Abstract

publisher[抄録] ネフロン癆は, 小児の末期腎不全の原因のうち, 約4~5%を占める重要な疾患である. この研究では, 本邦において, 臨床・組織学的にネフロン癆が疑われた35名の患者について, 発見動機, 腎症状の特徴, 腎外症状の分析ならびにNPHP遺伝子解析を実施した. 疑い例を含む患者発生状況は, 47都道府県から大きな偏りなく患者が発生しており, 地域偏在性はなかった. また, 男女比についても, 明らかな性差はなかった. 同胞での発症は3家系に認められた. 患者年齢の中央値は, 12.5歳であった. 発見動機は, 学校検尿などのマススクリーニング検査によるものの頻度は低く, 他の疾患での検査時, あるいは健診で, 偶然腎機能障害が発見されたものを含めても全体の50%以下であった. また発見の引き金となった症状も, 腎に関連する症状よりもむしろ, 身体発育不全や貧血といった腎外症状を呈するものが多かった. 尿異常の特徴としては, 低比重尿や低分子蛋白尿の頻度が高かった. 腎組織所見としては, 腎髄質を中心とする尿細管の囊胞様拡張, 尿細管基底膜の不規則性変化は高頻度に存在していた. NPHP遺伝子解析と日本人の特徴としては, NPHP1異常が最も多く, large deletionが多かった. また, NPHP1, NPHP3, NPHP4 の各遺伝子にヘテロの異常を1個ずつ有する複合型ヘテロ接合体が, 欧米と同じくわが国にも存在することが明らかとなった

Similar works

Full text

thumbnail-image

Kinki University Academic Resource Repository (近畿大学学術情報リポジトリ)

redirect
Last time updated on 17/11/2016

Having an issue?

Is data on this page outdated, violates copyrights or anything else? Report the problem now and we will take corresponding actions after reviewing your request.