日韓国境に位置する韓国済州島、日本の対馬、壱岐の三島は温暖で湿潤な気候下にありながら、それぞれ固有の地質や地形を背景とした植物相が成立している。特に島嶼生態系にある三島は、比較的閉鎖性の強い自然環境によって独自性の高い生物相が形成されてきた可能性があり、自然環境に依存する農業の背景として重要である。本稿は、平成28年度共同研究「韓国済州島・対馬・壱岐の自然環境を基盤とした農業経済に関する比較研究」の一部として、植生変遷に関する資料整理を中心にして、対象地域の地質、地形、気候環境に関する基本資料を作成した。その結果、各地の植生変遷の履歴において、大陸と連続性を強めた寒冷環境の下では亜寒帯性の森林だけではなく草原植生が卓越していた可能性を認めた。また、現地調査からは水稲栽培の適地となる地形環境の差異に応じてその依存度が異なり、壱岐、対馬、済州島の順に低くなることを理解した。また、近年に至るまでの主要な食料としての雑穀の重要性や利用可能な自然資源における地域性を理解した。departmental bulletin pape
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