Academic and Scholarly Repository of KUIS

石居 康男

日本語の部分表現と名詞の文法素性

ムスタツェア アレクサンドラ

櫻庭 美咲

日本の近代化を目にした西洋人知識人にとって「日本伝統文化」の意味するもの―フランシス・ブリンクリーの武士道と日本陶磁研究

飯島 明子

南房総館山湾坂田の海岸植物相

Knight Kevin

Leadership Development of Japanese Undergraduates through Business Cases

松田 清

神田外語大学　国際日本文化研究センター　京都府立京都学・歴彩館共催企画展「明石博高―京都近代化の先駆者―」の開催

小野 二葉

「人間になる」とは―シャロン・ドドゥア・オトゥ『アダの部屋』における女性と人種―

高杉 忠明

グローバル化する中国と世界－学際的研究著者 高杉 忠明雑誌名 グローバル・コミュニケーション研究号 12ページ 1-5発行年 2023-03URL http://id.nii.ac.jp/1092/00001939/as KUIS 著作権ポリシーを参照のことグローバル化する中国と世界－学際的研究1〈特集〉グローバル化する中国と世界－学際的研究髙　杉　忠　明＊Globalization of China and the World:  An Interdisciplinary StudyTakasugi Tadaaki1.　問題の所在現在、国際社会が直面する最大のチャレンジは、「グローバル化する中国」の問題である。「グローバル化する中国」が国際社会に与える影響は、安全保障、政治外交、経済・ビジネス、社会、人権など広範な分野に及んでおり、これに対する世界各国・各地域の認識や向き合い方は様々である。この問題を理解する上で重要なことは、幅広い視点に立ち、その正負の両面を見極め、可能な限り客観的かつ柔軟に現実を観察し、理解することであろう。こうした視点を踏まえ、本研究では「グローバル化した中国」に対して各国、各地域は、中国とどのように向き合い、理解していけば良いのか、という「問いかけ」に対する解答を追究してゆく。同時に、安全保障、政治外交、経済・ビジネス、社会、環境、人権、異文化理解、コミュニケーションなど、各研究者の専門領域を活かしつつ、それぞれの研究分野で開発された「学際的アプローチ」を用い、「グローバルな視点」に立って、共同研究を進めてきた。上記のように、現在国際社会が直面する最大のチャレンジは、「グローバル化する中国」が国際社会に与える影響である。その影響は、安全保障、政治・外交、経済・ビジネス、社会、人権など広範な分野に及んでおり、＊　神田外語大学　名誉教授グローバル・コミュニケーション研究　第 12号（2023年）2これに対する世界各国・各地域、各集団や個人の認識や向き合い方は様々である。幸いにして、本学には中国、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、ラテン・アメリカ、朝鮮半島、東南アジア（ベトナム、インドネシア、マレーシア等々）、日本などの地域研究者ならびに異文化間理解を専門とするコミュニケーション分野の研究者が相当数存在し、「地域・国際研究＋コミュニケーション研究」と「語学教育を一体化させた質の高い研究・教育体制」が整備されている。本学の研究者が有するこの特色を活かしつつ、「グローバル化する中国」が生み出す様々な現象や影響力を考察し、各国、各地域、各集団や個人がどのようにそれを認識し、対処しようとしているのか、という問題を幅広い視点からその正負の両面を見極め、可能な限り客観的かつ柔軟に観察することで、新たな知見や発見を得ることが期待される。2.　各論文の内容について興梠論文は、最近波紋を呼んだ中国の「偵察気球」事件について、多面的な検証を試みている。この事件が発生したことで、ブリンケン国務長官の訪中が延期になるなど、米中関係は深刻な事態に陥ったかに見えたが、事件発生後の両政府の対応を見ると双方が緊張激化を望んでおらず、むしろ関係の安定化を望んでいることが明らかであると筆者は結論づけている。またアメリカの国内政治がバイデン政権の対応に影響を及ぼしたこと、さらには偵察気球の軍民両用といった軍事問題も関係しており、極めて複雑な様相を呈している。事件発生後あまり時間が経過していないため限られた情報しか明らかになっていないが、この論文では公開情報を駆使して多面的な検証が行われている。河越論文は、EU域内の交通インフラ（TEN-T）整備に必要な資金調達をめぐって生じた EUと中国の協調と対立について分析している。欧州統合の深化と拡大には域内の交通インフラの整備が不可欠だが、整備には莫大な経費がかかるため EUは資金不足に悩んでいた。EUの東方拡大により、グローバル化する中国と世界－学際的研究3交通インフラが未整備の中東欧諸国が EUに加盟したことで資金不足はさらに悪化し、同時に厳しい借入基準を課す EUからの資金調達は容易に進まずインフラ整備は低迷していた。一方、中国のグローバル戦略である一帯一路構想の下で、海外への直接投資を積極的に推進し始めた中国は、EU加盟各国を有望な投資先と考え、両者は互いに接近した。その結果、EU域内の交通インフラ整備を目指すTEN-T計画と中国の一帯一路政策が結びつき両者の間ではつかの間の蜜月状態が続き、中国政府と企業は港湾や空港、鉄道網、高速道路など欧州の主要な運輸基盤に積極的に資金を投下した。しかし中国の融資を受けたものの、融資受入国が債務返済に行き詰まった時、受け入れ国は中国政府に施設運営権を譲渡しなければならない恐れがあることから、EUの対中警戒感は増大し、やがて EUと中国間の投資協定は頓挫、EUは「債務の罠」を回避すべく独自の代替案「グローバル・ゲートウェイ」構想を表明した。本論文は、欧州のインフラ整備をめぐる EUと中国の関係を、資金調達面を中心に考察し問題点を指摘しているが、一帯一路政策全体に内在するその他の問題の存在も示唆する興味深い論稿である。磯田論文は、ラテン・アメリカと中国の歴史的、経済的関係を、中国・ペルー関係を中心に考察している。前半は、最初に 5世紀に始まるラテン・アメリカと中国の交易関係を考察し、次に中国と国交を樹立するのか、台湾と国交を樹立するのかという問題をめぐって展開されたラテン・アメリカ諸国の外交政策を歴史的に考察し、最後に中国のラテン・アメリカ諸国との経済関係を、貿易、投資、融資の 3部門を中心に分析している。後半では、今日最大の華僑華人社会を有し、中国資本による最初の本格的投資先であり、さらには中国を最大の貿易相手国としているペルーと中国との二国間関係を、中国移民と経済関係、華僑華人社会における中国文化の継承、ペルーと中国間の貿易関係、中国のペルー向け投資などを中心に丁寧に分析している。グローバル・コミュニケーション研究　第 12号（2023年）4鈴木論文は、 中東欧諸国と中国の関係を、 セルビアに着目しながら、1989年前後の体制転換期以降 30年余りの歴史を 10年ごとに 3つに分けて、それぞれの特徴を考察している。30年余りの展開を見ると、セルビアと中国との関係は、当初の小商人から国家主導の首脳会議や建設事業に移行する中で、小商人、動員された労働者、そして観光客とより多面的、多層的になっていると指摘している。また 2010年代になると、セルビアの進歩党政権と「一帯一路」政策を打ち出した中国政府とは「鉄の友情」で結ばれていった。中国はヨーロッパ進出の足がかりとして中国が中東欧諸国との経済協力関係の構築に積極的に取り組み、その土台として「16＋ 1」サミットの枠組みを立ち上げていった。セルビアは2009年に中国にとって中東欧地域で初の戦略的パートナーとなり、今回また初の包括的・戦略的パートナーとなった。その後、中国―中東欧諸国協力および「一帯一路」建設における両国関係の重要な位置づけと発展の方向性も一層明確になり、「友人＋パートナー」という両国関係の強固な基礎が築かれていった過程が手際よくまとめられている。叶論文では、二つの異なる文化を持つ従業員が日本の職場にどのような形で文化的適応をして来たのか、そしてその適応方式にいかなる要因が影響を与えたのか、について考察がなされている。まず中国からの熟練移住者 10名を対象にインタビューを実施した。その結果、インタビュー参加者は行動面とアイデンティティに関して、異なる適応方式を取り入れたことが明らかになった。特に行動面については参加者の多くが優先順位をつける方式を取り入れているが、区分けする方式やハイブリッド化する方式をとることもあったという。さらにアイデンティティに関しては、参加者の多くが分離型の方式をとっていたが、一部の参加者はハイブリッド型の方式をとっていた。また本研究では、日本で働く中国出身の二つの文化を持った従業員の行動とアイデンティティ面の文化的適応に影響を与える要因についても調査を行っている。その結果、異文化のグループ風土とロールモデルとしてのグローバル化する中国と世界－学際的研究5サポートや機能、社会的ネットワークや個人的な経験、そして受け入れ国の言語の習熟度など個人的な要因も最終的には重要な要素であることが判明した。この研究結果は、日本の組織において、二つの文化を持った個人の文化的適応の複雑さについて新たな知見を与えるものである。

グローバル化する中国と世界－学際的研究

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Effects of Refusal Instruction on English Pragmatic Development

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