Fukui Health Science University Repository
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205 research outputs found
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短時間リハビリルーム『つなぐ』の現状と今後の課題
要 旨:【目的】当院は短時間リハビリルームつなぐ(以下,つなぐ)を2017年に開設した.利用者の特徴や運動機能の変化からつなぐの現状,利用修了の要因,今後の課題を検討した.【対象・方法】2017 年6 月~2022 年12 月のつなぐ利用登録者は203 名であった.このうち入院・死亡で中断,データ不足の46名を除外し,157名(平均年齢77.2±9.3歳)を対象とした.2022年度末の利用状況で継続群(84名),修了群(73名)に群分けした.さらに修了群を転帰先で完全修了群(38 名),デイ移行群(35 名)に群分けし,利用者背景,利用期間や運動機能を比較検討した.【結果】要支援者,運動器疾患者,認知機能正常者は,短期間で運動機能の改善を認め,完全修了に至る可能性が示唆された.【考察】つなぐ利用者の背景,運動機能の改善度から,個々に適した目標を立案し,社会復帰および次の受け皿へとつながる可能性が示唆された.journal articl
正常構音児と機能性構音障害児における 口腔内の体性感覚機能の比較検討
要 旨:【目的】未就学児を対象とした口腔内の体性感覚検査を考案し,機能性構音障害児の感覚機能の特徴を明らかにすることである.【対象・方法】1.検査の考案:未就学児が実施可能な口腔内立体認知と舌の触覚検査を作成し,検者内信頼性を確認した.2.正常構音群と機能性構音障害群の比較:対象児の保護者には感覚機能のアンケートを実施し,対象児には,改定版随意運動発達検査及び口腔内の体性感覚検査を行い,統計学的に比較した(有意水準5%).【結果】改定版随意運動発達検査のオーラルディアドコキネシスのみ機能性構音障害群が有意に低値を示し(p<0.05),その他の項目に有意差はなかった.【考察】本研究で未就学児を対象に口腔内の体性感覚について簡易かつ信頼性の高い検査を考案し,評価することができた.口腔内の体性感覚検査に有意差を認めなかったことから,機能性構音障害の背景には口腔内の体性感覚機能の偏りは影響していない可能性が示唆された.journal articl
後期高齢者の新型コロナウイルス感染症における 意思決定支援の重要性
要 旨:当院では2020 年10 月~2023 年9 月までに1242 人の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)陽性患者を受け入れた.第3波~第5波は軽症・中等症Ⅰの若年者・中高年の入院患者対応であった.第7波からは高齢者やリスク因子のある患者対応を当院が担った.重症化率は低下したが,死亡した患者は10%に達した.そのため入院条件として蘇生措置拒否(Do Not Attempt Resuscitation:以下,DNAR)の説明と同意に関する書類の取得を必須とした.その中で,DNAR取得が困難な症例や入院後に説明しなおす症例が散見された.制限された環境下で家族が意思決定をするためには,医療者の情報提供や不安の傾聴が重要であった。突然の判断や治療方針を検討しやすくする為には,日頃の人生会議(Advance Care Planning:以下,ACP)の導入も必要であると考えたので報告する.journal articl
認知症高齢者に対する簡易的運動の効果
当院デイケアでは,2022 年 5 月より転倒が少なく安全に運動が行える機器としてパワープレートとエルゴメーターが導入された.本研究は,これらの機器を用いた運動が,当院デイケアを定期的に利用している認知症高齢者の認知機能や精神機能,身体機能,生活機能に与える効果を明らかにする事を目的とした.3ヶ月の簡易的運動により,これらの機能の維持はある程度図られており,介護者の負担は有意に軽減した.また,パワープレートはリラックス効果を有する可能性も示唆された.今後も,負荷量を考慮しつつ簡易的運動を継続していくことが望ましいと考えられた.journal articl
「意味のある作業」に着眼した新型コロナウイルス感染症流行下での精神科作業療法の役割
新型コロナウイルス感染症の為に精神科病棟での活動が制限されている中,患者自身が考える「意味のある作業」とは何かを明らかにすることを目的に,福井病院入院中の対象者にアンケート調査を行った.対象者が考える「やりたい,したいと思っている作業」を挙げてもらい,それぞれの主観的な遂行度と満足度を定量化した.また,挙げられた作業を手工芸的技術的活動,身体的スポーツ的活動,社会的レクリエーション活動,日常生活活動的活動,教育的文化的活動の5つに分類した.各分類における遂行度と満足度を比較し,さらに5分類間の遂行度と満足度を比較した.対象者が挙げたやりたい作業の中で,最も多かったのは社会的レクリエーション活動であった.各分類における遂行度と満足度に有意差はなかった.一方,5分類間の比較では社会的レクリエーションの遂行度や満足度は他の活動と比べて高くはなった.「意味のある作業」に向けて,今後はまずは院内での社会的レクリエーション活動を増やしていく必要があると考えられる.journal articl
睡眠薬の服薬状況と転倒・転落についての検討
ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD 薬群)は耐性や依存性の問題のみならず,筋弛緩作用や持ち越し効果による転倒リスクが指摘されてきた.これに対し,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z 薬群)は BZD 薬群に比較して,高い入眠効果に加えて,ふらつき等の副作用低減といった利点があるとされる.本研究の目的は,転倒転落の安全性における Z 薬群の BZD 薬群に対する優位性を検証することとし,転倒転落事例について診療録を用いて後ろ向きに検討した.期間中の転倒転落事例発生数は 99 件あり,睡眠薬服用下の転倒事例は 33 件であった.BZD 薬群処方例(102 例)中 2 件(2%)の転倒が発生し,Z 薬群処方例(251 例)中 18 件(7.2%)で転倒が発生した.転倒発生における Z 薬群の BZD 薬群に対する優位性は認められず,むしろ Z 薬群において統計学的有意ではないものの転倒発生率の増大傾向が観察された.(p = 0.055).Z 薬群は,BZD 薬群よりも転倒を誘発する可能性があり,注意する必要があると考える.journal articl
入院時患側 Phase Angle と非患側 Phase Angle の比は,退院時移乗 FIM と関連する
生体電気抵抗法を利用した体組成計で得られた測定値 phase angle(以下 PhA と略す)と,回復期リハビリ病棟に入棟した脳卒中後の患者の退院時予後との関連について検討した.方法;2022 年 6 月から 2022 年 11 月までに当院回復期リハビリテーション病棟に入棟し退棟した脳卒中後患者 35症例(男性 19 女性 16),平均年齢 74.64 歳(標準偏差 SD12.17)を対象とした.退院時の移乗 FIM(平均 9.43(SD3.91))を目的変数とし,入院時の麻痺側 PhA と非麻痺側 PhA の比(平均 0.90(SD0.13))(以下 PA 比),栄養指標 GNRI(平均 92.97(SD9.80)),AWGS2019 年診断基準による Sarcopenia(12 例 34.29%)の 3 項目を説明変数として,重回帰分析を行った.結果;退院時移乗 FIM について,PA 比は係数 9.6723,P 値は 0.027 であり,GNRI については係数 0.2100,P は 0.002 となり,それぞれ有意な関連があった.Sarcopenia については有意な関連はなかった.journal articl
新型コロナウイルス感染症流行下における医療従事者のメンタルヘルス -新田塚医療福祉センター職員の抑うつ,レジリエンス,ストレスチェック結果の考察-
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の著しい増加に伴い,医療従事者へのメンタルヘルス対策の重要性が指摘されている.本研究は,COVID-19 流行下での新田塚医療福祉センター(以下,センター)職員のメンタルへルスの現状と,それに影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的として調査を行った.①全職員に毎年行われている職業性ストレス簡易調査票について,2020 年と過去 4 年間の結果を比較した.②全職員に,COVID-19 による職場・家庭環境の変化等についてアンケート調査を行った.同時に,うつ病自己評価尺度(CES-D)および二次元レジリエンス要因尺度を用いて,抑うつおよびレジリエンスを評価した.他の研究と同様にうつや不安の増大が懸念されたが,本研究では COVID-19 によるセンター職員のメンタルヘルスの悪化は見られなかった.その要因として,感染症対策が有効に働いていること,日頃からの働きやすい職場環境への働きかけ等が考えられた.journal articl
オンライン面会の現状と効果,今後の課題について
感染症対策下で取り入れたオンライン面会につき,利用者家族 47 名,職員 27 名へのアンケート調査を行い,利用者 13 名の認知機能,ADL の評価比較により,現状と効果,改善点が見えてきた.家族アンケートより(今後もオンライン面会の継続を望む)は 94.1%,(今後は利用したい)は 72.2%,(不満)は 0%だった.職員が面会に立ち会いケアの手がかりを得て,利用者の不穏症状の軽減,意欲向上に繋げる事ができたとの答えが多かった.利用者では,認知機能で遅延再生の項目で改善傾向があり,有意差が認められた.オンライン面会によりお互いの表情が見える事で,利用者と家族の不安が軽減し精神的な安定に繋がっていると考えられた.帰宅要求が増強した利用者には,在宅復帰に繋げる事で施設経営面でも有用と考える.現実的な支援策の提案,サービス提供の情報共有など,家族と利用者と施設を繋ぐ事ができたと示唆された.今後の改善点を検討し,質の向上を目指したい.journal articl
頬部に発生した石灰化を伴う小唾液腺由来の多形腺腫の1例
今回,我々は頬部に発生した石灰化を伴う小唾液腺由来の多形腺腫の1例を経験したので報告する.症例は 50 歳代女性で,左頬部の大きなしこりを主訴に歯科口腔外科を受診した.CT にて境界明瞭な石灰化を伴う腫瘍を認めた.全身麻酔下に腫瘍を摘出し,多形腺腫との診断を得た.その後再発は認めていない.journal articl