Tohoku Fukushi University Repository / 東北福祉大学リポジトリ
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東日本大震災を経験した住民の社会的孤独・孤立への支援
近年,先進諸国をはじめ日本においても社会的孤独・孤立についての問題は深刻となっている。そのような中で,2011 年の東日本大震災で,津波や地震の影響で故郷を去らざるを得ず,災害公営住宅への転居を余儀なくされた住民の社会的孤独・孤立について問題となってきた。本研究は,これまで発表された論文を通し,東日本大震災後の災害公営住宅で暮らす住民の社会的孤立に焦点を当て,その背景や課題,これまでの支援の効果について明らかにすることを目的とした。その内容を整理・分析することで,今後の効果的な支援について考察した。対象論文は海外論文が11 件,国内論文が15 件であった。海外論文では縦断的研究が多く,社会的孤立との関連を調査する研究が多かった。それにより,社会的孤立と機能障害発症リスクとの関連や社会的孤立と抑うつとの関連があることが明らかとなっていた。国内論文では,住民を対象としたものでは,個別性のある支援がなされていたが,共通して早期の社会的孤独・孤立へのアセスメントの必要性や継続した支援の重要性が報告されていた。日本は災害大国であり,東日本大震災後の社会的孤独・孤立について,現状や課題,支援の効果などの知見を整理することで,今後の起きうる災害後の社会的孤独・孤立への予防や継続的な支援の在り方などに活用できると考えられる。journal articl
Attitudes towards Sign Language among Students Studying Special Needs Education or Welfare: Questionnaire-Based Survey Study
近年、全国の多くの自治体で手話言語条例が制定され、言語として手話を理解するとともに手話の利用を促進する動きがある。 また、大学の言語科目の選択肢として日本手話を開講している大学も増えつつある。 東北福祉大学では特別支援教育や福祉を学ぶ学生が多く、 学生たちは授業や実習などである程度手話に触れる機会があるものと考えられる。 しかし、 本学では現在のところ言語科目として本格的な手話学習を提供する機会はない。 そこで本研究では、 特別支援教育や福祉を学ぶ学生たちが手話にどの程度関心をもっているかにつ いてアンケート調査を行い、 学生の手話学習のニーズについて検討するための基礎資料を 得ることを目的とした。In recent years, many local governments across the country have enacted Sign Language Legislation, and there is a movement to understand sign language as a language and promote its use. An increasing number of universities are also offering Japanese Sign Language as an option in their language programs. At Tohoku Fukushi University, many students study special needs education and welfare, and it is assumed that students have some opportunities to come into contact with sign language in classes and practical training. However, at present, the university does not offer any opportunities to offer full-scale sign language study as a language subject. Therefore, in this study, I conducted a questionnaire survey to find out the level of interest that students studying special needs education and welfare have in sign language, with the aim of obtaining basic information for examining students' needs for learning sign language.journal articl
A study of university students' moral awareness ー Exploring Perspectives on Enhancing the Subject of Moral Education ー
将来教員を目指す大学生に 「道徳の指導法」 「道徳の教材研究」 を講義するにあたり、 どのような点に留意して指導することがより効果的なのかを考える際に、目の前の大学生の実態を知ることは常々重要であると考えている。 大学生がとらえる 「道徳」の意識について 「道徳教育 (1995年4月臨時号)」の調査結果を参考に、大学生にアンケートを行い、 大 学生の背景にある道徳教育の変遷を振り返りつつ、これまでの道徳教育の成果と課題、そして 「特別の教科 道徳 (道徳科)」 の充実を目指して考察を行うものである。When considering how to effectively teach university students aspiring to become teachers about "moral education teaching methods" and "moral education curriculum research," it is crucial to understand the reality of the students before us. To gain insight into how university students perceive "morality," I plan to conduct a survey among them, using the findings from 『the Moral Education (April 1995 special issue)」 as a reference. This survey will help reflect on the historical changes in moral education that have shaped the students' background, evaluate the achievements and challenges of past moral education, and engage in discussions aimed at enhancing the "Special Subject: Moral Education."journal articl
地域エコシステムの課題と展望
エコシステムの概念は、現在では企業の誕生、成長、消滅等を議論する際の重要な論点となっている。
一方で、エコシステムは「製品エコシステム」「地域エコシステム」等、様々な概念で使用されており、論者によっても使用目的や内容が異なる。あるいは、地域エコシステムは国及び自治体の産業政策としても重要視されるが、既存研究との連携性や過去の産業政策との評価が充分に行われないままに新たな下位概念が次々と生まれている。また、その産業政策の方向性は「起業」に偏っているとも考えられる。
本稿では、以上のようなエコシステム、特に地域エコシステムの問題点を整理し、今後の研究課題として、新企業の創業とともに既存企業の強化やwell-beingに関連する意味でエコシステムを位置付けることを考察していく。journal articl
Empowerment Effects of the PCAGIP on Students after Practical Training: A Focus on the Impact of Kingyobachi
実習後の学生に実施したPCAGIP (Person-Centered Approach Group Incident Process) 法において、エンパワーメント効果が得られるかどうか、役割の異なる 「金魚」 と 「金魚 鉢」 を比較して検討することを目的とした。 量的分析より、学生対象のPCAGIP法は養護教諭対象の PCAGIP 法と同様に、1回でもエンパワーメント効果があること、「金魚」 と 「金魚鉢」 のエンパワーメント効果量に有意な差がないことが示された。質的分析より、役割や体験は異なっていても、言語的及び非言語的な交流の中で、受容されたり、逆に他者を支える経験(グループの 「相互作用」) を通じ、 エンパワーメントの概念の要素である 「支えられ感」 や 「自尊感情」、「自己効力感」が高まることが示唆された。The purpose of this study was to examine if empowerment effects could be achieved from the PCAGIP (Person-Centered Approach Group Incident Process) targeting students after practical training by comparing Kingyo and Kingyobachi, which have different roles. The results of the quantitative analysis indicated that the PCAGIP method, when aimed at students or yogo teachers, had empowerment effects even with just one implementation. There were no significant differences in the amount of empowerment effects achieved between Kingyo and Kingyobachi. The qualitative analysis findings suggested that, despite differences in roles and experiences of Kingyo and Kingyobachi, students enhanced their sense of support, self-esteem, and self- efficacy through verbal and nonverbal exchanges, experiencing interactions of being accepted and supporting others. These elements are integral to the concept of empowerment.journal articl
病院内救急救命士のキャリア自律について -文献と研究動向から-
救急救命士法が改正となり、救急救命士が医療機関内で働けるようになり約3 年が経過した。これまでの消防一択から働く場の選択肢が出来たことにより、医療従事者としてのアイデンティティが求められるようになった。終身雇用と年功序列をベースとした日本型雇用慣行の崩壊後から進んできた「キャリア自律」であるが、救急救命士にも求められていると考える。そこで本研究では、日本におけるキャリア自律の先行研究を検討し、救急救命士におけるキャリア自律に関する研究の課題抽出を試みた。企業等を対象とした研究では、「他者との関り」や「認められた」と感じられることがキャリア自律の促進要因となること、若年層に対するキャリア自律支援は、組織定着を促進していた。また、外資系企業に代表される「ジョブ型雇用」は、雇用システム自体がキャリア自律を促していた。しかし、病院内救急救命士だけでなく救急救命士に関するキャリア自律の研究はこれまで行われておらず、病院内救急救命士のキャリア自律のプ
ロセスやキャリア自律の促進要因について、研究を進める必要性が明らかになった。journal articl
音高の認知が苦手な人に提示する「音」の 有効性に関する研究 ─ 教師と学生の性差がある場合において ─
教員養成の現場において,歌唱練習は,学習者が模範となる教師の音声を模倣することによって行われてきた。しかしながら,音を合わせて歌うことが苦手な学生が一定数いる。その背景には,学校でしか音楽経験がないという学習経験の少なさと,聴きなれ
ない他者の声から音高を認知することが難しいことが挙げられる。歌唱が苦手な学習者にとって,模範の音声の違いが歌唱練習にどのように影響を与えるか検証する必要がある。
そこで,被験者を募集し,エントリーをした学生を対象にピッチマッチと発声練習の方法を複数回実施した。具体的には,複数の男声,女声,システムを使用した自分の声,ピアノ,キーボードのchoir の音色などで試し,模範の音声の種類によって,歌唱練習が効果的に行うことができるか確認した。結果,被験者と同性の女声,および自分の声が一番望ましいという結果になった。結論としては,性差がある状況での音取りは難しいため同声同士での歌唱練習をするのが望ましい,ピッチマッチと発声練習で認識の方法が異なっていること,声帯筋の緊張状態を開放する必要があることが明らかとなった。journal articl
日本人大学生における英語スピーキングに対する 抵抗感の軽減: 機械翻訳を使用したストーリー テリング活動の実践から
日本のようなEFL 環境において英語スピーキング力を高めるためには,学習者にスピーキング活動に積極的に取り組んでもらわなければならない。そのためには,スピーキングに対する抵抗感を下げ,意欲を高めるなど学習情意を育む必要がある。また,機械翻訳を活用した授業における学習者の情意変化に関する研究は今のところほとんどない。
そこで本研究では,英語初級レベルの大学生を対象に,機械翻訳を使用したストーリーテリング活動を実施し,学習前後の情意変化について抵抗感を中心に量的,質的に検証した。
量的検証においては,「抵抗感(全体)」「能力認知」「回避」についてはいずれも70%を超える学習者が改善し,有意差検定でも中程度の変化が見られたが,「不安」について改善が見られた学習者は40%弱にとどまり,有意な変化は見られなかった。質的検証では,不安や苦手意識の解消を示す記述は少ないが,スピーキングへの意欲や楽しさが喚起されていることが示された。これらの結果を踏まえ,機械翻訳を導入した英語授業における抵抗感の背景にある学習情意と指導上の工夫について考察する。journal articl
ASD 等発達障害の中学生を対象とした 小集団SST の実践 ー「他者意識」を育てることを中心に、人と関わる力を高めるための手立てー
発達障害児を対象とした小集団SSTの2年目の実践を報告する。対象は、自閉スペクトラム症(以下ASD:Autism Spectrum Disorder)等発達障害のある中学2、3年生の5名である。5名中4名は前年度からの継続参加であり、「ひかり野塾」での活動に慣れ、お互いへの関わり方に徐々に変化を見ることができた。前年度の「安心できる場で、楽しい活動を通して、他者意識を育てる」ねらいを継続しながらも、さらに人と関わる力を高めるための手立てとして、「他者意識を中心とした個々のターゲットスキルを明確にした上での活動設定と、セッション場面での配慮支援」「個別SSTの併用」「プログラムの組み立て」「保護者との連携」という4つの手立てを行った実践を報告する。journal articl