治療抵抗性を示す膵がん細胞PANC-1のマウス移植腫瘍に対して,小分子GSK3β阻害剤は増殖抑制効果を示し,抗がん剤(ゲムシタビン)の抗腫瘍効果を増強した.研究課題/領域番号:20015018, 研究期間(年度):2008 – 200
β-catenin/Tcf複合体の新規転写標的分子の同定と大腸癌における機能解析
金沢大学がん進展制御研究所本研究は,細胞がん化プロセスにおけるユビキチンシステムの機能異常や調節障害の分子メカニズムとその帰結を明らかにすることにより,大腸発がん、進展の分子機構を新しい視点から解明するとともに,その成果をがんの分子診断や治療法の開発のための分子基盤として応用することを目指して計画した。蛋白質ユビキチン化システムが細胞がん化へ能動的に関わるという着想から我々は,大腸癌においてWnt/β-カテニンシグナルによりそのmRNAが安定化され。発現誘導されるβ-TrCP(E3ユビキチン連結酵素)がβ-カテニンがん化シグナルとNF-kB細胞生存シグナルを統御することにより,がんの浸潤や転移を促進することを発見した。昨年度は,Wntシグナル依存的なβ-TrCP mRNAの安定化と発現誘導に作用するβ-カテニン/Tcf複合体の新規転写標的分子CRD-BP(coding region determinant-binding protein)を同定した。CRD-BPはRNAトランス因子で,Wntシグナルに応答して大腸癌細胞で過剰発現する結果,c-mycやIGF-IIのmRNAを安定化することにより複数の細胞生存、増殖経路(Wnt/β-カテニン,NF-kB,c一Myc,IGF-II)を統括すると想定し,今年度は臨床的な大腸癌症例の解析に着手した。従来から進めてきた大腸癌臨床検体の集積を継続し,臨床病理学的データや術後経過を調査してバンク化した。そして,これらの症例の癌組織におけるCRD-BPの発現と局在を,β-カテニン,β-TrCP,NF-kB(p65活性型サプエ=ット),c-Mycなどと比較解析した。実際のがんにおけるCRD-BPの病的作用を明らかにするために現在,大腸癌におけるこれらの分子の発現変動と,浸潤,転移,再発などを含むが布病態や担がん症例の生命予後との関連について解析を進めている。研究課題/領域番号:18659380, 研究期間(年度):2006 – 2007出典:「β-catenin/Tcf複合体の新規転写標的分子の同定と大腸癌における機能解析」研究成果報告書 課題番号18659380(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18659380/)を加工して作
糖代謝調節キナーゼのWntシグナル非依存的がん化作用の解明と大腸癌制御への応用
金沢大学がん進展制御研究所糖代謝調節酵素として発見されたGSK3βはWnt, NF-κB, Hedgehogなどの基幹的細胞調節シグナルの制御に関わる多機能セリン・スレオニンキナーゼであり,正常ではWntシグナルを抑制する一方,その遺伝子改変動物の解析からNF-κB細胞生存機構に必須であることが指摘されている.本研究では,細胞生存と増殖の制御破綻を本質とするがんにおけるGSK3βの機能を明らかにする目的で,大腸癌を対象にして本酵素の発現,活性と機能を解析した.癌細胞のGSK3β活性はリン酸化ペプチド特異抗体による免疫ブロッティングと,今年度に独自に開発した非放射性試験管内活性測定法により検出した.大腸癌細胞や切除癌組織におけるGSK3βの発現と活性はWntシグナルには関係なく亢進し,正常細胞とは異なり自身のSer9リン酸化による活性制御は破綻していた.癌細胞のGSK3β活性を低分子阻害剤(AR-A014418,SB-216763)により抑制すると,阻害剤の濃度依存的にアポトーシスが誘導され,増殖は阻止された.一方,対照細胞(HEK293)にはこれらの変化は観察されなかった.RNA干渉により本酵素発現を減弱させると,酵素活性阻害と同様に癌細胞の生存と増殖が抑制された.また,マウス移植大腸癌細胞の増殖は本酵素阻害剤の腹腔内投与により用量依存的に抑制された.このように,大腸癌におけるGSK3βの発現や活性制御の破綻が癌細胞の生存と増殖を推進するという新しい機能を発見した.そして,GSK3β阻害の制がん効果を細胞から個体レベルで検証することにより,本酵素が大腸癌の新しい治療標的であることを同定・実証した(特願2005-000133;国際出願PCT/JP2006/300160).GSK3βはインスリン非依存性糖尿病やアルツハイマー型認知症の創薬標的として世界的に注目され,多数の阻害剤が開発されてきている.本研究成果と従来の知見より,GSK3βは糖尿病,認知症と大腸癌に共通の創薬標的であり,これら主要な成人疾患発症の関連に新視点を賦与する重要な疾患マーカーであることが示された.研究課題/領域番号:16659354, 研究期間(年度):2004 – 2005出典:「糖代謝調節キナーゼのWntシグナル非依存的がん化作用の解明と大腸癌制御への応用」研究成果報告書 課題番号16659354(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16659354/)を加工して作
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