5 research outputs found

    医療水準を中心とした診療契約についての一考察―訴訟事例をとおして―

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    医療保障の構成は行政庁、医療供給体制、利用者の三者が存在する。本稿では「利用者と医療供給体制」の間の判例について検討を行った。「利用者と医療供給体制」の間は診療契約によって結ばれており、医療保障の視座からの重要なテーマは医療水準であった。医療水準は医療の保障を受けるに際して、質の確保の問題である。将来に残された課題を「利用者と医療供給体制」の間の判例から検討し、さらに将来の背景である高齢化や保険財政の問題などの指標を立てて吟味した。その結果、混合診療の課題に関連したもので、診療契約による合意によって選択療養が認められる契約が将来の課題となった

    『社会保障判例百選』からみた児童福祉の課題

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    「児童福祉の判例」をもとにして児童福祉における「将来の課題」を見いだすことにした。そのことによって、将来予想される問題に対して、紛争の予防につながると思われる。 研究資料としての『判例百選』は、初版から第5 版まであって、1977(昭和52)年から2016(平成28)年まで、およそ10年おきに発刊されてきた。その時代の変化とともに、その時々の関心事が選ばれているので、初版から第5 版までを一覧表にすると、その選ばれた状態を俯瞰することによって「解決した課題」と「残された課題」が見いだせる。 そのうえで、「残された課題」について検討を重ねて、「将来の課題」を見いだした。「将来の課題」は、「無認可保育所における乳児の死亡と市の損害賠償責任」という判例をであった。この判例をもとにして将来の社会状況等を鑑みると、施行されている子ども・子育て支援新制度における保育所の賠償責任が想起される。 この新制度のうち、地域型保育というものには小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業内保育などがある。また、子育て支援員制度も開始している。保育施設の多種多様化と保育従事者も多種多様化していることによって、公的な関与の度合いによる差があるので市町村の責任は、必ずしも明確ではない。したがって、待機児童対策を行っているなかで地域型保育施設の顕著な拡大と保育従事者のスキルの懸念から「地域型保育における事故と行政の損害賠償責任」が「将来の課題」となった

    Challenges of the petition for the start of guardianship in the adult guardianship system : Focusing on the newly established personal information sheet and petition circumstances manual

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    成年後見の開始等の申立てについての,本人情報シート・申立事情説明書の添付が2019 年4 月1 日から新設された。これは,成年後見制度利用促進法(2016年)により,成年後見制度利用促進基本計画(2019年3月)を閣議決定したもので,主な目的は三点ある。第一に「本人情報シート」は,福祉関係者が作成し医師に提出することにより,医師の診断書による類型決定のばらつきを減らすことを目的としている。第二に家庭裁判所は,以前から使用していた照会書を改変して「申立事情説明書」を添付させることによって類型の明確化を図ることとした。第三に受任した後見人等に対する支援と本人意思決定支援を目的とした支援チームを立ち上げるために「中核機関」を配置することとした。しかしながら,申立者が本人に対して不十分な聴き取りをし,以前の紹介書と同様に粗雑な内容のまま申立事情説明書を提出しているために,受任した後見人等が身上監護を行う上で重要な情報が共有されていない。さらには,中核機関の整備が遅れており,後見支援チームネットワークには活かされていないのが現状である。つまり,家庭裁判所は後見類型分けや候補者選出の判断は明瞭になったが,第二の目的である申立事情説明書の内容が粗雑なために,第三の目的である受任した後見人等の支援には不十分なのである。departmental bulletin pape
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