看護学生の早期体験学習にがんサロン訪問を導入した試み

看護学生の初年次科目である医学概論・生命倫理において、早期体験学習の一環として自主グループのひとつであるがんサロン訪問を実施した。看護教育の中で生命倫理を患者サイドからアプローチする方法において、今回の取り組みは非常に重要であると思われた

Human Sapovirus in Clams, Japan

Human sapovirus was detected in 4 of 57 clam packages by reverse transcription–PCR and sequence analysis. This represents the first finding of sapovirus contamination in food. Closely matching sequences have been detected in stool specimens from patients with gastroenteritis in Japan, which indicates a possible food-to-human transmission link

ADHDをもつ子どものためのSummer Treatment Programの意義 : いずもサマースクール実施に向けて

ADHDをもつ子どものための包括的治療としての夏期治療プログラム（Summer Treatment Program : STP）の意義について文献的考察をした。ADHDの原因については、多くの研究にも関わらず十分に解明されていないところが多い。ADHDの治療方法としては、薬物治療による効果が70～80％の子どもに見られるために、薬に頼りがちである。しかし、ADHDをもつ子どもが抱える併存障害の重症化を予防する観点から考えても、治療的エビデンスのある行動療法と中枢神経刺激薬を中心とした薬物療法を組み合わせた包括的治療が重要である

がん検診啓発活動を通しての看護学生の学び

がん医療の向上に向けて、地域でがんの検診啓発活動に取り組む看護学生の自主グループが誕生し、正課外活動として取り組んでいる。地域の健康課題「がん」に関する、啓発活動に取り組む看護学生の学びをインタビューから質的に分析し、明らかにした。学生は〈関係づくりとしてのネットワーク構築の重要性〉〈専門職者を目指した自己研鑽〉〈コミュニケーション能力の向上〉〈問題発見・解決と企画力の向上〉〈倫理観・責任感を伴った行動の必要性〉〈社会性形成と自己理解〉の6カテゴリー、30サブカテゴリーについて学んでいた。授業時間以外の自主的な学習を促進する正課外活動の重要性が示唆された

地域を基盤とした看護教育を支援する地域連携ステーションの活動報告

平成19年度に採択された文部科学省「現代的教育ニーズ取組プログラム」の後継事業として、地域を基盤とする看護教育の柱である学生・市民・大学・保健医療福祉行政の4者間のつながりを促進・サポートする拠点として「地域連携ステーション」を本学において継続させてきた。　今回は、「教育力向上」「地域活性化」を目指した活動状況をまとめた。地域連携ステーションが地域に開かれた窓口であり続けるためには、連携に必要な“支援”と“調整”のための技術を磨き続けることが大切であると考えられた

ビョウイン カンゴシ ヲ タイショウ ト シタ ショクギョウ ト シテノ カンゴ ノ ミリョク ニ カンスル シツモンシ チョウサ

少子高齢社会における看護提供体制を維持するためには、看護職の就業継続が不可欠である。看護師がいきいきと働き続けられる方策を検討するため、看護師の認識する職業としての看護の魅力に関する質問紙を作成し、2019年12月から2020年2月にかけて、近畿圏内3病院に勤務する看護師393人を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。質問項目は「看護師が魅力を感じた看護実践場面」と「看護師の職業的魅力」に関する計40項目であり、6段階のリッカート尺度にて回答を求めた。分析対象は267件で、対象者の平均年齢は39.0±11.9 歳、平均経験年数は14.2±10.4 年であった。「患者回復に役立つ実感をもてたとき」「患者に心動かされる体験をしたとき」や「患者の不意の笑顔をみたとき」など、多くの看護実践場面で看護師は魅力を感じていた。また、看護師の職業的魅力についても「他職種と協働する」「知識・技術が深まる」ことを魅力として認識していた。In an aging society with a declining birth rate, it is essential to maintain the nursing service provision system by preventing nurses from leaving the nursing profession. To examine the measures of enabling nurses to work with vigor and enthusiasm and continue in the nursing profession, we decided to design a questionnaire regarding nurses’ perceptions of the attractiveness of nursing as a profession. The respondents of the anonymous, self-administered survey from December 2019 to February 2020 included 393 nurses working at three hospitals in Osaka. The questionnaire included a total of 40-item questions related to “Practical Nursing Situations that Attracted Nurses” and “Professional Attractiveness of Nurses,” which were answered by the nurse respondents on a 6-point Likert scale. The mean age of the respondents was 39.0 ± 11.9 years old, and the mean year of experience was 14.2 ± 10.4 years. It was found out that nurses felt attracted to nursing as a profession in many nursing practice situations such as “when they felt they helped patients recover,” “when they were moved by what patients said or did,” and “when they saw patients smile.” Furthermore, it was also found out that they were recognized “being able to collaborate with other professions” and “improving their own knowledge and skills” as an attractiveness of nursing as a profession.原著論文Original Article

エンショウセイ チョウ シッカン カンジャ ノ ニンシキスル フタシカサ ト セイカツ ノ サイコウチク ノ ケイケン

炎症性腸疾患は、病状の再燃と寛解を繰り返す慢性疾患であり、長期にわたる薬物療法や食事療法は生活に大きな影響を及ぼす。本研究では、炎症性腸疾患患者の生活再構築過程を支援する方策を検討するため、治療を受けながら社会生活を送っている炎症性腸疾患患者10名に対し半構造化面接を行い、炎症性腸疾患患者が抱く不確かさと、その不確かさを生活に統合し、生活を再構築する過程を明らかにした。対象者は、【状況が把握できないことによる不確かさ】【医療や治療の不確かさ】【日常生活の不確かさ】【取り除くことのできない漠然とした不確かさ】を抱いており、【不確かさの中で模索する】【自分に合った生活を送るためのスキルを獲得する】【不確かさを受容し生活に統合する】という過程を経て自分らしい生活を獲得していた。医療者は、情報の提供や患者が思いを表出できるような関わりを持ち、表出される患者の思いに寄り添いながら、患者が生活を再構築できるよう支えることが重要である。Inflammatory bowel disease (IBD) is a chronic disease that frequently flares up and goes into remission, and longterm drug therapy and dietary treatment have a substantial impact on the lives of patients. In this research, semistructured interviews were performed with 10 patients with IBD who were receiving treatment and leading social lives, to analyze measures to support the process of restructuring their lives. The participant experienced “uncertainty due to lack of understanding of the situation,” “uncertainty about medical care and treatment,” “uncertainty about daily life,” and “vague uncertainty that cannot be removed,” and they developed their own lives by “searching in the midst of uncertainty,” “acquiring skills to live a life that suits them,” and “accepting and integrating uncertainty into their lives.” They were creating a life that was unique to them by [seeking out uncertainty], [learning to live a life that suited them], and [accepting and integrating uncertainty into their lives]. It is crucial for health care practitioners to enable patients to reconstruct their lives by giving knowledge and involvement that allows patients to voice their views and feelings, and by attending to their expressed thoughts and feelings.原著論文Original Article

いずもサマースクールの実施と課題

出雲市内のA中学校区小中学校教諭と島根県立大学短期大学部教員の協働により、ADHDの子どものためのサマープログラムとして『いずもサマースクール』を実施し、その概要と課題をまとめた。実施期間は8月第1週目の1週間、参加児童は小学4年生4名、小学5年生2名の男児計6名であった。スタッフは延べ50名であり、小中学校教諭、大学教職員、保健師、大学生、大学院で心理を専攻した者であった。児童の変化は、3日目から4日目のポイントの増加という形で見られた。課題として①実施期間と対象児童の拡大②ボランティアスタッフの増員と充実③保護者会の内容と回数の充実④ペアレントトレーニング導入の検討の４点が明らかになった

聖隷クリストファー大学看護基礎教育における高機能患者シミュレーターを用いたシミュレーション教育の経緯と展望

報告Reports　本報告では、聖隷クリストファー大学看護基礎教育におけるシミュレーション教育チームの発足や試行に至る経緯および今後の課題や展望を概観することを目的とする。　本学は米国サミュエルメリット大学と2013 年に大学間交流協定を締結して以来、学生や教員が毎年、研修に赴きシミュレーション教育について学んできた。　2016 年に看護学部の教員有志によるワーキンググループを発足し、高機能患者シミュレーターを導入した。試行によって、シミュレーション教育は、看護実践能力を向上し、学生自身が主体的に学びを深めていくアクティブラーニングが遂行できる手法であることが分かった。　今後、シミュレーション教育を遂行する上で、以下の課題と展望がある。１．学生の看護実践能力のさらなる向上、２．教員のファシリテーション力の向上、３．教育環境の充実、４．地域の拠点としてのシミュレーション教育、５．活動のための運営資金の獲得、６．ワーキンググループであるシミュレーション教育チームの役割の明確化である