9 research outputs found

    歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成におけるECFシグマ因子の役割

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    【背景と目的】歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis (以下P. gingivalis)は偏性嫌気性グラム陰性桿菌であり,歯周ポケット底部の嫌気度の高い部位にバイオフィルムを形成,感染し,病原性を発現する.しかし,口腔内は外界に開かれた環境で,温度,酸素,pH,栄養状態,他の細菌や宿主細胞など周囲環境からの影響を受けやすい.よって,P. gingivalisは,周囲環境ストレス対して何らかの回避機構を備えていることが予測される. そこで本研究では,周囲環境ストレスを回避するうえで重要なECF(extra cytoplasmic function)シグマ因子に注目し,P. gingivalisのECFシグマ因子と周囲環境ストレス回避機構としてのバイオフィルム形成との関連性について検討した.【材料と方法】用いた細菌株はP. gingivalis ATCC33277と,それを親株としたECFシグマ因子変異株,および相補株であった.まず5種類のECFシグマ因子遺伝子のクローニングを行い,その後ベクターに組み込み,親株に導入し,ECFシグマ因子変異株を得た.また,PGN_0274とPGN_1740については,両遺伝子とその周辺部をベクターに組み込み,各々の変異株に導入して相補株を得た.次に,デジタル比色計にて増殖速度を測定した.バイオフィルムの形成については,濁度を揃え,クリスタルバイオレット染色後,その吸光度を測定した.【結果】(1)親株と比較し,PGN_1740変異株が著明に増殖速度の低い値を示した.(2)野生株と比較し,PGN_0274変異株, PGN_0319変異株, PGN_1740変異株はバイオフィルム形成能の有意な増加を認めた.中でも,PGN_0274とPGN_1740変異株にて著明な増加を認めた.(3)PGN_0274とPGN_1740変異株におけるバイオフィルム形成量の増加は,それぞれの相補株にて野生株と同程度に回復した.【考察と結論】PGN_0274とPGN_1740は,P. gingivalisのバイオフィルム形成に関わるタンパク質の遺伝子発現を調節している可能性が示唆された.よって,これらのECFシグマ因子を標的とした抗菌薬を創薬することが実現すれば,選択毒性の高い優れた薬剤となることが示唆された.2013博士(歯学)松本歯科大

    Prevotella intermedia のタンパク分解酵素の部分精製と性状

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    歯周病原菌の一つである偏性嫌気性グラム陰性桿菌Prevotella intermedia ATCC25611株の培養上清中のタンパク分解酵素を硫酸アンモニウム塩析,イオン交換クロマトグラフィー,セファクリルゲル濾過で部分精製し,その酵素学的性状を調べた.タンパク分解活性はアゾ色素結合コラーゲン(アゾコル)を用いた.レマゾ-ルブリアントブルー結合ハイドパウダーの分解も見られたが,その活性はアゾコルに対して約50%であった.また,フィブリン溶解とカゼイン分解活性も認められた.分子量はゲル濾過法で28kDa と算定され,本酵素はセリン酵素阻害剤と金属キレーターで強く阻害されたが,システイン酵素の阻害剤および還元剤による影響はなかったので,メタロ・セリン酵素に分類される.反応の至適pH は7.0~7.5にあり,酵素の50%失活に要する時間は,50℃加熱で25分を要したが,60℃では5分であった.P. intermedia のペプチダーゼについての報告はかなりなされているが,無論ぺプチダーゼはタンパク質に直接作用するのではなく,ペプチダーゼが働くにはタンパク質からのペプチドの蓄積が必要である.しかし,それを供給する本菌のタンパク分解酵素についての知見はまだ不十分であり,さらに詳しい性状把握ががなされるべきである.我々も今後,このレポートで扱ったタンパク分解酵素の,完全精製と合成基質の探索をし,より詳細な研究を推進する必要があると考える

    Porphyromonas gingivalis 4株における病原性関連酵素とタンパクの比較研究

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    Porphyromonas gingivalis の研究上使われる代表的な4株(ATCC33277,381,W50,W83)を用いて,病原因子と深い関係のある,RGP,KGP を含むプロテイナーゼ,ペプチダーゼおよびヘモグロビンとミオグロビン結合タンパクを通しての結合活性について比較検討した.プロテイナーゼに関して,4株ともにその産生が見られ,それぞれの株で3画分での分布状況を調べたところ,RGP,KGP,アゾコル分解酵素ともに,培養上清,粗抽出液,エンベロープの順に多かった.RGP,KGP に関しては,ATCC33277,381,W50で培養上清にほぼ60%ほど含まれていたが,W83では94%を含んでいた.これに反して,ペプチダーゼ(PTP,DPP−I,DPP−II,DPP−IV)は4株ともに培養上清には検出されず,そのほとんどが粗抽出液に認められ,数%のみがエンベロープに分布しており,ペプチダーゼには細胞外への分泌機構が作用しないものと思われる.いずれの株でもPTP 産生単位数がDPP のどれよりも高かった.菌体細胞のヘムタンパクへの結合もいずれの株でも見られたが,ともにpH 依存性が見られ,酸性で強く,中性,アルカリでは非常に弱かった.結合の度合いはヘモグロビンとミオグロビンでは違いはほとんど認められず,これはミオグロビンがヘモグロビン分子の四分の一から成っていることから当然と言えよう.他のヘムタンパク(チトクロームC,カタラーゼ)への結合も弱いながら観察された

    Streptococcus anginosus のプロリルトリペプチジルペプチダーゼの産生と酵素性状

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    Streptococcus anginosus is considered to be implicated in the etiology of oral infectious diseases as well as abscess formation in various body sites. We investigated the production and the enzymatic properties of PTP of S. anginosus NCTC 10713. This enzyme was found only in cell extract and active on tripeptide substrates containing proline residue at P1 position, particularly H−Ala−Ala−Pro−p−nitroanilide. The enzyme was produced by all 8 species of tested streptococci, indicating occurrence of this enzyme is rather ubiquitous within streptococci. This PTP was purified to homogeneity from the cell extract by the procedures including ammonium sulfate precipitation, chromatography, gel filtration and electrophoresis. The enzyme was inhibited by serine enzyme inhibitors and chelating reagents, indicating this PTP is a serine metalloenzyme with a molecular mass of 66 kDa. The enzyme was active against H−Ala−Ala−Pro−p−nitroanilide and H−Ala−Phe−Pro−p−nitroanilide in neutral pH solutions. The activity was completely lost by heating at 50°C for 10min
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