68 research outputs found

    ストラスクライド大学におけるカウンセリングのディプロマコース―臨床心理士教育への示唆―

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    筆者は本学(関西大学)の在外研究制度を利用し、英国のグラスゴー市にあるストラスクライド大学(University of Strathclyde) を訪問した。そこのカウンセラーのディプロマコースの教育研究を視察することが目的の1つであった。本拙論は、その教育内容の概要を紹介し、わが国の臨床心理士教育についての示唆を得ることが目的である

    パーソン・センタード・セラピーの現状と効果研究について : 海外の状況から考える

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    英国のNHSではPCTのカウンセラーが仕事を奪われ、逆にCBTが全体を支配するようになった。わが国では公認心理師資格制度が出来たことで医療に相性のいいCBTが心理支援の考え方の中心に置かれるようになりつつある。ではPCTの存続のために何をすればよいかを、海外のこれまでの経緯を見ることで考えたい。まずPCTの効果について、次に英国におけるCBTの優位性の高まり、そしてPCTの固有の効果を測る尺度の必要性について海外の状況を示す文献の要約を折り込みながら紹介した。本研究はJSPS科学研究費 補助金(科研費)16K04403の助成を受けたものである。特集:パーソン・センタード・セラピーの展

    わが国におけるアディクション臨床の現在についての文献研究

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    わが国におけるアディクション(嗜癖)の臨床について文献をもとに概観した。アディクションは家族からだけでなく、精神科医や臨床心理士など専門家からも当人の人格の問題と見られがちであるが、これと言った定式化された援助方針がなく、社会や経済とも絡む厄介な病気である。先ず、アディクションとは何かについて現象と診断の問題、病理学の推移について概観した。次に、精神障害とアディクションとの重複傷害、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬やSSRIという処方薬物へのアディクション、社会的機能の喪失の観点からアディクションの持つ深刻な複合性についてまとめた。更に、アディクション発症の危険因子について生物学的視点と家族論的視点から紹介し、最後にアディクションに対して最近の提唱されることの多い治療としてグループ療法(自助グループあるいは集団療法)があることを紹介した

    古典的クライエント中心学派(Classical Client-Centered Therapy)がGendlinを認めない論理から学ぶ― Brodley(1991)の紹介と考察―

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    “パーソン・センタード・セラピー”が何を指すか、の議論の中心にあるのは、BozarthやBrodley などの古典的クライエント中心学派による、GendlinやGreenbergのいわゆる体験的療法をRogersのセラピーの発展形と認めない、という考えである。この議論は相当深刻であったようであり、今は小康状態にあるが、この対立の論点は当時と変わらず検討課題として残っている。わが国ではほとんど顧みられることのなかったこのテーマを、本稿はその古典派の論客の一人Brodleyの有名な論考(1990)を紹介し、再考する機会としたい。彼女は、Gendlinの体験過程理論やフォーカシングはクライエント中心療法と根幹の考え方もセラピーでの具体的応答も違っていると考え、クライエント中心療法とは明らかに異なるものと主張する。本稿は彼女の論点を紹介した上で、彼女の主張から今の私たちが学べることについて考察を加えた

    Adjustment Disorder: History and Future

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    This paper looks at the diagnosis of adjustment disorder (AD), its history as well as arguments for and against its continued use. AD is shown to fit in a special place in the taxonomy of psychiatric disturbances or difficulties people experience and this special position is both one of its strengths and one of the reasons it has been a frequently maligned diagnosis. Other strengths and weaknesses of the AD diagnosis are discussed as well the expected future growth and usefulness of the diagnosis in a variety of areas where it may be overlooked or under utilized today

    巻頭言 大学における心理臨床相談施設の責任

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    病的賭博者への大学附属心理相談機関による援助 : 本人の個人面接、および家族面接とグループ面接を並行する試み

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    Person-Centered Perspective in Community Based Clinical Psychology

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    医療モデルの心理療法にはないPCTの意義 : Hawkinsによる被虐待児に関する論考の紹介

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    PCTの実践には一定の形がないが、Rogers以来の人間観は実践の中に滲み出る。本稿で紹介するHawkins (2005) は被虐待児へのセラピーにおいて、内的世界ではクライエントが症状を支えにして生きていることをそのまま受容して傾聴する。それは症状を消すことを目的にする医療や医療モデルの心理療法とは対立的な立場にある支援である。それがクライエント自身が自分自身を把握し、信じて生きられるようになるという、症状消失を目指すセラピーでは行き着くことのない支援であることをHawkinsは論じている。また、本来、セラピスト条件であった中核条件は、幼い子どもが自分自身は誰で、自分の身を守るための自己保身感覚を身につけるように成長するために、子どもが受け続ける必要のある人間関係であることも彼女は論じている。本研究はJSPS科学研究費補助金(科研費)16K04403の助成を受けたものである。特集:パーソン・センタード・セラピーの展
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