8 research outputs found
医療的ケアを必要とする在宅療養児のきょうだいへの支援
本研究は、医療的ケアを必要とする在宅療養児のきょうだいが抱えた思いや悩み、在宅療養児の疾患認識、きょうだい支援の現状やニーズを明らかにし、それらの結果から今後の支援のあり方を考察することを目的とした。対象は医療的ケアが必要な在宅療養児をきょうだいにもつ青年2名であり、インタビューガイドに基づいて半構成的面接法を実施した。その結果、8つのカテゴリーが抽出され、きょうだいが在宅療養児を通して良い影響を大きく受けていた一方で、課題として在宅療養児の疾患の共有時期・理解度、必然的に医療的ケアに関わらざるを得ない環境、ライフ・イベント時に直面する問題、将来きょうだいが在宅療養児を支える際の問題などが挙がった。きょうだいへの支援においては親の受容状況なども大切な視点であり、保健福祉医療の各側面からのきょうだい支援が必要であることが示唆された
認知症高齢者の在宅療養継続を目指した訪問看護師の支援-対象理解に焦点をあてて-
本研究は、対象理解に焦点をあてた認知症高齢者の在宅療養継続を目指した訪問看護師の支援について明らかにすることを目的とした。対象は訪問看護師3名で、半構成的面接法を用いてインタビューした内容を質的記述的に分析した。その結果、訪問看護師は、【培ってきた人生に敬意を払い療養者の尊厳を守る】という信念に立ち、【言葉に頼らず全身を使って気遣いを表現し焦らず徐々に心を通わせ】、【観察とケアチームとの連携により療養者が自ら表現できない状態をアセスメント】して療養者の世界に身を置いていた。その上で、【療養者の状態を経時的に捉え起こりうるリスクをアセスメントし予防】し、【療養者が言葉にできない症状を感知し適切な治療につなげ】、【療養者のできる力を最大限に引き出し生活に取り入れ】回復を助ける支援を行っており、カテゴリーの1つ1つが連動して実施されることが、認知症高齢者への支援に重要であることが示唆された
看護基礎教育におけるActive Learning の手法を用いた公衆衛生学教育の試み(第1報)
本研究は、A 大学看護学部の看護基礎教育で実施されたActive Leaning の手法を用いた公衆衛生学の\演習プログラムにおける学生の学びを明らかにすることを目的とした。対象は、A 大学看護学部の学士課\程に在籍する2 年次の学生であり、演習は、大学に対する「大学内禁煙対策における政策提言」を目指し、\3 年間を一纏まりとして計画され、1 年目の演習では、調査計画を立案した。その結果、対象者は【看護\職の役割意識の深化】、【ヘルスプロモーション概念の体験的理解】、【予防活動の有用性と重要性】、【ハイ\リスクアプローチの必要性と困難さ】、【喫煙に至る機序への関心】、【公衆衛生の対象の多様性】について\の学びを得ており、公衆衛生学の授業にActive Leaning の手法を用いることで抽象的になりがちな公衆\衛生学の概念を具体的な実像をもって理解できたことが示唆された。今後の課題として、演習目的に応じ\た評価方法の検討があげられた。\利益相反なし
看護基礎教育におけるActive Learningの手法を用いた公衆衛生学教育の試み(第2報)
本研究は、A大学看護学部の看護基礎教育で実施されたActive Leaning の手法を用いた公衆衛生学の演習プログラムの2 年目の取り組みを記述し、学生が捉えた公衆衛生学を学ぶ意義と看護職が禁煙対策に取り組む意義の2 つを明らかにすることを目的とした。対象は、2015 年度A大学看護学部の学士課程に在籍した2 年次の学生であり、2 年目の演習は、大学におけるプライマリーインフォーマントとキーインフォーマントに対するインタビュー調査を実施した。その結果、学生は【看護・公衆衛生は全ての人々を対象とすることを実感する】こと、【看護学生として大学の健康増進・予防活動でできることがある】と感じることなどを公衆衛生学を学ぶ意義と捉えていた。また、看護職が禁煙対策に取り組む意義として【人々の生命を守るという看護職の使命を果たすことに繋がる】ことなどをあげており、演習が学生の主体性を高め、自身の看護観を深めることに寄与していることが示唆された