要旨
人が自身の健康について考えるとき、健康によいとされる情報や健康にとって好ましくない情報を知っていながら、必ずしも合理的な選択をしないことが知られている。したがって、健康教育を通して広く人々の健康増進に取り組んでも、期待した健康的な行動変容が起こりにくい現状がある。なぜ、人は必ずしも合理的な選択をしないのか、その理由を踏まえるとともに、基本的な人の行動変容の原理を理解することは、人びとの健康を支援する保健・公衆衛生に携わる専門職にとって大変重要なことである。本論文では、最初に人間の意思決定の特徴を踏まえるとともに、健康教育とヘルスプロモーションの考え方について整理する。そのうえで、人の行動の特徴や従来の健康施策の課題を確認し、行動変容技法について概説する。新たな行動が起こり、その行動が継続する人の行動変容の基本的な考え方である応用行動分析学を最初に確認し、多くの行動変容技法の中から個人レベルの行動変容技法として「トランスセオレティカル・モデル(TTM)」、個人間レベルでは「健康生成モデルと首尾一貫感覚(SOC)」、集団レベルでは「ソーシャル・マーケティング」と「行動経済学(ナッジ)」を取り上げる。広く地域住民のヘルスプロモーションを有効なものとするためには、リハビリテーション専門職をはじめとした保健医療専門職は、人々をより好ましい健康行動へと促すことが求められる。本論文で扱う行動変容技法は限られるが、少しでも行動変容技法のエッセンスを把握し、より深く行動変容技法を学ぶきっかけやヘルスプロモーション活動を展開する際の一助となれば幸いである。departmental bulletin pape
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