看護学臨地実習における指導者・教員および学生の体験についての調査研究

実践の科学である看護の基礎分野において,臨地実習はそれまで習得した知識,技術,看護観を統合し対象に対して看護ができるように教育する重要な場でもある。しかし,現代の若者気質,「無気力」「無関心」などの特性をもつ学生を指導する上で指導者が「何に困り」また逆に「感心したり,感動したりしたことは何か」を把握するとともに,臨地実習でとりわけ臨床の学びの中での「学生の変化」について意識調査をおこなった。2つの結果を見ながら,今後の臨地教育のあり方を考える

看護学生の助産婦に関するイメージの研究

母性看護学領域の実習で,助産婦は他の看護職の中でも学生の能力の育成に実習指導者として,殊に多く関わっている。実習の人的環境の1つとして,学生はどのようなイメージを実習指導者である助産婦に抱いているのか実態を把握した。助産婦のイメージの概念構成は,主要4因子であり「能力」「楽しさ」「魅力」「人柄」である。学生は助産婦の「能力」については高く評価しており,また助産婦と接したことでは「楽しい」感覚を持っている。そして,学生は助産婦に関して「魅力的」で,仕事への「やりがい」を強く感じている。また,助産婦の実習指導者としての資質と4つの助産婦のイメージの構成概念には類似性があると考えられる。母性看護学実習で否定的な感想を持つ学生は少ないが,実習前に事前学習が十分できるよう日程にゆとりのある実習計画を調整すること,妊産婦・褥婦・新生児を対象とする多様な実習場面の中で,学生のレディネスを把握して,学生の看護実践場面から専門的能力の育成を行なうことの必要性を再確認した

日本における看護の変遷

現在のわが国の看護制度は,敗戦後の混乱期に GHQ(連合国軍総司令部)の指導のもとに再編成されたものを母体としているが,その後の歩みを自力で切り開いたのは我々の先輩達である。昭和23年(1948年),戦時中につくられた国民医療法が廃止され,新たに医療法が制定されたことに伴い新たに,保健婦・助産婦・看護婦法が制定された。同時に厚生省医務局に看護課が新設されたのはシンボリックなことであった。昭和26年4月,看護婦は高等学校卒業後3年,保健婦,助産婦は看護婦学校卒業後1年間の学校,養成所を卒業した上,さらにそれぞれの国家試験に合格したものに対し,厚生大臣が免許を与えることとした。この時准看護婦制度の創設。その後,看護系大学課程の誕生(昭和27-28年),同短期大学課程の誕生(同29年),進学コースの誕生(同32年),基準看護の開始(同33年),高等学校衛生看護科発足(同39年),看護教育課程(カリキュラム)の改正(同42-43年・平成元年・同9年),そして現在,大学院で看護学を学ぶ者が増えるなど,様々な節目を経てわが国の看護制度は整備されていくことになる。ここに至るまでの歴史的変遷について述べ,それぞれの時代の看護の性格や位置付けを確認する

看護基礎教育における臨地実習事故対応マニュアル導入への取り組み

In the field of medicine, various measures are being conducted so as to prevent malpractice. In basic nursing education, we need to establish management systems to handle the accident cases in clinical nursing practice. In the academic year 2003, Niimi College has introduced the risk management manual for clinical nursing practice in order to handle possible accident cases. We invesdgate the trends of risk management in medical and nursing fields. We also explain the situation that we need to introduce the risk management manual and point out the things we need to improve in the future

「小児保健実習」の授業内容の評価 : 保育者の視点からの考察(創刊二十五周年記念号)

幼児教育学科の「小児保健実習」の授業内容の評価について、保育者の視点から必要性を検討した。その結果、食事の与え方では、離乳食の項目で全員が必要性を認識していた。健康児への生活援助では、成長・発達の指標となる身長・体重・胸囲測定に関する項目の必要性が高かった。また、健康観察では、子どもの健康状態の把握となる体温・呼吸測定に関する項目の必要性が高かった。次いで病気と異常時の対応では、事故に対する初期手当の方法に関する項目の必要性が高かった。今後の授業内容の方向性として必要性の高い項目については、小児保健の基礎的技術を確実に習得出来るように事例や事故の起こりやすい場面設定を用いた授業方法の検討が必要なことが示唆された。We have examined the contents of "Child Health Practice" in the Department of Early Childhood Education with the lecture evaluation by the early childhood education students. All the students think it necessary to learn about baby food feeding. Many students feel the necessity of knowing how to measure children\u27s height, weight and the chest circumference which indicates children\u27s growth and development. Many of them also realized the necessity to learn about taking body temperature and counting the respirations which index children\u27s health condition. They also have needs to learn about first aid in accidents. We would like to make the use of this evaluation and better the contents of "Child Health Practice.

「小児保健実習」の授業に関する調査 : 学生の保育実習後の認識(創刊二十五周年記念号)

保育現場の実習で「小児保健実習」の授業内容が、どれほどの必要性を要したのか、学生の認識を把握した。その結果、授業内容の「健康な児への援助」項目や「病気と異常時の対応」項目において、学生の必要性の認識は高かった。さらに、授業内容として学生の必要性の高い項目である「トイレットトレーニング」「歯磨き」「発熱時の処置」「痙攣時の処置」「鼻出血の処置」「熱中症の処置」等は、今後の授業計画に演習を加える必要がある。また、保育実習の現場を熟知した教員の授業参加も必要であることが示唆された。We carried out a survey, in order to find out how helpful "Practice for Pediatric Health Care" class was during their childcare practice. As a result of the survey, it became clear that students realized that they needed to learn care for children as well as measures to deal with illnesses and unusual situations with children. Toilet training, teeth brushing, fever treatment, convulsion treatment, nosebleed treatment and heatstroke treatment, which were considered very necessary, were suggested to be added along with drills to the class curriculum. It was also suggested that teachers with an extensive knowledge of and experience with childcare practices should participate in the class