要旨
わが国は1990 年のバブル崩壊以降長きにわたり経済不況を経験することになる。とくに2000 年以降は有効な経済対策を打つことができないまま、深刻な長期デフレに陥った。こうした中で2012 年以降日本銀行はリフレ派と称される人たちを中心に異次元とも言われる積極的な金融緩和政策に乗り出す。その政策の理論的根拠になったのが、ミルトン・フリードマンの流れを汲む、クリスティーナ・ローマであった。ローマは大恐慌に関する研究を通じて深刻なデフレに対する中央銀行の重要性を説く。これはフリードマン=シュウォーツの『米国貨幣史』と軌を一にするものであるが、そこでは十分実証できなかった問題をローマは新たに解決する。その意味でローマの研究は『貨幣史』を補完するものである。
ローマはフリードマン達と同様に安易な数理的統計的分析に満足することなく、現実の経済の実態を資料、経済情報誌を丹念に読み解くことによって、当時の人びとの心の中に立ち入る。そこで得られたものは、経済を動かすのは心理状況であり、それに働きかける政策の重要性を強調する。そして、その中で中央銀行はいかにあるべきかを問い、優れた中央銀行家には謙遜と大胆さ(humility and hubris)のバランスが求められると結論する。departmental bulletin pape
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