391 research outputs found

    浜松と遠州における染色の技法とデザイン

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    重点目標研究浜松および遠州地方の、繊維産業における「機械染色の技法と型紙デザイン」の歴史と展開の調査と、浜松市博物館との研究連携も推進する。これまで、浜松の染色デザインの技法についての調査はほとんどなされず、現存資料も知られていないため、その概要は把握できない。本研究は、繊維・染色加工企業において、特に機械染色に焦点を当て、その技術と型紙デザインの発展を検証することを主たる目的とする。平成30年6月~7月 本学西ギャラリーにて研究紹介と調査中間報告の展示会を開催平成30年9月~10月 市民ミュージアム浜北特別展示室にて研究紹介を調査中間報告の展示会②を開催平成31年1月~3月 浜松市博物館にて企画展「浜松の染色の型紙」開催平成31年1月 報告書(展覧会図録)『浜松の染色の型紙 ―機械染色の型紙を中心として―』作成平成31年2月 本学講堂にてシンポジウム「型紙から見る浜松と遠州における染色の技法とデザイン」開催パネリスト:四方田雅史、天内大樹、冨田晋司(以上本学)、加茂瑞穂(京都工芸繊維大学)、竹内重行(二紀会会員)、栗原雅也(浜松市博物館)、司会:立入正之(本学)本研究は「染色の歴史調査・検証および展示」、「染色産業の普及活動への貢献(今後の発信・展開)」を趣旨とする、調査と実践の研究である。また、本研究は浜松市博物館が相曾形染(現在は廃業)より寄贈を受けた、膨大な量(1万点から1万5千点)の染色の型紙や器材の調査が発端である。現在、型紙と器材の一部を本学で調査保管中であるが、その中で、型紙の相曾形染創業者、相曾光太郎は、明治30年代、日本形染の創業とともにローラー捺染の真鍮の型(現在本学で調査保管中)の彫刻部で修業をし、昭和初め、独立した人物であることが判明した。型紙は、真鍮の型を作るための原型であることも調査の結果明らかとなった。また、膨大な量の型紙の中には、戦前、戦中の型紙が含まれているか、これからの調査次第だが、日本形染創業以来の浜松の機械染めのデザインエッセンスがすべて含まれている、といっても過言ではない。さらに、染色型紙の元彫師が浜松市内在住で、日本形染と相曾形染の創業当時の見本帳の所有者の所在も判明しており、今後の調査次第では型紙のデザインや、彫刻染色技法、製品と流通など、様々な展開が考えられよう。平成29年度、研究分担者と20数名の学生メンバーで研究チームを構成し、7月より資料(史料)調査開始、12月末時点で約4500点の調査をおこない、調査研究中間報告書を随時作成した。平成30年度、調査中間報告を目的とした2回の展示会を開催したのち、浜松市博物館において特別展を開催した。同時に第1回目の調査研究結果報告書を展覧会図録形式で作成した。また、関連イベントとして本学講堂にてシンポジウムを開催し、本研究に関わる口頭発表をおこなった。以上の成果をふまえ、平成31(令和元年)年度以降も、「染色技法の発達と紋様デザインの展開」として研究を継続しており、「本学と浜松市博物館における展覧会形式での発表(第2回目)と報告書」で公表し、浜松における繊維・染色の歴史と重要性を認識できる契機としたい

    静岡とジャポニズム : 富士、東海道の風景とフランスの美術

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    学長特別研究費社会貢献 フランスのみならず、ヨーロッパの周辺諸国とアメリカの芸術にまで強い影響を与えたジャポニスム(日本趣味)において、京都、日光、箱根などとならび、静岡の風景や文化が果たした大きな役割について、静岡人の認識度は高くないと言える。 本研究はジャポニスムにおける静岡の自然風景・文化事象が与えた影響を再確認し、富士や旧東海道の風景を日常と考えている静岡人にその影響を広く紹介することで、静岡人が地域の素晴らしさをあらためて実感し、郷土を再評価するきっかけとしたい。 また、これまでジャポニスムは19世紀後半の印象主義時代がそのはじまりとされてきたが、本研究ではその起源を、シーボルトが浮世絵版画をヨーロッパに持ち帰って広く紹介した1830年頃にさかのぼり、印象派よりはるか以前のヨーロッパの画家たちも浮世絵など日本の芸術文化の影響を強く受けていたことを検証する。 安藤広重、葛飾北斎など、江戸時代の浮世絵師の描いた静岡の風景が、19世紀半ばから20世紀初頭のヨーロッパ人にどれほど大きな影響を与えたのかを、浮世絵とその影響を受けたであろうフランスや周辺諸国の絵画を比較して影響関係を調査する。また同時に、音楽等その他の芸術と、同時代のヨーロッパ人の文化にも調査対象をのばして、ジャポニスムの影響がより広範に及んでいたことも検証する。 本年秋に本学西ギャラリーで開催予定の展覧会では、本学教員・学生のほか静岡県立美術館の学芸員(小針由紀隆学芸部長、新田建史主任学芸員等)との共同調査・展示作業をおこなった。また、深井晃子氏(本学前文化政策研究科長)、馬渕明子氏(日本女子大学教授)ら外部の研究者の助言を積極的に採用した。 ジャポニスムの始まりが従来考えられていた時期より早いことが確認された場合、その起源が遡るだけではなく、フランスなどのヨーロッパ諸国において、より広範囲にかつ大きな影響を日本文化・芸術が与えたことが証明されると考える。駿河や遠江、富士の地名が150年以上前からヨーロッパで認識されており、そして自分の土地が国際的な文化動向に影響を与えたという事実を認識することで、静岡人が美しく豊かな郷土を誇りかつ、感謝、畏敬の念を抱きうるし、人々の愛国心や愛郷心にもつながるであろう。それは将来的な学力さらに文化力の向上にもつながり、地域連携型としての局面をも持つ本学の発展にもつながると考える。 芸術文化学科の学生にとどまらず、他学科およびデザイン学部の学生も研究メンバーとなったことで、各担当が充実した研究成果を残した。 また、静岡県内のマスメディアに数多く取り上げられたことで、本研究は本学の研究活動の一面ではあるものの、広報にも寄与したと考える

    美術館の危機管理、大学と美術館の連携

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    文化政策学部長特別研究費交差領域研究東北関東大震災の被害は美術館や文化財にも及んでいる。液状化による地盤の沈下や展示作品の損傷、天井からの建材の落下などで休館を余儀なくされる施設も多い。国宝や重要文化財の被害も東日本の広範囲にわたっている。美術作品は振動のみならず温湿度の急激な変化(特に夏冬季)でも状態が悪化する。損傷激しく空調機器の作動しない館内では良好な保管は不可能であるため、直ちに安定環境下に安全確実に移動する必要がある。本研究では外部研究者とともに、美術作品避難移動をシミュレートしつつ、各美術館および関係各機関に被災下美術作品の移動を円滑にするための提言をする。なお、全国美術館会議の災害緊急時復興要員登録者である本研究者が阪神大震災において、震災直後に被災美術館の復興活動を現地でおこなった経験を生かす。また、本研究では美術館における収蔵品の保管保全についてのみ対象とする。東北関東大地震により被災した美術館、文化財の情報収集後、施設の被害状況調査(特に空調設備)、展示・収蔵美術作品の被害状況調査。美術作品については、修復および建物施設修復完了までの移動一時保管可能場所調査。美術品輸送、保管倉庫に関する調査、および被災地域外の作品一時保管可能各美術館収蔵庫の状況調査。上記に基づいた緊急時対処報告書の作成、および美術館と大学の連携と共同調査の構築。(1)現在協議会委員をつとめている浜松市博物館(分館等を含む)、磐田市香りの博物館、静岡県立美術館において、予期せぬ被災時の緊急対処法について、学芸担当者等への提言と意見交換をおこなった。(2)学芸員課程新カリキュラムの中心科目のひとつ「博物館経営論」の「博物館における危機管理」章、「展示工学」「博物館資料論」等学芸員課程授業において、調査報告をするとともに、対処法を検証した。(3)将来的な大学と美術館の美術活動の連携や共同研究に向けて、静岡県内の準備が整いつつある

    「染色技法」の発達と「紋様デザイン」の展開

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    重点研究目的:「染色技法」の発達にともなう、「紋様デザイン」の展開を、京都や東北、関東など染色紋様の原点となる地から、浜松と遠州でさらに多様化する経緯と流通を調査する。浜松市博物館等学外機関との研究連携も推進する。概要:①染色型紙および型紙彫刻関係資料(彫刻刀、彫刻台、コホン、絵刷り等)、布地、着物などのマーキング、カード目録化、写真撮影、②経年劣化した型紙の修復作業、③展覧会開催(令和3年度)、をおこなった。随時 : ①型紙5000枚のカード化と写真撮影、目録作成随時 : ②収集した型紙彫刻関係資料、布地、着物などのマーキング随時 : ③経年劣化した型紙の修復、トリアージ令和3年12月 : ④各地(東北、北陸、関東、近畿)での調査 コロナ感染防止対策の大学方針に従い、令和2年4月から令和3年9月の期間、調査研究室(北441室)での作業人数を毎回4名(通常は10名ほど)に制限したため、作業進行は当初計画(令和2年1月)から大きく遅れたが、成果は次の通りである。概要:【令和2~3年度】① 機械染色型紙(市博物館所蔵、学内に蔵置)約2000枚のカード化と写真撮影。② 型紙彫刻関係資料(彫刻刀、彫刻台、コホン、絵刷り等)、布地、着物などのマーキング、カード化、目録作成写真撮影。③ 経年変化した型紙の修復、浜松市博物館学芸員2名による学生指導。④ 「型紙等史料調査」浜松市博物館、学外研究者・機関との共同調査。⑤ 関東各所での、研究分担者による調査。【令和3年度】⑥ マンガン染調査。⑦ 彫刻技法と紋様デザインの類型化に着手。⑧ 展覧会「型紙レスキュー、修復報告展」開催(当初は令和2年の開催予定→COVID-19により、令和3年に延期)(共催:浜松市博物館、会期:令和3年12月1日~10日、会場:学内1階中央ホール)【令和4年度以降の調査研究成果発表の準備】・研究報告・発表(展覧会、シンポジウム等予定)の準備。・報告書刊行(令和6年度予定)の準備。【令和4年度】・研究分担者に加え、10~20名の学生メンバーによる研究チームを、新たに構成。・型紙等史料について、特に染色型紙の紋様デザイン調査を追加項目とする。・本学に蔵置した研究史料と他機関所蔵史料を、画像データ化の上調査。・立命館大学ARC、元興寺文化財研究所との修復等の実作業、研究会を適宜開催。・浜松市博物館分館(水窪9月、春野10月、細江11月)で修復報告展示会開催。【令和5年度】・本学、共同研究者所属機関で、「研究報告書作成」「口頭発表」をおこなう。・浜松市博物館本館、研究協力機関にて巡回展開催。【令和6年度】・報告書刊

    オンナイチ ニ ミル シュウキョウセイ : ウィレム デ クーニング ノ ジョセイゾウ

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    ウィレム・デ・クーニングは、アメリカ抽象表現主義の旗手として、戦後アメリカのみならず20世紀後半を代表する芸術家の1人である。デ・クーニングは生涯に数多くの女性像を描いたが、1950~55年のいわゆる『女シリーズ』の女性像は、ひとたび抽象絵画を経験した画家の作品だけに、1940~45年に制作された初期女性像とは明確な違いがある。それはデ・クーニングという1人の芸術家の人間的成長ということでは片づけられない問題を含んでいる。本稿は、代表作《女Ⅰ》に焦点を当て、変形の問題、イコノロジー的な意味、画家自身の言葉などを分析し、『女シリーズ』のもっている意味を、デ・クーニングの抽象絵画体験との関連において考察しようとするものである。Willem de Kooning is considered as one of the great inventors of forms of twentieth century, and the fascination his drawings present, apart from their intrinsic qualities, is their revelation of this part of the creative act. De Kooning had always had a change of ainting style, probing creativity, pushing on from one style to the next style. The battle between figuration and abstraction was essential to his art as he had moved from black form to white color of the 1940s to the ferocious Woman Series of the 1950s, through the landscapes and lyrical abstractions. This thesis intends to reconsider the significance of woman series, especially "Woman I"

    The Difference between Stated and Measured Travel Data and Their Impact on Environmental Valuation by Travel Cost Method

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    The main purpose of this study is to assess the reliability of the respondent’s own estimation of the travel distance as a base for calculating travel costs. In order to attain this objective, we have compared the respondent’s stated distances with that of the measured ones, by using environmental valuation survey data conducted on Huis Ten Bosch (HTB). As evaluation tools, scattered diagram plotting, correlation analysis and t-tests of the differences between two means have been used. The findings of the study suggests that, measured distance data might be used for travel costs calculation, as the stated distances are prone to be distorted as the distance from respondent’s residence to the recreational site increases. On the other hand, the significance of the stated distance data should not be disregarded in TCM studies, as it reflects the length of distance felt by the respondents and would provide an important base for estimating recreational benefits

    Anthropogenic contributions to slow warming over 1998-2012

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    The observed global mean surface temperature increase from 1998 to 2012 was slower than that since 1951. The relative contributions of all relevant factors including climate forcers, however, have not been comprehensively analyzed. Using a reduced-complexity climate model and an observationally constrained statistical model, we find that La Nina cooling and a descending solar cycle contributed approximately 50% and 26% of the total warming slowdown during 1998-2012 compared to 1951-2012. Furthermore, reduced ozone-depleting substances and methane accounted for roughly a quarter of the total warming slowdown, which can be explained by changes in atmospheric concentrations. We identify that human factors played an important role in slowing global warming during 1998-2012, shedding light on the evidence for controlling global warming by reducing greenhouse gas emissions.Comment: 55 pages, 26 figures, 4 table
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