8 research outputs found

    The Variety of Resistances among Pine-species to Pine Wood Nematode, Bursaphelenchus lignicolus

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    西南日本の海岸線を中心に, 日本の各地でマツ林に激しい被害をもたらしているマツノザイセンチュウに対するマツ属各種間の抵抗性の違いを調査するために1977, 1978の両年に, 京都大学農学部附属演習林上賀茂試験地および白浜試験地に植栽されているマツ属30種, のべ約600本に対してマツノザイセンチュウの接種試験を行なった。接種にあたっては1本の供試木あたり2, 000頭のマツノザイセンチュウを接種したが, さらに, P. strobus, P. taedaには接種密度を変えて, 1本につき2, 000頭ずつ3ヶ所に計6, 000頭を接種した。接種後2および5週目に早期症状の調査のため樹脂浸出量を測定した。その後, 経時的に1年間供試木の外見的異常を観察し, しかる後に供試木からの線虫の再分離を試みた。これらの調査・観察の結果の大要は次のようである。(1) マツノザイセンチュウを接種された木の樹脂量はその後の外見的症状の有無とは無関係に減少する傾向が見られた。(2) 外見的病徴にもとづく異常発生率の供試樹種間における違いは, 育種学的知見にもとづいて築きあげられた Critchfield & Little の分類体系で比較的うまく類別できる。すなわち, Australes 亜節に含まれる種は最も抵抗性が強く, Contortae 亜節の種がこれに準じる。Ponderosae, Oocarpae 両亜節の種はいずれも感受性であり, 日本産のクロマツやアカマツが含まれる Sylvestres 亜節の中には強度の感受性樹種から抵抗性樹種まで, さまざまな反応が見られた。また Strobus 亜属の各種の異常発生率は高かったが, いくつかの種では Pinus 亜属の感受性反応と異なり異常を部分で食い止め, 全体としては健全性を保ち枯れない可能性をうかがわせる反応が見られた。(3) 接種密度が高くなると抵抗性の P. taeda でも異常発生率が高まり, これらの樹種の抵抗性が本質的には絶対的なものではないことを示唆した。(4) 1977年度の接種試験で生き残った個体を1978年度, 再度接種に供したところ, いくらかの種で, それらの異常発生率は新規に接種した場合の異常発生率より低い傾向がうかがわれた。これはそれらの種内に抵抗性の個体間差が存在することを示唆している。(5) 供試木から接種一年後に線虫を再分離したところ, 異常を発現し, 枯死したような木や部位からは普遍的にマツノザイセンチュウが分離された。一方健全なまま生存した個体や部位からはマツノザイセンチュウは分離されず, マツ属内に見られる抵抗性と樹体内での線虫の増殖の密接な関係が明らかになった

    Growth of Pines inoculated with Pine Wood Nematode (Bursaphelenchus xylophilus), Especially on the Growth for three Years after Inoculation

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    マツノザイセンチュウは, マツ属に侵入して, 枯死させるばかりでなく, 生存個体にも生育阻害をおこすことが, とくにクロマツでみられ, 本報告は, クロマツ, アカマツのほか5種類の外国産マツ属を用いて, マツノザイセンチュウ接種後の3年間の生育経過を調査した結果をとりまとめたものである。供詰マツ属は, P. thunbergii, P. densiflora, P. massoniana, P. pinaster, P. strobus, P. banksiana, P. rigida の7樹種で, 京都大学農学部附属演習林上賀茂試験地および本部試験地の苗畑で調査した。マツノザイセンチュウ接種後, 生き残った個体で, とくにクロマツの樹高生長に接種翌年の生長減退が目立ち, 減退の激しい場合, 接種前の伸長量の約20%しか伸長しなかった個体もみられた。反面, 80%またはそれ以上の伸長量を示し, 影響のすくない個体もみられた。クロマツを平均すると40 - 60%で, 他樹種と比べて, その生長減退は目立った。クロマツの接種翌年の新梢に展開した針葉が, 新梢長に比べて多数みられ, 生長減退が激しい新梢ほど針葉密度が大きい現象がみられた。しかし, 接種の翌々年には, 新梢の生長減退が続いても, このような高密度の針葉の展開はみられなかった。アカマツおよびP. massonianaでは, 最も生長減退の大きかったものでも50%で, 生長減退がみられない個体もみられ, 平均すると約80%になる。P. pinaster, P. strobus, P. banksiana, P. rigida では, 平均値で90%を越え, とくに, P. banksiana, P. rigida では, すべての個体で伸長生長に, マツノザイセンチュウの影響はみられなかった。肥大生長には, クロマツで, マツノザイセンチュウ接種年および翌年に生長減退がみられたが, 2年目には回復していた。マツノマダラカミキリの次世代幼虫の繁殖は, 新成虫の後食, マツノザイセンチュウの侵入によって, 9月下旬までに枯れた樹体にみられ, それらの幹の枯死年の生育は, 春材だけであった。秋材が形成されていた幹にはカミキリは繁殖していなかったが, 10月以後の枯死木で, 秋材がすこしみられる幹にも, 数匹の幼虫が生息しているものが, 少数例みられた

    Effects of pine Wood Nematode upon the Growth of Pine-species

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    マツノザイセンチュウは日本在来のクロマツやアカマツに大被害をあたえ, 外国産のマツ属にも被害をあたえている。さらに, マツノザイセンチュウは寄主を枯らさない場合でも, その生長が悪くなることがクロマツやアカマツなどで確認されている。本報告では, P. yunnanensis, 2F_l雑種 (P. thunb. × P. khasya. , P. thunb. ×P. tabulae.), 1F_2雑種 (P. thunb × P. masso.) の4種についてマツノザイセンチュウに対す抵抗性を, その接種により調査し, P. yunnanensisは弱感受性で, 他の3雑種は弱抵抗性であることを確認した。今までにマツノザイセンチュウに対する抵抗性を調査したマツ属のうちで, 生き残った個体 - 2F_l雑種を含む17種169個体の生育経過を測定し, マツノザイセンチュウの生育におよぼす影響を調査した。クロマツやP. thunb. × P. masso. (F_1) では, 他の種に比べてマツノザイセンチュウの接種は, 樹高生長に大きな影響をあたえ, 反面, P. taeda, P. elliottii, P. rigida, P. banksiana, P. sylvestris, P. pinasterでは, 接種は樹高生長に影響しなかった。クロマツでは, 接種された40個体のうち, 4個体で接種後3年自においてもその影響がみられたが, 4年目にはほぼ正常生長に回復していた。P. thunb. × P. masso. (F_1) も同様で, P. nigra, P. strobus, P. thunb. × P. tabulae. (F_1) では2年目まで, P. densiflora, P. tabulaeformis, P. taiwanensis, P. excelsaは接種の影響は翌年だけであった。マツノザイセンチュウは直径生長には, クロマツ, P. tabulaeformis, P. nigraの調査で, 接種後すぐにその影響があらわれ, 2年目にはほぼ生長は回復していた。P. taeda, P. elliottii (F_1) では樹高生長と同様に接種の影響はみられなかった。材積生長に対しては, 樹高生長, 直径生長にみられたようなマツノザイセンチュウの明らかな影響はみられなかった

    Biochemical Responses in Pines Infected with Bursaphelenchus xylophilus.

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