Osaka Sangyo University Repository / 大阪産業大学リポジトリ
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    Marketing Strategies Aimed at Chinese Tourists-From the Perspective of Intent and Ability in Value Co-Creation Marketing

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    大阪産業大学博士(経営学)2022年度1.研究背景と問題意識 (1)研究背景  21世紀はサービス社会である。20世紀の工業社会のもとで発展した伝統的マーケティングは大きな転換期に入っている。現在は、製造業がサービス化する時代である。ITなどの新しい技術の進展とともに、生活時空間で企業と最終消費者が簡単に繋がれる時代になった、このようにマーケティング環境が大きく変化している。  伝統的マーケティングはモノを中心に考察された。21世紀に入り消費プロセスに注目する北米型のサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)や北欧型のサービス・ロジック(Sロジック)が登場して注目を集めている。さらに、日本では消費プロセスに着目する研究として価値共創マーケティングが提示されている。 (2)問題意識  北米型の伝統的なマーケティングの前提が崩れてきたとの問題意識を持っている。観光産業に目を向けると、現在、日本はコロナ後を見据えた観光政策を策定している。しかし、観光産業を対象に中国人インバウンドから日本の観光産業のマーケティング活動を見ると、インバウンドの想いとギャップがある。観光で重要な視点は消費者の立場で消費プロセスに注目することであるとの問題意識を持っている。  したがって、顧客の立場から消費プロセスを中心に考察することで、どのようなマーケティングをすると効果的で成果が出るのかについて検討したいと考えている。 2.研究目的 観光消費は顧客が観光消費プロセスで体感する文脈を起点に考察するべきだと考えている。しかし、価値共創マーケティングは概念的な提示に留まっており、経験的、実証的な研究が進んでいない課題がある。 本論文は消費者が文脈を生成するプロセスに焦点を当てて研究を進める。本論文の目的は価値共創マーケティングの視点から消費プロセスに焦点を当て、企業はどのように成果が上がるのか、実行できるのかについて検討する仮説生成型の研究である。 3.調査方法と対象・範囲 中国市場における、北京、上海、広州の渡日歴のある消費者に対してアンケート調査を実施する。そして、日本市場において中国人インバウンドを対象として消費プロセスを対象に、実施される企業(事業者)と顧客の共創プロセスについて考察する。 4.研究意義 学問的な意義は価値共創マーケティングの概念化、理論化に貢献することである。価値共創マーケティングは「意志と能力」についての概念提示に留まっており具体的な考察が進展していない課題がある。設定した課題の考察から価値共創マーケティングの概念化、理論化に貢献する。 実践的な意義は、観光産業において中国人インバウンドの立場から日本のマーケティング活動を見ると十分ではない。どのようなマーケティングをすると効果的で成果が出るのかについて提示することである。 5.論文構成 第1章では伝統的マーケティングの先行研究のレビューをする。北米のマーケティング・マネジメントは工場で大量生産された製品を大量に市場に届けるために進展した。マーケティングは部長や課長のミドル・マネジメントが担当した実行戦略、機能戦略であり経営諸機能の一つとして捉えられた。すなわち、ミドル・マネジメントが管理可能な資源とできない資源で分けて編成された。マーケティング部門は管理できない財務、情報、組織などは管理できない資源である。 伝統的マーケティングには北米型が物財(グッズ)を対象に発展したのとは違う北欧型(ノルディック)の潮流がある。マーケティングのノルディック学派は北米型のような物財ではなく産業財や生産財取引の顧客企業とのマーケティングに早くから焦点を当ててきた。企業は顧客企業との長期的な信頼を構築することで相互作用を通して一緒に顧客企業のソリューション活動を実施した。したがって、1970年代から北欧型は顧客との関係性やサービス活動に焦点を当てた。北米型が財としての物財に関心を当てたのと違う北欧型は自然にサービス財の特徴であるプロセスや相互作用などを研究対象とした。 第2章では価値共創マーケティングについて、先行研究のレビューをして本論文のフレームワークと課題を設定する。価値共創マーケティングは生活世界で企業と顧客が一緒に価値生成する消費プロセスを重視して価値はそこで顧客と共創される。企業は顧客の消費プロセス(生活世界)に入り込んで顧客の文脈価値を高めるために相互作用する。このように価値共創マーケティングは価値を決めるのは顧客であり直接的相互作用をとおして顧客が決める価値を高めることを重視する考え方で編成されている。 本論文は価値共創領域について顧客と企業の意志と能力の視点で考察した。マーケティングの本質は企業が変化する経営環境へ「創造的適応(Howard〔1957〕)」することである。企業が価値共創マーケティングを活用する場合は新たな企業システムを構築しなければならない。創造的適応とは積極的に市場に適応することである。すなわち、顕在市場への単なる受動的な適応ではなく潜在市場への能動的適応である。価値共創では特にナレッジ・スキルの適用による能動的な相互作用が注目される。企業は意志と能力でナレッジ・スキルをもとにしてどんな顧客とどのように価値共創するかを決めることになる。 しかし、価値共創マーケティングは関係性と共に相互作用が重要な要素になるがサービスの与え手、受け手のどのような能力がスパイラルアップにつながるか、良好な相互作用をもたらすかの研究は必ずしも十分ではない(村松、2020:14)。価値共創マーケティングの課題は文脈マネジメントの概念化・理論化が進んでいないことである。 以上の先行研究の考察からフレームワークと課題を設定する。本論文は価値共創マーケティングの視点からアプローチする。価値共創マーケティングは消費プロセスに入り込む新しいマーケティング領域での活動である。価値共創マーケティングはサービス・ロジックの論理で展開されて、価値共創型企業システムとして表すことができる。 価値共創マーケティングの課題は下記について研究することである(村松編著〔2016〕p.14)。 ①消費プロセスにおける顧客の消費行動 ②企業と顧客の共創プロセス ③顧客の消費プロセスで行うマーケティング ④共創される文脈価値 本論文は、顧客と企業の「意志と能力」の視点で中国人観光客の消費プロセスについて、以下の課題を設定する。そして、得られた情報をもとに第5章で考察する。 課題1:中国市場を対象に観光について調査する。     課題2:企業と顧客の相互作用について調査する。SEKAI HOTELの事例 課題3:企業と顧客の相互作用について調査する。駒川商店街の事例 課題4:企業と顧客の相互作用について調査する。プロカメラマンによる写真撮影の事例  第3章は観光産業を対象として、第1節でこれまでの日本の施策を考察する。第2節では中国人消費者を対象に「意志」についてアンケート調査を実施する(2022年大阪産業大学経営論集)。日本政府が娯楽等サービス費を増やすためにはオペラントな顧客を対象として、生活世界まで範囲を拡張した新たな視点からのマーケティングが求められる。多くの観光客は相互作用したいと考えている。このような意志の強い顧客が多く存在する市場において企業側が積極的に能力を磨いて対応することが重要である。  第4章は企業(事業者)と顧客の相互作用による文脈生成のプロセスについて考察する。第1節は観光産業における共創プロセスについてSEKAI HOTELの事例(2021年大阪産業大学経営論集)、第2節は駒川商店街の事例(2021年アジア市場経済学会論集)、第3節はプロカメラマンと観光客との事例(2022年アジア市場経済学会論集)で考察する。 SEKAI HOTELの事例では、企業は情報の「逆非対称性」が存在することから、顧客との直接的相互作用を通して文脈を高めるための対応をしていた。顧客は生活世界で自分たちのCtoCのネットワークを構築している。企業が顧客の期待に対応できると、帰国してからも文脈が高まり積極的に生活時空間で多様な情報発信をする。価値共創マーケティングの文脈マネジメントの視点では企業が顧客の観光消費プロセスにおいて外部との相互作用を積極的に活用することが重要であることが導出できた。 駒川商店街の事例では、意志のある積極的に相互作用したいと考える顧客を対象に調査した。企業は価値共創マーケティングを実施する顧客の生活時空間で直接的な相互作用をするためにナレッジ・スキルを磨かなければならない。 プロカメラマンと観光客との事例から導出した知見は、顧客の能力(高/低)に対応した相互作用の重要性である。企業(事業者)は顧客のニーズを把握しながら問題が生じた場合は柔軟に迅速な対応が必要である。能力の高い顧客に対しては相手の要望に合っているかを確認しながらサービスを提供する。これらの能力は企業の文脈マネジメント力である。  第5章は第2章で設定した課題について第3章、第4章の事例で収集した情報にもとづき考察する。そして、価値共創マーケティングと価値共創型企業システムの精緻化のために新たな知見を導出する。  本論文は設定した課題を意志と能力の視点から考察した。価値共創マーケティングの精緻化に向けて、①「生活者の時空間からの情報発信と情報収集の視点」、②「観光消費のサイクル」、③企業の能力としての顧客類型別のマーケティング(文脈マネジメント力)、④情報の逆非対称性を活かす戦略を導出した。  顧客にとっての観光消費は企業と顧客の直接的共創領域だけでなく、その前後における生活世界の時空間においても生成される。したがって、価値共創マーケティングの精緻化には4Cアプローチに「生活者の時空間からの情報発信と情報収集の視点」加えた「観光消費のサイクル」のプロセスが重要であることを導出した。  価値共創マーケティングは概念的な提示に留まり実践に向けた研究蓄積が求められている。本論文は意志の強いⅡ型、Ⅲ型の顧客との相互作用で文脈を高めるためには企業にどのような能力が必要なのかについて考察した。企業の能力は提案対応能力、予期せぬ出来事への対応能力、情報の逆非対称性を活かす能力であった。 価値共創マーケティングは生活社会での顧客の主体的な価値創造活動である。価値を決めるのは顧客であることで情報の逆非対称性が生まれる。企業は情報の逆非対称性をナレッジ・スキルに活かす戦略を組み込むことが重要である。 続いて、価値共創型企業システムの精緻化に向けて考察した。企業が価値共創の理論や戦略をもとに成果を出すための企業システムについて考察した。そして、価値共創マーケティングを支える企業システムの精緻化へ向けて新たな知見を導出した。意志が強く能力の高い企業(事業者)は経営理念を明確に設定している。そして、理念が組織に浸透しながら内部統合、外部統合が促進されていた。 価値共創マーケティングを採用して成果を上げるためには新たな組織運営の手法が求められる。顧客と相互作用する個人や組織への権限移譲やそれを支えるリーダーシップやマネジメントの方法が一体的に開発される必要がある。さらに、生活時空間で生活者と相互作用するためには戦略的な外部統合が重要であることが導出できた。doctoral thesi

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    Consolidation of Municipal Solid Waste Incineration Facilities in Southern Fukuoka Prefecture: A Case Study

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    福岡県南地区の7 つの市町にある3 つのごみ焼却施設の統廃合について検討した。それぞれ個別に建設するよりも統合して建設する方が安いことをLCC(Life Cycle Cost)の観点から明らかにした。それぞれの自治体は公共施設等総合管理計画を策定し適切な施設の管理・削減につとめているが,広域ではそのような制度が存在しないため,ごみ焼却施設の統廃合についての検討がおこなわれていなかった。広域にわたる公共施設の統廃合の検討制度が必要なことを,ごみ処理施設の事例から明らかにした。We studied the consolidation of three waste incineration facilities for seven cities and townships in southern Fukuoka Prefecture. The study showed a low-cost benefit if these facilities are integrated. Municipalities, independently, have formulated comprehensive management plans for public facilities and work to properly manage and reduce the number of said facilities. Such a system, however, does not exist at a broader interlocal government administrative body. For this reason, the consolidation of waste incineration facilities has not been considered effectively. It is clear from this case study of municipal waste treatment facilities in Fukuoka Prefecture that a system to plan and execute the integration and decommissioning of public facilities within a wider jurisdiction is necessary.departmental bulletin pape

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    Cavitation Reduction of Butterfly Valve by Flexible Fibers and Sheet Materials

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    Butterfly valves are most commonly used in all industrial plants because of their simple construction. This cavitation phenomenon, which cannot be avoided in butterfly valves, is known to be caused by the interference of the flow from the front and rear edges of the valve body, and its reduction can be suppressed by preventing the flow interference. Various types of valves have been proposed in the past, but this study proposes a simple method to suppress cavitation by adding a flexible fiber or flexible sheet fixed behind the valve body.  The intensity of cavitation was measured in terms of noise level, and the polyester sheet, which was the most flexible, had the greatest noise suppression effect. In the normal valve without the seat, the noise was reduced by approximately 5dB to 10dB at each valve opening position based on the mid valve opening position, where cavitation is most likely to occur, confirming the suppression effect of the polyester sheet. However, a detailed study will be required in the future to determine the length of sheets and the degree of flexibility required.departmental bulletin pape

    Development of green logistics in developed countries revelations for Chinese logistics industry: A study on the development and promotion strategy of China's logistics

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    大阪産業大学博士(経営学)2023年度Ⅰ 問題設定と研究目的 「リサイクル・ロジスティクス」や「環境物流」など、「グリーン物流」にはには多くの名称があるが、しかし、その核心の意味は変わらない。それは、資源の使用効率を向上させ、資源を節約し、排出量を削減するために、従来の物流方法を変更し、投資を減らし、消費を減らし、できるだけ環境に優しくする、そしてリソースのクローズドループモードへと、資源の利用を促進し、資源を節約し、排出量を削減することである。過去の広範な発展形態は適用されておらず、人々は新しい物流モデル、すなわち集中的な経済モデルを開発したいと考えている。これはグリーン物流のポイントでもあり、物流と環境は経済的、環境的、社会的利益の共通成長を達成するために相互に調整されている。 これは、持続可能な発展理念に合致する、普及性のある物流作業モデルである。  コインは表面(肯定的な側面)と裏面(否定的な側面)を兼ね備えているのと同様に、環境を保護し、汚染を防ぐことと物流コストの削減との関係もすべて二元的である。肯定的な側面では、良い環境は経済発展の前提条件であり、それがなければ人々の生活に影響が及ぶだろう。経済発展は存在せず、物流の発展もない。さらに、物流発展のポイントは、生産される製品や物流を作ることであり、自然環境が製品の生産に影響を与える可能性がある。良質の水資源がなくてはミネラルウォーターを生産できないように、環境はまた物流にも大きな影響を与える。否定的な側面からは、環境が良好であることを保証するために、技術的な要求が高まるだろう。これはすべての企業が達成できるわけではなく、産業に影響を与え、それをうまく発展できず、一部の企業は破産する可能性もある。これは経済全体の発展の不利にもなる。両者がうまくバランスするようにする必要がある。 Ⅱ 研究範囲 その研究範囲は以下の通りである。 (1)企業物流のグリーン化発展の動因と現状。理論と実践の二つの面から展開して、企業物流のグリーン化発展の内在動力と現状の存在形式を説明する。 (2)グリーン物流の外部性と各関係者への影響。動因が企業物流のグリーン化に向けて進んでいる推進力であれば、外部性はすべての動因の逆抑制力を弱めることになる。伝統物流もグリーン物流もプラスとマイナスの両方の外部性がある。従来の物流と比べて、グリーン物流はより大きなプラス外部性を示しているが、その負の外部性は依然として無視できない。同時に、プラスの外部性であろうと、マイナスの外部性であろうと、多くの不良結果が出て、市場が故障しやすい。この判断に基づいて、本文は企業物流の正負の外部性とその表現を述べた上で、社会福祉、企業業務量、消費者と同業者に対する外部性の影響を重点的に研究する。 (3)企業物流のグリーン化の行為主体と簡単なゲーム。外部性と市場の故障、企業物流のグリーン化の障害の間の必然的な連絡を研究するために、本文は物流のグリーン化の行為主体と異なる価値観と行動特徴を紹介した上で、ゲーム分析ツールを使って企業物流のグリーン化行為の価格戦略を研究する。物流のグリーン化行為を実施する企業を中心に、企業と消費者の間、企業間、企業と政府の間の単純なゲーム分析を通じて、企業の物流のグリーン化行為の経済効果と戦略選択を動的に研究し、企業物流のグリーン化発展の鍵となる障害の所在を展示する。 (4)企業物流のグリーン化発展の障害構造。外部性と簡単なゲーム研究の結論を基線として、政策、技術と環境などの要素を補充し、企業物流のグリーン化発展の障害要因を系統的に述べ、各種の障害要素の間の複雑な依存関係を整理し、その中の原生障害と派生障害、コントロール可能要素とコントロール不能要素を選別する。それによって企業物流のグリーン化発展の最も主要な突破口を見つける。 (5)アメリカ、ヨーロッパと日本のグリーン物流の発展現状で着手し、国外のグリーン物流の発展経験の総括を分析する。 (6)中国の企業物流のグリーン化発展を加速する対策提案。障害要因研究の結論を方向にして、企業、政府及び社会公衆に対してそれぞれ操作可能な対策を提案する。 Ⅲ 研究方法 【資料の収集】 日本(特有の物流システム)、中国(物流発展の将来性が大きい)とアメリカ(物流の先進国)、環境の取り込みの先進国である日本・アメリカ・ヨーロッパのグリーン物流にかかわる資料を収集する。特に、今日の中国グリーン物流の現状を把握するため、政府政策と市場発展に関する資料を収集する。 【事例分析】 日本、アメリカ、ヨーロッパと中国のグリーン物流の現状を詳しく分析し、中国グリーン物流の発展を促進する要因について調査する。 【システム分析法】 企業物流は一つのシステムであり、企業物流のグリーン化過程も特定のシステムの中で完成する。本研究はシステム分析の方法を用い、グリーン物流主体間のゲーム関係を研究し、企業物流のグリーン化発展の障害の構造を明らかにして、企業物流のグリーン化発展を推進する対策措置を求める。 【ゲーム分析法】 企業物流のグリーン化発展には多くの主体の協調と協力が必要である。ゲームの分析方法は各主体間の相互作用関係を認識し、企業物流のグリーン化発展の障害の構造を明らかにすることに役立ち、対策を提供するために同じゲーム分析方法を利用して対策を求めることもできる。 【帰納総括法】 本研究では文章のテーマをめぐって、全文の論理的な考え方に基づいて、これらの観点や原則をまとめて総括し、そしてそれを中国の具体的な実際と結びつけて、確実に実行可能な研究結論を得る。 【研究における仮説と検証】 グリーン物流が物流全段階に良い影響を与え、同時にグリーン物流は未来の物流発展の方向として、多くの先進国政府と企業はすでにその重要性に気づいている。しかし、現在世界第2位の経済大国である中国は、グリーン物流の面で他の国からはるかに遅れている。本研究は産業界、特に中国企業で導入が遅れている理由はなにか、次の3つの仮説を立てた。 1.企業自身において発展の原動力が不足し、発展には実際の困難がある。 2.政府には的確な政策法規が不足し、監督と奨励措置も不足している。 3.消費者において環境関連の観念が欠けている。 以上の3つの面から中国企業においてグリーン物流の導入が遅れている理由を探究する。それらを整理し、グリーン物流の普及に向けた方策を考察する。 Ⅳ 研究結果と結論 現在、グリーン物流を積極的に発展させることは、世界経済の一体化に適応し、日増しに激しくなる多国籍物流競争に対応する重要な措置であり、持続可能な発展戦略を実施し、国の経済的実力と現代化を強化する戦略的選択でもある。グリーン物流を発展させ、物流のグリーン化を実現することは必然的な発展方向であり、すでに国全体の差し迫った重大な課題となっている。 本研究で述べたように、動因不足は企業物流のグリーン化の発展を遅らせている最も根本的な原因であり、既存の政策体系は動因不足の問題を効果的に解消できないと同時に、物流技術は企業物流のグリーン化の発展を支えることが難しく、外部環境も企業物流のグリーン化の順調な実施を保障できない。企業物流のグリーン化を推進するには、単一の方法で短期的に効果を得ることはできない。企業物流のグリーン化障害の克服または解消は、同時に多種の方式を採用し、インセンティブ要素とインセンティブの強度の合理的な組み合わせを通じて実現しなければならない。この過程で、企業、政府、社会公衆はそれぞれ重要な役割を果たすことになる。 Ⅴ 研究意義 中国で関連する法律やグリーン物流に関する規制も注目されている。廃棄物の排出を削減し、資源を節約し、安全性に配慮し、バランスポイントを見つけ、環境と物流の一体的な開発を実現するために、 環境の妨げにもなる計画には物流に関する要件も含まれ、リバースロジスティクスの実施は物流業務全体を改善することにおいて注目されている。そのためには、先端技術の開発のみならず、企業の原材料購入、製造、販売、さらにターミナルのリサイクルなど、すべてのプロセスの改善が必要である。これらの計画と規制の策定はすべて国家が担い、グリーン物流の発展に積極的な姿勢を示している。また、グリーン物流におけるさまざまな課題に対処する機会を得るべきである。 ところで、グリーン物流を促進する科学的管理基準を満たすためには、コミュニティの実装に適応する必要がある。グリーン物流の初期の研究にはこのような問題意識は希薄であった。 また、グリーン物流と物流コストは密接に結びついているが、グリーン物流基準の導入は必ずしも物流コストを増加させるわけではない。物流コストの削減とグリーン物流の実現は不可能ではない。 従来の物流は物流コストの削減を重視し、環境への配慮に欠けていたため、今日のような環境破壊を助長する一要因となった、したがって、世界のすべての国々はグリーン物流の発展を促進するために大きな努力をしている。世界ではグリーン物流の開発に着手し、今日では不合理で、環境に優しくない物流の開発が改善されつつある。一方、中国はいまなおグリーン物流に対する認識が希薄である。したがって、まずは中国のグリーン物流に対する取り組みを考察する必要がある。 Ⅵ 論文の構成: 本論文の構成は、以下の通りである。 第Ⅰ章では、本論文の序論である。主な内容は、筆者が研究テーマを選んだ背景、研究目的、研究意義、研究方法、既存研究の主要な欠点に焦点を当て、さらに筆者が提案する3つの仮説とこの研究を通して最終的に得たい結果を述べる。 第Ⅱ章では、グリーン物流の先行研究を考察する。 2.1は各国の政府や学者によるグリーン物流の認識と定義である。グリーン物流という概念ができてからまだ日が浅く、国際社会においても統一された定義はなく、統一された英単語すらないため、政府や学者の間でも認識や定義に差違がある。 2.2は、グリーン物流の研究の起源、発展、現状、範囲を考察する。2000年を切り口に、R.F.ポイストの研究成果をもとに、まず「グリーン物流」という言葉が生まれる以前の20世紀におけるロジスティクス分野の研究を説明する。続いて、21世紀に入り「グリーン物流」という言葉が出てきたことで、様々な認識や研究、理論が説明される。 2.3はグリーン物流に関わる物流コストを考察する(2022年大阪産業大学経営論集 第24巻 第1号)。ここでは、グリーン物流コストの内容、一般物流コストとグリーン物流コストの類似点、相違点を中心に説明される。 第Ⅲ章では、リバースロジスティクスに関する先行研究を考察する。 3.1は、中国以外の多くの国の研究者が行ったリバースロジスティクスに関する研究を、研究の定義と範囲を含めて紹介している。3.2は、中国の研究者が行ったリバースロジスティクスに関する研究を、多視点・多分野からその意義と存在を説明し、結論を導き出している。 第Ⅳ章ではグリーンサプライチェーン管理に関する先行研究を考察する。 4.1は国内の研究者のグリーンサプライチェーン管理の定義に中心に述べている。4.2はグリーンサプライチェーン管理について、1.ライフサイクルモデル、2.利害関係者モデル、3.ネットワーク解析モデル、4.サプライチェーン動力学モデル、5.ゲームモデルの5種類の理論モデルを説明する。4.3はグリーンサプライチェーン管理のパフォーマンス評価システムに関する研究、主に環境マネジメント評価、ライフサイクル分析(LCA)手法による評価システム、およびマルチ指標による総合評価システムの3つのシステムのそれぞれの利点について説明する。 第Ⅴ章ではグリーン物流、企業物流、企業物流のグリーン化に関する研究である(日本物流学会 No.28 2020年6月の一部分)。 5.1は、グリーン物流の内包と外延を説明する。グリーン物流に何が含まれるかをより深く研究、分析したものである。5.2は企業の伝統的な物流と企業のグリーン物流を取り上げる。具体的な内容は企業物流の内容、企業のグリーン物流の関連理論、目的及び課題、企業物流のグリーン化などである。5.3はグリーン物流の発展のための内在的動力で、その核心はコストの削減と効率の向上、差別化の創造と企業イメージの改善である。5.4 企業がグリーン物流を発展させるための外部圧力について述べる。その中核は消費者の監督、サプライチェーンのインセンティブ、国際社会の圧力、政府の規制である。 第Ⅵ章では、グリーン物流の発展のために企業が実施するグリーン化行為の外部性と不良結果について理論的に分析し、まず外部性の主要な要素と理論を紹介する。そして、企業物流の各部分を外部性の理論によって分析する。主な要素は、まず負の外部性、次に正の外部性、最後にグリーン物流の発展が消費者、企業、社会に与える影響を外部性の理論を通して経済的観点から考察している。 第Ⅶ章では、経済学のゲーム理論を用いて、グリーン物流の展開における企業の価値志向と行動特性を分析し、企業によるグリーン物流実施の障害を理論的に裏づけることを中核的な目的とするものである。 7.1では、企業によるグリーン物流の開発において出現する3つの行為主体を説明し、7.2ではグリーン物流の発展水準が異なる企業が採る価格戦略を分析する。7.3は、企業間、企業と政府、企業と消費者の間で起こりうるゲームの結果についての研究である(American Journal of Industrial and Business Management, Vol.12 No.9, September 2022)。この項では、単純に経済学の視点から分析、企業によるグリーン物流の展開がもたらす様々な可能性を導き出すことを目的としている。 第Ⅷ章では、第Ⅱ章と第Ⅲ章の理論分析と文献の関連資料に基づいて、第Ⅵ章と第Ⅶ章の経済学的な研究の結論をまとめ、最後に現在の国情と中国の物流発展の現状に照らして、中国企業によるグリーン物流の発展を妨げる障害を提示したものである(日本物流学会 No.28 2020年6月の一部分)。 8.1は、第Ⅴ章の調査をもとに、さらに中国におけるグリーン物流の発展が遅れている理由を、外部圧力と内在的動力という動機付けの観点から示したものである。8.2は、8.1の分析と結論に基づき、既存の関連政策と規制の観点から、中国におけるグリーン物流の発展が遅れている理由について分析したものである。8.3は、中国におけるグリーン物流の発展が遅れている理由を、現在の物流各方面の技術水準という観点から分析したものである。8.4 は、中国におけるグリーン物流の発展が遅れている理由を、現在の関連産業の発展や政策、物流の標準化レベル、消費者の考え方、専門人材の教育、関連人材の確保などの面から分析したものである。8.5 は、8.1 から 8.4 で述べた中国におけるグリーン物流の発展を妨げる多くの障害をまとめ、これらの理由の相互関係、すなわちすべての障害は相互に依存し、相互作用しており、単独では存在しないことを述べている。 第Ⅸ章では、中国企業へのグリーン物流の知識・理解・認識に関するインタビューと、中国企業が現在どの程度グリーン物流を実施しているかについてのアンケート調査を行い、中国におけるグリーン物流の発展が遅れている理由を実務レベルで分析する(2023年6月日本物流学会 N0.31 掲載予定)。製造業、物流業、卸売業、小売業など、合計32社を対象に調査を実施した。インタビューやアンケートによると、中国企業はグリーン物流に関する知識が十分でなく、注目度も低い。 企業イメージの向上や環境保護に対する責任よりも、グリーン物流の導入で自社のコストを削減できるか、社会的責任を果たせるか、といった点に関心があるようだ。 第Ⅹ章では、日本・アメリカ・ヨーロッパの3つの先進国・地域におけるグリーン物流、リバースロジスティクスの経験と現在のシステムを実行している(2022年大阪産業大学経営論集 第24巻 第1号)。主な内容は、過去と現在の法律法規の例、リバースロジスティクスの展開例、グリーン包装の例などである。 最終的には、中国の現在の国情を考慮して、中国におけるグリーン物流の実現可能性について、提案を行うことを目的としている。本章の研究から、先進国は経済発展を重視しながらも、公害削減や環境保護に配慮していることがわかる。これは、中国の企業、政府、消費者が検討べき点である。 第Ⅺ章は本論文の結論であり、先行研究、理論研究、実践研究を統合し、企業、政府、消費者の3つの側面から、中国企業の物流のグリーン化発展を加速する対策提案を行ったものである。企業側では、従来の物流モデルからグリーン物流モデルへの転換を早期に実現するための意識改革と技術革新(グリーン包装の部分がシンガポールの財経与市場 卷5, 編号5(2022)の一部分)の加速が必要である。政府側では、関連政策や規制を策定し、関連基準を公布し、関連支援施設への投資と建設を強化し、関連研究を重視し、専門人材を育成する必要がある。消費者側では、消費者が環境保護の独自の意識を高める必要がある、積極的に監督に参加し、グリーン物流の実践とモデルを導入する企業に対して、可能な限り積極的な支援を行うことである。 本論文の各章の関連性は図1−1の通りである。 図1−1 論文の構成 出所:筆者作成 本論文では、学術的には世界のグリーン物流に関する研究を、まず複数国の政府、研究機関、研究者による研究の定義、範囲、状況などを含めて体系的にまとめている。またグリーン物流に関連するグリーンサプライチェーンやリバースロジスティクスに関する研究成果もまとめている。グリーン物流理論の誕生と発展についてまとめ、解説している。同時に、経済学の外部性理論、ゲーム理論を用いて、グリーン物流の発展が社会、市場、企業自体に与えうる影響について理論的な視点を与えている。また、アンケートやインタビュー調査を通じて、中国企業におけるグリーン物流の現状や課題を定量的に調査分析した。さらに、第Ⅺ章の中国企業がグリーン物流を推進するにあたっての対策の実現可能性について、有効性、客観性を検証するために、筆者は再度、中国の政府機関、企業に追加のアンケート調査を実施した。アンケート調査の結果から、筆者の研究は中国の今日、さらには将来のグリーン物流の発展に対して一定の助けと指針を持つことができることが分かる。将来、グリーン物流をテーマとした研究をさらに進めるための理論的基礎を築くものである。 実務的には、本論文の調査・分析・考察により、グリーン物流の発展が今後の企業、または政府機関にとって必然的な選択であるという結論が得られたことである。経済モデル、現在の社会情勢、市場環境、筆者のアンケート調査やインタビュー調査を通じて、グリーン物流の開発における多くの困難が明らかにされた。そして、先進国の既存経験や事例と組み合わせて、企業、政府、消費者の3つのレベルから、企業のためのグリーン物流を開発し、中国のグリーン物流の発展を加速させる実現可能性を提示することに貢献した。doctoral thesi

    A Study on IT Business Forcusing on the View of Electnic Commerce Theory and Information Management Theory

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    これまでの研究を振り返ると主に3つの研究分野に分けられる。1つは、ATR(Advanced Telecommunication Reseach)の2つの研究所において、規則の前向き推論をもちいた状態推移モデルの構築と競合解消などのサービス設計支援の研究、および適応的機構の研究、2つ目は、情報処理振興事業協会(IPA) における研究事業公募にかかわる、応募案件審査において新規性・実現性・実用性などについて研究をおこなった。3つ目は、大阪産業大学の教員として、IT ビジネス(IT とビジネスの融合)の研究を行いながら、大学院経営・流通学研究科においてゼミ指導を行ない、博士(経営学)取得者3名、修士(経営学)取得者28名の輩出を行い教育業績を残した。(研 究業績および教育業績は文末の参考文献に続いて記載しているので参照のこと) 経営学部論文集には4件以上の論文掲載(学術論文15,16,17,18)があるが、いずれもeコマースに関連しての論文である。2020年に発表した3件のジャーナル(学術論文19,20,21)はeコマースの取引トランザクションデータから顧客セグメンテーションを行ないセグメンテーションからの顧客流出を分析する手法を議論した。  eコマースを研究しているとGoogle の売上高の大きさと収益の大きさは、他を圧倒していることに驚く。なぜなのか興味がわく。Google の競争能力の高さの源泉(コアコンピタンス)を解き明かしてみよう。これは『ページランク』1という技術が優れているからだといわれている。ページランクを決定するアルゴリズムは200以上の要素を考慮したアルゴリズムだと想像されているが公開されていない。基本的には、ぺージとページはハイパーリンクという仕組みによりページ移動する。多くのウエブページからリンクされているページは価値が高いと評価され表示順位が上位となる。departmental bulletin pape

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