Ehime University Institutional Repository

川島, 佳弘

KAWASHIMA, Yoshihiro

Japanese

The Shikoku Henro and Medieval Castle Buildings: Focusing on Iyadaniji and Amagiri Castle

髙橋, 基泰

Takahashi, Motoyasu

OZ.GEDCOM Development: Commonative Analysis of Genealogical Multi-layered Communities in Europe and Japan

Ehime University (愛媛大学)博士(医学)thesi

平岡, 大輔

 （第３号様式）      学 位 論 文 要 旨                氏   名 平岡 大輔                論 文 名 血流下血栓形成能解析システム（T-TAS）を用いた全身性エリテマトーデス患者におけるヒドロキシクロロキンの抗血小板作用に関する解析       学位論文要旨 【背景と目的】全身性エリテマトーデス（SLE）は、全身の臓器に症状が出現する自己免疫疾患である。治療の進歩にも関わらず、SLE 患者の死亡率は健常者と比べ 2〜3 倍と高く、心血管疾患（CVD）は死因の上位である。そのため、SLE 診療において CVD の予防は重要である。ヒドロキシクロロキン（HCQ）は、禁忌がない限り全ての SLE 患者に使用される標準的薬剤である。HCQ は SLE 患者の血栓イベントを抑制するという報告があり、血小板凝集能検査における凝集抑制効果がその裏付けとなっている。しかし、血小板凝集能検査は複数の点から非生理的であり生体内反応を正確に反映していないとされ、実際に HCQ が抗血小板作用を有しているのか不明である。また、抗血小板作用が得られる HCQ の用量も不明である。今回、我々が用いた血流下血栓形成能解析システム（T-TAS）は、コラーゲンがコーティングされたマイクロチップに全血を一定の流速で流し込み、圧曲線を記録することで、ずり応力による血栓形成を血流下で定量的に解析できる装置である。T-TAS を用いて、生理的条件に近い環境下で HCQ の抗血小板作用を評価することが本研究の目的である。 【材料と方法】2022 年 12 月から 2024 年 1 月までに当院に通院した SLE 患者を対象とした。ACR SLE 分類基準（1997 年改訂）あるいは SLICC SLE 分類基準のいずれかを満たしていることを組入基準とし、抗血小板薬使用中や活動性感染症・悪性腫瘍を合併している患者、妊娠・月経中の患者は除外した。さらに、血小板数 ≤ 13 万/μL, ヘマトクリット <25%の患者も除外した。マイ   氏名  平岡 大輔  クロチップに全血を流し込み、マイクロチップが閉塞するまでの圧曲線を記録した。測定開始 10分間の曲線下面積（PL-AUC10）を測定し、血栓形成能を定量評価した。EULAR 推奨の目標用量である HCQ/実体重 5mg/kg をカットオフ値として、HCQ 使用者を 2 群に分け（HCQ/実体重 <5 mg/kg 群と≥ 5 mg/kg 群）、HCQ 非使用者と合わせて 3 群で PL-AUC10 を比較した。さらに、健常者全血に HCQ を添加し、HCQ 濃度と PL-AUC10 との関連も解析した。3 群間のノンパラメトリックな連続変数の比較には Kruskal-Wallis 検定と Dunn 検定を、非線形関係の解析には restricted cubic splines（RCS）を用いた。HCQ 使用者の PL-AUC10 の下側三分位数以下を本研究における「明らかな抗血小板作用」と定義した。HCQ 非使用者と「明らかな抗血小板作用」を有する HCQ 使用者との判別能の評価および、「明らかな抗血小板作用」が得られる HCQ 投与量のカットオフ値の同定に ROC 曲線を用いた。本研究は、愛媛大学医学部附属病院の臨床研究倫理審査委員会によって承認されている。 【結果】HCQ 非使用者と HCQ/実体重 <5 mg/kg 群の PL-AUC10 に差はなかったが、HCQ/実体重 ≥5 mg/kg 群の PL-AUC10 は<5 mg/kg 群と比較し有意に低下していた（p=0.001）。次に、PL-AUC10と HCQ/実体重との関係を RCS により解析したところ、PL-AUC10 は HCQ/実体重 約 4 mg/kg から低下し 5.5 mg/kg あたりでプラトーに達することが判明した。また、HCQ 使用者において、ROC曲線から得られる「明らかな抗血小板作用」のカットオフ値は HCQ/実体重 4.6 mg/kg で、感度84.6%、特異度 80.8%、AUC は 0.83 であった。次に、健常人の全血を用いた HCQ 濃度と PL-AUC10との関連解析では、HCQ 0 μg/mL と比較して 1、2、10 μg/mL における PL-AUC10は有意に低下しており（それぞれ p=0.037、p=0.009、p=0.014）、HCQ 濃度の増加に伴う PL-AUC10の低下傾向を認めた。 【結論】T-TAS を用いて生理的条件に近い環境下で HCQ の抗血小板作用を初めて見出した。HCQの抗血小板作用は、HCQ/実体重 約 4 mg/kg から検出され、約 5.5 mg/kg 以上ではプラトーに達することが判明した。さらに、HCQ/実体重 >4.6 mg/kg で明らかな抗血小板作用が得られることも見出した。本研究は、HCQ の血栓予防効果を裏付ける一つの根拠となり、SLE 患者の主な死因である CVD の発症抑制を考慮した治療戦略の構築において、HCQ の適切な投与量を検討する際の重要なエビデンスになると考えられる。    キーワード（３～５）    ・全身性エリテマトーデス（Systemic lupus erythematosus; SLE） ・ヒドロキシクロロキン（Hydroxychloroquine; HCQ） ・心血管疾患（Cardiovascular disease; CVD） ・血流下血栓形成能解析システム（Total Thrombus-formation Analysis System; T-TAS）       

血流下血栓形成能解析システム（T-TAS）を用いた全身性エリテマトーデス患者におけるヒドロキシクロロキンの抗血小板作用に関する解析

吉田, 美由紀

 (第５号様式) 学位論文審査の結果の要旨 論 文 名 多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度の開発 審査結果の要旨【背景と目的】日本において、がん患者の約 6 割は「自宅」で最期を迎えることを希望しているが、実際に叶うのは 1 割にとどまる。患者や家族の望む在宅看取りを実現するには、質の高い在宅緩和ケアと多職種の密接な連携が不可欠である。日本では専門職の地域偏在という課題があり、特に過疎地域では地域にいる多職種メンバーで役割を共有し補完し合うトランスディシプリナリーチームケアが必要とされる。しかし、多職種で共有すべき具体的なケア内容やチームの実践を評価できるツールは明らかにされていなかった。そこで本研究では、多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度を開発することを目的とした。【対象と方法】まず「多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度」の項目作成のために文献検討を行った。福祉職を主体とした研究が少なく医療職の実践内容に偏った結果となったため、多職種のエキスパート 13 名を対象にインタビュー調査を実施し質的帰納的に分析した。その結果、66 のサブカテゴリ、9 のカテゴリを抽出した。これらを用いて尺度項目案を作成し、がん看護専門看護師および研究者により表面妥当性と内容妥当性を検証し、61項目の尺度原案を作成した。次に、尺度の信頼性と妥当性の検証のため、がん患者の在宅看取りに携わった経験のある全国 3655 施設の多職種（医師、訪問看護師、介護支援専門員、介護福祉士、薬剤師）を対象に質問紙調査を実施した。調査内容は、基本属性、過去 2 年間の終末期がん患者の担当数および在宅看取り数、Good Death Scale 日本語版（GDS-J）、緩和ケアに関する地域連携評価尺度、本研究で作成した尺度原案の計 101 項目であった。有効回答データを 3 グループに分け、段階的に分析を行い、信頼性と妥当性を検証した。【結果】質問紙調査の有効回答は 914 件（回収率 8.4％）であった。項目分析で天井効果を認めた氏 名 吉田 美由紀審 査 委 員主　査　　　藤村　一美副　査　　　薬師神　裕子副　査　　　二井谷　真由美 項目と尖度の高かった項目 17 項目を削除した後、探索的因子分析と確認的因子分析により最終的に 2 因子 17 項目からなる「多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度」を作成した。確認的因子分析の結果、因子間相関係数は.67、パスの標準化係数の範囲は.54～.76、重相関係数の平方の範囲は.29～.58 であった。モデル適合度は、GFI=.95、AGFI=.93、CFI=.95、RMSEA=.05 を示し、適合度の基準を満たしていた。 信頼性の検証では、第 1 因子は Cronbach'sα=.87、McDonald'sω=.87、第 2 因子はα=.85、ω=.85、尺度全体ではα=.89、ω=.89 であり、高い内的整合性が確認された。第 1 因子は【患者の変化に合わせた即時臨機応変な対応】、第 2 因子は【患者の状態予測に基づく先制の対応】と命名した。 基準関連妥当性の検証では、GDS-J 合計得点と本尺度合計得点との相関係数は .27(p<.001)、緩和ケアに関する地域連携評価尺度と本尺度合計得点との相関係数はr=.49(p<.001)であった。また、過去 2 年間の終末期がん患者の担当数および在宅看取り数と本尺度合計点数との相関係数はいずれも.33(p<.001)であり、基準関連妥当性が確保されていることが確認された。 【結語】 本研究で開発された「多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度」は信頼性と妥当性を有し、在宅緩和ケアの実践評価に活用可能である。今後は介入研究による実用性の検証と、患者・家族アウトカムとの関連検証が求められる。  本論文は、多職種統合チームによる在宅緩和ケアの実践を評価するための客観的な尺度を初めて構築した点で独創的であり、チーム全体の実践を包括的に測定するための明確な指標を提示している。特に、トランスディシプリナリーチーム・アプローチの概念を取り入れた点は、専門職の地域偏在という日本の医療課題に対応する実践的な意義が大きい。公開発表会は、令和 7 年 1 月 27 日に開催され、申請者は研究内容を日本語で明確に発表した。さらに、最終試験は令和 7 年 2 月 6 日に開催され、1）多職種チームの構成メンバーにリハビリテーション専門職を含めなかった理由、2）第 1 因子が 12 項目と項目数が多くなった点についての理由と妥当性、3）第 1 因子に含まれる項目間の冗長性、4）在宅緩和ケアのプロセス評価とアウトカム評価の関連性などに関する質問に対して日本語で論理的かつ的確に応答した。 審査委員は、申請者が本論文関連領域に対して学位授与に値する十分な見識と能力を有することを全員一致で確認し、本論文が学位授与に値すると判定した。   

多職種統合チームによる在宅緩和ケア実践評価尺度の開発

林, 孝洋

HAYASHI, Takahiro

A Historiography of the Risorgimento: from the Perspective of New Cultural History and Transnational History

徐, 敏徹

SEO, Mincheol

Understanding the Relationship Between the Local City of Matsuyama and Korean Tourists Through Foreign Entry Statistics, Search Trends, and Blog Analysis

永廣, 結衣

NAGAHIRO, Yui

社会生活における「話すこと・聞くこと」の学び―「質問で相手の思いに迫る」（中学校3年・光村図書）を例に―

上月, 翔太

KOZUKI, Shota

The Development Process of the Course “Futures Thinking”

秋山, 英治

AKIYAMA, Eiji

指導者における話し言葉・書き言葉に対する認識について :学習者との比較

渡森, 一光

（第７号様式） 学位論文審査結果の要旨 氏 名 渡森 一光  審 査 委 員  論  文  名 人工膝関節全置換術後患者における跪き動作時の床からの接触圧の検討 審査結果の要旨   【研究内容のまとめ】  変形性膝関節症（膝 OA）に対する有効な外科的治療法であり患者満足度の高い人工膝関節全置換術（TKA）の術後満足度低下の最大要因の一つに跪き能力の低下がある。申請者は、跪き動作時に膝関節前面にかかる接触圧力（以下 contact pressure）が高いことが、膝関節前面の疼痛と関連があるのではないかと仮定し、正確な contact pressure の測定方法の確立および TKA 術後患者の跪き能力などの身体機能との相関を明らかにすることを目的に本研究を実施した。  膝関節疾患の既往がない 26 名（31 膝）の健常者（以下健常者群）と当院にて初回人工膝関節全置換術を施行した 60 名（75 膝）の患者（以下 Post-TKA 群）を対象とし、面圧分布測定システム I-SCAN（Nitta Corp. Ltd., Osaka, Japan）を使用して、contact pressure および、contact area を測定した。また、TKA 術後患者の跪き能力の評価（以下 kneeling score）には膝関節機能評価に用いられる Oxford Knee Score の跪きに関する質問を用い、疼痛の評価（以下 kneeling pain score）には Numerical Rating Scale を使用した。また、TKA 術後患者においては Spearman の順位相関を用いて kneeling score と年齢、体重、BMI、kneeling pain score、接触圧の関係性を検討した。その結果、Post-TKA 群において 36%の患者が跪きはできないと答え、75％の患者が何らかの困難を感じると答えた。主　査　　　今井　祐記副　査　　　松田　正司副　査　　　高崎　康史副　査　　　竹葉　淳副　査　　　永井　勅久また、健常者群と比較して Post-TKA 群では、跪き時の最大 contact pressure に統計学的に有意な減少を認めたものの、contact area には明らかな差を認めず、跪き時の最大荷重は有意に小さかった。さらに kneeling pain score と kneeling score に中等度の負の相関を認め、contact pressure と kneeling score に弱い正の相関を認めた。      以上の結果から、申請者は、面圧分布測定システム I-SCAN を使用することで contact pressure を正確に定量化することに成功した。また、TKA 術後患者は痛みにより十分な荷重をかけることができないため、跪き時の contact pressure が健常者よりも低いことが確認された。この結論を踏まえ、跪き時の接触圧を低減することが跪き動作の改善につながり、TKA 術後の満足度改善につながると考えた。そこで、申請者は、低反発シート状装具を開発し、使用時の接触圧を測定したところ接触面の拡大を伴う荷重量の増加を認めた。今後臨床応用に向け、さらなる研究により跪き動作を含む日常生活動作への改善効果の評価が期待される。       本論文に対する公開審査会は平成 30 年 1 月 9 日に開催された。申請者が研究内容について英語で説明した後に、審査委員から本研究に関連する以下の様な質問がなされた。    １）跪き時の疼痛の発生部位は皮膚表面、関節深部、両方、のいずれか。２）疼痛の原因が皮膚である場合は、皮膚切開部位の変更で対応可能であるか。３）本研究成果から臨床応用へ期待されることは何か。４）跪き動作困難である患者の場合の測定方法はどの様にするのか、またその正確性について。５）TKA 術後の跪きの可否の理由は何か。６）健常者ではなく膝 OA 患者（もしくは術前）と比較した場合はどの様な結果が予測されるか。７）膝蓋骨骨折患者の場合は、正確に測定できるのか。８）新たに開発されたシート状装具は TKA 術後疼痛の緩和に有用か。９）下肢筋力の低下と跪き動作との相関はあるのか。１０）日常生活動作のおける洋式または和式と疼痛との関連はあるのか。      これらに対して申請者は、質問の意図を十分に理解した上で、詳細かつ明確に回答した。本論文は、TKA 術後の患者満足度低下の要因の一つである跪き動作の困難について、初めて contact pressure を正確に測定する方法を確立し、跪き時の接触圧を低減することが跪き動作の改善につながることから、新たな装具の開発につながる臨床上有用な知見を含んでおり、今後の更なる研究の発展が期待される。審査委員は一致して本論文を高く評価し、博士（医学）の学位論文に値するものと結論した。            

人工膝関節全置換術後患者における跪き動作時の床からの接触圧の検討

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