小中連携教育コーディネータ養成カリキュラムの開発 ～小中連携の新たなキャリアとして～

義務教育を俯瞰した教育ができる力が教員には求められている。そのような中で，全国の教員（中学校教諭免許状保有者）を対象に小学校教諭2種免許状を取得するに当たり現職教員が取り組みやすいようにオンラインでの講習を開発し，免許法認定講習等のプログラムを開発し実施したので報告する。departmental bulletin pape

幼保小の連携・接続に関する考察 ─「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に視点をあてて─

平成29年に改訂された幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携型認定こども 園教育・保育要領（以下，3法令と表す）において，就学前までに育ってほしい姿として「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」（以下，「10の姿」と表す）が示された。「10の姿」が示されたことは，長年課題となっている幼保小の接続を図るうえで， 効果があるととらえることができるものの，定着しているといえるだろうか。幼稚園・ 保育園・幼保連携型認定こども園（以下，3園と表す）において，「10の姿」についてどのようにとらえ，どのように日常の生活・遊びにおいて生かしているのかを園へのアンケートにより把握したうえで，乳幼児期における「10の姿」の生かし方の案を示し，幼保小の連携・接続の一助としたい。departmental bulletin pape

子ども園における食育のあり方

令和3年度から令和7年度までのおおむね5年間を期間とする第4次食育推進基本計画では7つの項目があり「学校，保育所等における食育の推進」がその一つになっている。 　小学校・中学校では栄養教諭が配置されていて食育を中心とした授業もなされている。しかし，保育園，幼稚園は栄養教諭の配置が無く独自の食育がなされている。加茂郡川辺町立「川辺第3子ども園」では今年度「モグモグ」を食育のテーマとして活動をされていたため，その計画の中に入れていただき「よく噛んで食べることの重要性」を目標にして4 回指導をさせていただけることになった。 　そこで保育園児，幼稚園児に食について関心を持たせるための方策として「楽しく学ばせる」ために今年度は「教材作り」を活動の中心にした。departmental bulletin pape

各務原市営雄飛ヶ丘住宅 DIY リノベーション事業の成果と課題

本学住居学専攻では，岐阜県各務原市の深刻化する空き家の増加と人口減少に対応 するための「借主負担ＤＩＹ型空き家リノベーション事業」の一環として平成30（2018）年度から空き家リノベーション工事に取り組んできた。この取り組み実績を 踏まえ，令和4（2022）年度から令和5（2023）年度においては，各務原市の市職員による提案制度「あさけんクエスト」で採用された「各務原市営住宅 DIY リノベ計画」が始動。各務原市，本学，DIY 型空き家リノベーション事業推進会議のメンバー（各 務原市内の建築関係事業者）の3 者が連携し，雄飛ケ丘住宅F 棟203 号室を対象にして，改修デザインの提案から施工までを本学学生が行った。本稿は，この空き家リノ ベーション工事の企画・設計から改修工事までのプロセスについて紹介するとともに，この各務原市営雄飛ヶ丘住宅DIYリノベーション事業の成果と課題について取りま とめたものである。departmental bulletin pape

ガンバレご飯の取り組み ～成果と課題～

健康栄養学科では，3年生の学生が勉学に励んでいる4 年生の体調を食事でサポートするガンバレご飯の提供を実施しており，今年度で12年目を迎える。ガンバレご 飯の提供を通して，3年生は対象者に合わせた栄養給与目標量の算出，献立の作成，発注，衛生管理に基づく調理，食事の提供から片付け，帳票管理等の栄養士・管理栄養士業務の一連を学修し，総合的なマネジメント力，実践力を身に付けることを目的としている。同時に，喫食者となる4年生は，バランスのとれた食事を摂る中で管理 栄養士業務の重要性を再認識するとともに，卒後に相手のことを考えた献立作成につなげられる。本報告は，これまでの取り組み，その中で得られた成果と今後の課題について取りまとめた。departmental bulletin pape

ミニ懐石料理の提供に向けた取り組み ～食材を無駄なく活用する～

健康栄養学科では，学生主体の活動「EAT＆スマイルプロジェクト＃岐女大」の1つとして，さぎ草祭でミニ懐石料理の提供を行っている。2024年度は「食材を無駄なくいただこう」をテーマとし，より食材の廃棄を少なくすることを目標として活動を行った。本報告では，2024年度の活動内容，また学生の食に関する意識や活動への取り組みの意識を調査し，今年度の活動について総括した。departmental bulletin pape

保育士養成課程におけるプロセスレコードを用いた 乳幼児理解の学習実践（1） ─実践事前・事後アンケートの結果より─

保育に従事する者にとって，「子どもを理解することが保育の出発点」であると言われている。子どもの理解のためには，実際に子どもと関わる中で気づきを得ることが最良であるが，保育士養成課程で学生が子どもと関わる体験のできる場は見学や実習等，限られた時間しかないのが現実である。そこで，看護師養成教育では一般的な手法であるプロセスレコードを保育士養成教育用教材として開発し，実習事前学習として行われるふれあい体験をもとにプロセスレコードを書き，グループワークを行う演習を実施した。また，事後アンケートを行い，学生が，どのような場面で戸惑いや困難を感じているのかを明らかにし，子どもの言動の奥にある本当の気持ちに気づき，どのように関わればよかったかを考察するという学習を通して，子ども理解，自己理解の一助となることを検証した。その結果，学習内容や効果の程度に差はあったものの保育士養成課程の学生に対しても一定の学習効果が期待できると考えられた。departmental bulletin pape

プロチャスカモデルの行動変容ステージを改善させる 社会的環境要因

Objective: This study aims to examine the validity of the Transtheoretical Modelʼs three components （decisional balance, Self-efficacy, and processes of change） applied in Japan and to present a new health guidance that considers social and environmental aspects leading to progression in the stage of behavioral change. Methods: A self-administered questionnaire was conducted with 51 residents living in the Tokai Region, Japan, and a community in a suburb of the same region, to collect information on the following components: subject attributes, stages of behavior change regarding lifestyle, reasons for lifestyle improvement, and three concepts of the Transtheoretical Model. Results: An analysis revealed that it is appropriate to classify the “processes of change” into two categories: organismic nature and autonomy. Subjects in the Maintenance Stage, whose stages of change have progressed furthest, scored higher in decisional balance, self-efficiency, organismic nature, and autonomy than those in other stages, such as the Pre-contemplation Stage. The answer choices that raised scores were: lifestyle improvement recommendations by friends, family, and the media. On the other hand, the options that lowered scores were family members becoming sick, weight or body shape change and receiving health guidance. Discussions: The study revealed that advice for lifestyle improvement by people around patients and by the media helps to increase the stages of behavior change. To improve health guidance, which is often ineffective, it is important to take into account the social environment close to each patient and also to remove the negative perception of health guidance.departmental bulletin pape

米の配布による朝食摂取モニター調査

国民1人1年あたりの米の消費量は，1962年の118.3kg から2022年には50.9㎏まで減少している（農林水産省食料需給表）。水稲の作付面積も減少し，反対にうるち米 の民間在庫が増加していることから米余り問題が起きていると考えられる。本学健康 栄養学科の学生対象アンケート調査の結果では朝食欠食者，朝食で米以外を食べてい る学生が多く見られた。そこで米の摂取量を増やすことを目的として，モニター参加 者を募り，実際に学生に米を配布して朝食として食べてもらい，米を摂取した場合の 効果を調査して朝食での米摂取の習慣化や前向きな実施を狙った。departmental bulletin pape

教員養成段階におけるレジリエンス育成にむけた手法への一考察 ─レジリエンス向上プログラムの整理から─

本研究では，教員養成段階におけるセルフケアの視点から，介入を行うことで個人 のレジリエンスを向上させようとする実践やプログラムについて，実施方法やプログラムの構成を中心に，主に大学生，教員養成，教師の3つの視点で国内の研究を整理した。 　その結果，講義での対面形式でのプログラムを中心としながらも，学習した知識や 技能を日常場面に般化して応用していくためには，講義以外の場面での動画などの活用が考えられた。また，教員養成の学生にとっては，教育実習や教育活動で多様な他者と共に課題解決を目指すような学修を積極的に講義に取りいれることでより日常の レジリエンスを発揮することができるように向かわせることが重要であることが明らかになった。departmental bulletin pape