Kumamoto Gakuen University Repository / 熊本学園大学　機関リポジトリ

足立, 裕介

Japanese

事業環境によって経営理念浸透の影響は異なるか? : 組織目標に及ぼす影響の程度に関する実証分析

石丸, 宏司

出資持分の定めのある社団医療法人の持分評価とみなし贈与課税 : 最高裁平成22年7月16日第二小法廷判決(平成20年(行ヒ)第241号贈与税決定処分等取消請求事件)(判時2097号28頁)

中野, 元

The Scotchwhisky industry and the state between the wars

幸田, 亮一

Tourism for workers in the Weimar republic

喬, 晋建

A record of the sell-off process of Toshiba memory division

坂本, 正

1302

Financial Innovation and Finance Capital : Financial Capitalism and Central Bank's Control

熊本学園大学経済学会

6754

熊本学園大学　機関リポジトリ熊本学園大学経済論集』第29巻第1-4合併号　表紙、奥付、裏表紙著者 熊本学園大学経済学会雑誌名 熊本学園大学経済論集巻 29号 1-4発行年 2023-03-31URL http://id.nii.ac.jp/1113/00003579/

Journal of Economics, Kumamoto Gakuen University Vol.29（1-4) Cover, Colophon, Back cover

岩武, 一郎

Property Valuation and Tax Avoidance

酒井, 克彦

書評 ― 87 ―【書評】岩武一郎著　『法人税における収益認識の研究』 （評者）中央大学法科大学院教授　酒井　克彦　法人税は「所得」に担税力を求める所得課税であり、かかる所得は益金たる「収益」から損金を控除する形で算出される（法法22①）。すなわち、収益の認識が法人税法の適用論における全ての出発点にあるといっても過言ではない。　もっとも、法人税法は、収益の認識についての仔細を規定しているわけではない。収益の認識における第一のグランドルールともいえる権利確定主義は、判例形成によって理解されており、具体的な実定法上の根拠を有しているとはいい難い。また、法人税法は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」（以下「公正処理基準」という。）に従う旨を規定し（法法22④）、企業会計準拠主義を採用しているところ、これとても、企業会計上の多様な処理基準のうち、何が公正処理基準たるかについては必ずしも明確ではない。別言すれば、法人税法上の収益認識は、多くの部面において解釈に委ねられているのである。前述のとおり、外部からの経済的価値の流入たる収益をいかに認識するかは法人税法の適用論の出発点でもあり、この領域に関する研究の重要性については多言を要しない。本書は、かような法人税法上最も関心が寄せられるべき収益の認識に焦点を当てた研究書である。　企業会計の利益観が、近時、①収益費用中心観から資産負債中心観に移行し、また、②企業会計における収益認識基準が示された中にあって、これらの企業会計の変容が法人税法に多大なインパクトを与えている現下、この点についての深慮ある研究が待たれていたところに上梓されたのが本書である。果たして、この２つの大きな企業会計のうねりに法人税法はいかなるインパクトを受けるのであろうか。　本書では、第１章「企業会計における２つの利益観の分析」、第２章「企業会計における利益観の変化と法人税法への影響」において、上記①についての問題関心が示されている。また、第３章「IFRS15号と法人税法における収益認識の比較」、第４章「IFRS15号の公正処理基準該当性の検討」において、上記②に係る問題関心が示されている。　企業会計の変容が法人税法の収益認識にいかなる影響を与えているかという本書の分析には多くの発見がある。例えば、違法取引を前提とした課税を許容する管理支配基準が資産負債中心観に接続し得ると同時に、法人税法が未実現利益に課税をしていない点に収益費用中心観を看取し得るというダイナミックな指摘などは、本書における多くの発見のうちの１つといえよう。　本書の特徴は、かような企業会計の変容による影響分析にとどまらず、実際の事例における熊本学園会計専門職紀要　第14巻　（2023年３月）― 88 ―問題関心が示されている点にもある。そもそも、法人税法が規定する公正処理基準とはいかなるものかという理論的な議論を基礎としつつ、第５章「対価の前払いがある取引の収益計上時期について」、第６章「新株有利発行課税の問題点」、第７章「法人税における過年度損益修正の問題点」では、近時の注目すべき租税訴訟の検討が記されている。　ここで取り上げられている租税訴訟はいずれも多くの関心を集めた事件である。全てに触れることはできないが、例えば、第５章では、老人ホームの入居金の益金計上時期が争われた事例が検討されている。権利確定主義の先決事項たる契約解釈において利用権説と賃貸借契約・役務契約混合説の対立があるところ、利用権における権利の希薄性や入居者が各種役務等を受ける反対給付を受ける地位が無視されてはならないという点などから、利用権説を採用した判決に反対を表明されている。そこでは、入居者に提供する各種役務の対価に関して訴訟当事者間での見解の対立がないことなどを踏まえた説得力のある議論が展開されている。そもそも、著者は、公正処理基準をいかに捉えるかという視角が重要であるとされ、そこには、「私法上の取引」に係る法規制の目的等を尊重することが重要であるとの明確かつ意義深い指摘がなされている。　ともすると、必ずしも明確ではない適正公平な課税の実現という法人税法の趣旨目的のみが重視されて公正処理基準が認定される傾向がある中にあって、企業会計や私法の視角を重視すべきとの著者の見解が所々に示されているが、この一貫した主張が本書の底流にあると思われる。著者が示す企業会計と法人税法との接続に関する体系的理解なかりせば、個々の事例についての深い分析もなし得なかったであろう。本書は、法人税法における収益認識の在り方の研究に一石を投じるものである。

【書評】 岩武一郎著　『法人税における収益認識の研究』

酒井, 重喜

Cockayne's Project : cooperation and competition between England and low countries in the early 17th century

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