Chitose Institute of Science and Technology Academic Repository / 千歳科学技術大学学術機関リポジトリ

平井, 理宇

ヒライ, リウ

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 56  光ファイバ通信におけるニューラルネットワークを用いた非線形補償の研究  Study of Artificial Neural Network based Nonlinearity Compensation in Optical Fiber Communication  平井 理宇（Riu HIRAI）  As the data traffic demand continues growing, cost-effective optical fiber nonlinearity compensation (NLC) is strongly required for not only long-reach but also short-reach system. Artificial neural network (ANN) based NLC, which can train nonlinear channel response precisely from received data, is promising due to more power-saving than nonlinear Shrödinger equation derived NLC. For IM/DD utilized short-reach system, where optical field information is lost due to square law detection, practical feasibility of ANN based NLC has not been verified. In this report, we clarify relationship between compensation effect and power consumption in 80-km fiber transmission of a single IM/DD PAMn signal.    5G 通信時代のデータトラフィックを支えるデータセンタ間インターコネクトでは，短中距離用途の光通信インフラの増強が求められている．長距離用途の幹線網に導入済みのデジタルコヒーレント方式の利用も検討されているが，消費電力やモジュールサイズに課題がある．そこで省電力化が可能な強度変調と直接検波方式(IM/DD)の利用が有望視されており，高ボーレート化・高多値化・波長多重の高密度化などの容量増大の検討が進められている．しかしながら，10 km までの短距離用途では問題とならなかった非線形光学効果が，最大 100 km の中距離用途では大容量化の阻害要因となるため，次世代の短中距離向け光モジュールの電力増大を抑えられる非線形補償方式の実現が求められている．  近年，非線形補償方式として，人工ニューラルネットワーク(ANN)の活用が検討されている．機械学習の一種である ANN は複数の入力 xi {i=1,2,...,n} に重み係数 wi {i= 1,2,…,n}を乗算してバイアス項 b との和を z とする数式 𝑧 = ∑(𝑤𝑖𝑥𝑖 + 𝑏 ) と，z に活性化関数 f を作用させて出力 y を得る数式 𝑦 = 𝑓(𝑧)からなり，それらを複数組み合わせることで線形分離が困難な複雑なデータ列の分離を可能とする．光ファイバ伝送路で生じる非線形波形歪みの波形等化手法として，受信データから非線形チャネル応答を正確に学習する ANN は演算量に対して補償能力が高いことから従来の非線形シュレディンガー方程式に由来する非線形補償方式に替わる候補として注目を集めている[1-3]．   しかし，先行文献の復調方式は，非線形補償に関して十分な電界情報が得られるコヒーレント方式であった．一方，IM/DD では電界情報の消失により十分な補償効果を得るために必要な ANN 規模が増大することが懸念される．電力制約が厳しい短中距離用途では実用性の観点から回路規模の評価が必要である．   IM/DD システムにおける ANN の非線形補償効果を確かめるため Fig.1 に示す 100G 級の強度多値変調 PAMn(n=8)光送信器および直接検波光受信器を構築し，データセンタ間インターコネクトの要件であるシングルモードファイバ 80 km の光伝送実験を実施した．非線形補償に用いた ANN は Fig.2 に示すように入力層，隠れ層，出力層の 3 層から構成され，公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 57  それぞれのニューロン数を変化させることで補償量を調整した．活性化関数には，隠れ層では正値のみを出力する ReLU を代表とする非線形関数を利用し，出力層では恒等関数で出力をパススルーした．Fig.3 に非線形補償に必要な演算量に対する非線形補償ゲインを示す．ANN は従来のボルテラ型非線形補償器(VFFE)に比べて最大 0.4dB の非線形補償ゲインが得られ，また同じゲインで比較した際，87%少ない演算量となった．  本研究により，光電界情報を失う IM/DD システムにおいても ANN は演算効率の高い非線形補償が可能であることを明らかにした．今後，波長多重システムで生じる非線形光学効果に解析範囲を広げて，次世代のデータセンタ間インターコネクトの実現に貢献する．   Fig.1   Optical transmitter and receiver of 100-Gbit/s class SSB Nyquit PAM8 IM/DD signaling       Fig.2   ANN based NLC           Fig.3   NLC gain versus operation counts  ････････････････････････････････････････････････････････････････････････ 参考論文 [1] C. Catanese, et al., 21st International Conference on Transparent Optical Networks, July, 2019.  [2] O. Sidelnikov, A. Redyuk , et al., IEEE JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, vol.39, no.8, pp.2397-2406, April , 2021. [3] 大塚 優太, 他, 信学技報, OCS2019-14 (2019-06), pp.21-24. .  

Study of Artificial Neural Network based Nonlinearity Compensation in Optical Fiber Communication

曽我, 聡起

ソガ, トシオキ

9000367431111

地域連携センター活動（令和4 年度）

中村, 郁哉

ナカムラ, フミヤ

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 52  近・中赤外分光法による骨ならび軟骨評価法の開発  Development of bone and cartilage assessment techniques using near-infrared and mid-infrared spectroscopy  中村 郁哉（Fumiya NAKAMURA）  Over the last 20 years, osteoporosis is defined as a skeletal disorder characterized by compromised bone strength predisposing to an increased risk of fracture, and bone strength reflects the integration of bone density and bone quality, which is material and structural properties of bone. Infrared spectroscopy has attracted attention due to its ability to visualize the material properties of bone. However, the method for evaluating bone quality by infrared spectroscopy has not been standardized and has not been applied clinically. In this study, we evaluated various bone and cartilage using infrared spectroscopy to standardize bone quality assessment for clinical application.   骨粗鬆症は骨強度の低下を特徴とし，骨折リスクが増大しやすくなる骨格疾患であり，骨強度は骨密度と骨質を反映する．：A skeletal disorder characterized by compromised bone strength predisposing to an increased risk of fracture, bone strength reflects the integration of bone density and bone quality1)と定義されてから 20 年，様々な機器分析を用いた骨質評価が行われてきた．中でも赤外分光法は材質特性を評価できることからいち早く注目され，近年ではイメージング技術の発展により骨質の可視化が可能となった．一方，赤外分光法による骨質評価法は未だ標準化が行われていないため臨床応用に至っていない．そのため本研究では様々な骨ならび軟骨の評価を行いながら，臨床応用を目的とした赤外分光法による骨質解析の標準化を行う． 1. 画像解析法を用いた赤外イメージングによる新規骨質定量分析技術の開発 赤外イメージングによる骨質の可視化は C. Marcott らによって初めて報告されてから 2)，現在に至るまで，赤外イメージを構成するスペクトルのリン酸バンドやアミド I バンドを用いて石灰化度，炭酸塩含有率，結晶化度，ミネラル成熟度などの骨質因子の定量分析が行われている．高精度な定量分析を行うためには透過法を用いる必要があり，試料は赤外光が透過する 3 μm 以下の薄切標本にする必要がある．一般に，非脱灰の骨を薄切標本にするためには MMA による樹脂包埋を行う．その結果，薄切標本の赤外スペクトルには PMMA 由来のバンドも現れ，差スペクトルによる PMMA 由来のバンド除去が必要となる(Fig.1)．例えば，ラット大腿骨の骨質解析では，数平方センチメートルに及ぶ赤外イメージから任意の赤外スペクトルを抽出し，PMMA の差スペクトルを行った後，リン酸バンドやアミド I バンドの面積や高さを用いて骨質因子の数値化を行う．この評価方法では，①使用するスペクトル数や抽出する部位により値にバラツキが生じる，②解析に時間を要すなど幾つかの問題点がある．そこで本研究では，より迅速かつ高精度Fig.1 Typical FTIR spectra. (a) raw, (b) PMMA and (c) subtracted PMMA from raw spectra. (a) (b) (c) C=O 公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 53  な骨質の定量分析を目的とした画像解析法の開発を行い従来法と比較した．[方法] 21 週齢雌性ラット(n=10) は安楽死後に大腿骨を抽出し，非脱灰薄切標本を作製した．その後，赤外イメージングによる骨質の可視化を行い，画像解析法とスペクトルによる各骨質因子の定量分析を行った．画像解析では ImageJ Fiji を用いて各骨質因子のヒストグラムを作製し，その平均値を算出した．[結果] 新規画像解析法と従来法のスペクトルにより算出したラット大腿骨皮質骨の骨質因子はどの部位においても強い正の相関を示した(Fig.2)．[結論] 画像解析法による骨質の定量分析は，迅速に行える骨質評価法として有用性が示された．また，画像解析から得られたヒストグラムによる新たな骨質評価法が見出された． 2. 画像解析法を用いた慢性腎臓病モデルラットの骨評価 慢性腎臓病(CKD)はミネラル代謝異常を伴い，病期の進行により骨密度低下や石灰化度，炭酸塩含有率の低下など骨質劣化を招くことから骨折リスクは上昇する 3)．骨折予防を目的とした骨粗鬆症治療薬の使用において，投薬による骨密度や骨質の変化を調べることは極めて重要である．これまで我々は，様々なモデル動物の骨質評価を行う中でコラーゲン線維ならび低結晶性アパタイト配向性が骨強度に強く影響を及ぼすことを明らかにしてきた．そこで本研究では，骨代謝改善薬を投与した CKD の骨質に着目し，アレンドロネート(ALN)，副甲状腺ホルモン製剤テリパラチド(TPD)を投与した CKD モデルラット大腿骨のコラーゲン線維ならび低結晶性アパタイト配向性について検討した．[結果] CKD は Stage 4 相当，二次性副甲状腺機能亢進症，リン代謝異常，曲げ強度の低下，大腿骨石灰化度ならび炭酸塩含有率の低下から高回転型骨粗鬆症を認めた．皮質骨におけるコラーゲン線維配向性の評価では，骨内膜側において TPD は CKD および ALN に対して有意に高値を示した(p < .05)．また，低結晶性アパタイト配向性も同様の傾向を示した．一方，同部位の石灰化度は，TPD，ALN ともに CKD に対してのみ有意に高値を示した．相関分析では，石灰化度と配向性については相関が認められなかったが，TPD のみでコラーゲン線維配向性と低結晶性アパタイト配向性の間に有意な正の相関が認められた．[考察] TPD，ALN ともに CKD に対して石灰化度の改善を認めるが，配向性の向上には骨形成が伴う必要があると考えられる． ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････････ 参考論文 1. NIH Consensus Statement, 27-29;17(1), 1-45 (2000). 2. C. Marcott, R. C. Reeder, et al., Cell. Mol. Biol. (Noisy-le-grand), 44(1), 109-15 (1998). 3. M. Ota, M. Takahata, et al., Osteoporosis. Int., 28(4), 1481-1490 (2017).   Fig.2 Correlation analysis of bone quality (image vs. spectra). (a) mineral-to-matrix ratio, (b) carbonate-to-phosphate ratio, (c) crystallinity and (d) mineral maturity. (a) (b) (c) (d) 

近・中赤外分光法による骨ならび軟骨評価法の開発

施, 闊

SHI, Kuo

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 48  空間光位相変調器(LCOS-SLM)によるビーム振幅の変調についての研究  Beam amplitude modulation based on LCOS-SLM (optical phase modulator)  施 闊（SHI Kuo）  In this study, we devised a method for the design of continuous phase-only holographic masks that map laser light to arbitrary target illumination patterns, which have a wide range of applications. In this method, the discrete gradient of a holographic mask is obtained by combining geometric optics and the Hungarian algorithm, and then the entire problem is transformed into an integral problem with a discrete gradient. Finally, the least squares method is used to solve the gradient integral to complete the construction of a phase holographic mask.   空間光変調器(SLM)は、画像などの 2 次元または 3 次元の光学情報を動的かつリアルタイムに処理できるデバイスである。SLM を用いると読み出し光位相・偏波面・振幅・強度・伝播方向に変調を与えることができる。LCOS-SLM を用いてビームの強度分布の制御する設計は非イメージング光学系の逆問題である。カスタマイズされた振幅分布を持つビームの発生は様々な応用において重要な意義がある。例えば、レーザービームの変換、フォーカス、拡張現実システムおよびホログラム表示における複雑な画像の形成、構造化照明、光トラップ、顕微鏡などの分野に広く応用できると考えられる。多くの場合、このような問題は二次非線形楕円偏微分方程式の解を探すことに帰着できる。一般的に、光学設計におけるこのような逆問題は様々な数値解析の反復法で解決される。2013 年に Wu らは反復法を用いてモンジュ・アンペール方程式を解き、DOE を設計して所望の振幅分布のビームの発生を実現した。このような反復法を用いててモンジュ・アンペール方程式を解く方法の一般的な欠点の一つは、非線形方程式を解く計算が複雑度が高く、反復初期値の選択が方程式の解の成否に影響し、初期値の選択が不適切であると収束解が得られないことである。そのため、非画像化光学の逆問題を解決するための別の方法も模索されている。 本研究では、光線マッピング計算の問題を最適分配の問題に変換する位相 MASK の設計方法を提案した。これにより、純粋な位相ホログラムを用いてビームの振幅分布を制御するという目的が達成された。得られたマスクは拡大して使用しても良好な回折効果が得られることがわかった。マスクの段階的に滑らかな性質を実証した。 実際に得られる回折自由曲面は 3 次元的に連続した曲面である。これは加工、成形、製造に非常に便利である。我々はこの方法で平行光束を「CIST」という文字の光強度分布に変換できる位相 mask を設計した。Figure.1(a)には設計した位相マスクのパターンを示している。これをアンラップするとFig.1(b)が得られ、この位相マスクは従来の GS 法に比べて良好な連続性を有し、SLM の他に回折光学素子（DOE）の設計にも利用できることが分かる。Figure.1(c)は角スペクトル法を用いて、マスクの回折についての数値シミュレーションした結果である。平行ビームを「CIST」の形の照明に変換することに成功したことがわかる。実験で記録した回折光強度分布は Fig.1(d)に示すように、数値シミュレーション結果と高い一致性を示していることが公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 49  分かる。    Fig.1. (a) the phase-only hologram. (b) the unwrapping phase image. (c) the diffraction intensity simulation. (d) the diffraction image by experiment  参考論文 1. R. Wu, P. Liu, Y. Zhang, Z. Zheng, H. Li, and X. Liu, “A mathematical model of the single freeform surface design for collimated beam shaping,” Opt. Express 21(18), 20974-20989 (2013). 2. L. L. Doskolovich, M. A. Moiseev, E. A. Bezus, and V. Oliker, “On the use of the supporting quadric method in the problem of the light field eikonal calculation,” Opt. Express 23(15), 19605-19617 (2015).   

Beam amplitude modulation based on LCOS-SLM (optical phase modulator)

前川, 啓輔

マエカワ, ケイスケ

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻修士論文英文要旨 64  A study on automatic advising for students in online flipped classroom  Keisuke MAEKAWA（前川 啓輔）  There is a need to bring up an attitude of independent learning in higher education. To encourage students to take the initiative, online classes have been used in prior studies. In student-centered learning, students are expected to think about what and how they learn. However, students who are not accustomed to this type of learning have challenges proceeding on their own. Additionally, they struggle to become independent. Teachers are supposed to track these pupils’ development and support it, although it can be challenging to do so weekly. On the other hand, as learning is increasingly online, learners' learning status is being stored as electronic data and made available for use. As a result, this study investigated the feasibility of automatic advising according to the learner's situation based on information such as learning logs and reflections from the learning management system (LMS) that are accumulated through online learning. In this study, automatic advising is assumed to be a three-step flow. 1) Assessing Learners' independence with multiple items based on learner data 2) Generating advising text based on learner evaluations. 3) Sending advising texts to students. Regarding evaluation, Mizogami describes three levels of depth of independent learning. The first stage is defined as the “assignment-dependent type,” a stage in which the student is interested in and engaged in the assignment. The next stage is defined as the “self-regulation type,” a stage in which students devise learning goals and strategies through metacognition. The establishment of long-term life goals and identity is the purpose of the last stage, which is known as “life type”. Mizogami states that a single course is not sufficient to develop “life type” students, so this study will focus on advising to guide learners from the “assignment-dependent type” to “self-regulation type.” In this study, learning “task-dependent” to “self-regulating,” and each is assessed separately. First, evaluate the learning situation. According to Shirasawa, independence is divided into four basic categories and evaluated in terms of how much learning was avoided and how much was directed into knowledge acquisition. In this study, in addition to textbook browsing, exercise solving, and computer-based testing (CBT) results that can be obtained from the LMS as data equivalent to the above perspectives, worksheet efforts and class participation assigned for each class will be used to assess the students. However, preliminary verification indicates that some of the characteristics of the group of learners participating in the classes targeted in this study do not fit into the four categories of Shirasawa. As a result, the characteristics of the four categories are redefined. Specifically, based on the students’ data, k-means clustering is conducted to classify the data into four types of clusters, and the characteristics of each cluster are read and assessed from the statistics. Second, evaluating learning goals. Self-regulated learning refers to the state of being able to learn while repeating the three 公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻修士論文英文要旨 65  elements of self-regulated learning: goal setting, learning, and reflection. In particular, goal setting influences both learning and reflection, so this study will evaluate whether the content of goal setting is in line with the points of self-regulated learning. In this study, the confirmation was carried out on students enrolled in the required course “Java Programming 2022” for second-year students of Chitose Institute of Science and Technology. The following are excerpts from the responses to the questionnaire to the students who were advised (n = 44).  Forty respondents indicated that they thought the learning evaluation for you was appropriate in response to the question 70%－80% of the students responded “yes” to both questions when asked if there was anything in the advice on learning status and goal setting that they would take into consideration in the following class. These results indicate that student evaluations are valid and that the content of advising is useful to students to some extent. However, there are opposing viewpoints as well, such as “The suggestion was straightforward” and “I want the situation to be better than it is right now.” There are still some issues with some students’ ambiguous and the simplicity of the advice based on the phrase combinations.   

A study on automatic advising for students in online flipped classroom

ARIM, 運営委員会

エイリム, ウンエイイインカイ

 公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 68  令和 4 年度「マテリアル先端リサーチインフラ事業」  ARIM 運営委員会  令和 4 年度はマテリアル先端リサーチインフラ事業（Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan, 略称 ARIM, エイリムと発音）の 2 年目ですが、令和3 年度がナノテクノロジープラットフォーム事業（装置共用事業）の最終年度であるとともに、ARIM 事業の初年度（データ構造化の基盤整備のみ）であったため、令和 4 年度は ARIM事業の本格始動の年でありました。  ARIM 事業の最も困難な課題は、装置共用事業とデータ登録事業の両立にあります。データ登録事業の目標は、装置共用事業によって得られたデータを収集、登録、構造化してビッグデータとし、AI によって新材料を設計開発することにあります。一方、装置共用事業では、地域を中心とした多様な利用者のニーズに応えて、例えば、ユーザーA とユーザーB が同じキチン試料を持ち込まれたとしても、その組成や構造は同じものではないでしょう。その由来や加工方法等のメタデータが詳細に同じ規格で記載されていなければ、マテリアルインフォマティクスの対象にはなりえません。近年のデータ駆動型研究等で行われる一般的な統計処理や機械学習アルゴリズムに資する条件としては、scikit-learn のチートシートによれば 50 以上のサンプル数が目安となっています（https://scikit-learn.org/stable/tutorial/ machine_learning_map/）。サンプル数が多ければ多いほどモデルの精度検討には有利となります．しかし、実際にユーザーが持ち込まれるほとんどの試料は n=1 です。本学 ARIM ユーザーで例外的なのが某大学の M 先生で、ある種のポリマーを条件を変えて合成され、年間数百件の GPC 測定を本学に依頼してくださり、大越研究室が対応しています。この場合も、詳細なメタデータを含めてどこまでデータを提供していただけるかは今後の交渉を待たねばなりません。大学の利用者の場合は、論文掲載まではデータを公開したくない方が多いのですが、ARIM 事業では 2～3 年間の猶予期間（エンバーゴ）を設定してデータ提供者の数を増やそうとしています。 一方、企業ユーザーの場合は更にデータ提供のハードルは高く、特許取得まで待ってもデータ公開を許していただける顧客は少なく、一切公開したくないと仰る方が少なくありません。 ナノプラから ARIM になって大きく変わった点に、ARIM 参加教員がユーザーとして登録可能になったことがあります。その変化の理由としてメタデータを含めた質の揃った大規模データを提供していただけるのは内部教員しかないという期待があります。本学 ARIM事業は、公立千歳科技大と千歳市、北海道の発展と日本の科学技術、産業の発展のために教職員の皆様と共に努力してまいりたいと願っています。ARIM に装置を登録していただき、学内外との共同研究を進め、メタデータ付きのデータベース形成が可能なデータの提供にご協力くださるようよろしくお願い申し上げます。  Ⅰ．装置共用事業 【令和 5 年度登録予定装置】 ・学内予算で令和 4 年度に更新された装置 １．分光蛍光光度計         日本分光   FP-8550 ２．X 線回折装置（XRD）      ブルカー  D8 DISCOVER  公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 69  ３．試料作製装置群 グローブボックス 美和製作所 下置きガス循環精製装置付パージ式 ・ARIM 補正予算で令和 4 年度に購入された装置 令和 4 年度はなし。令和 5 年度は、皆様のご協力で利用件数、利用日数、利用料収入、データ登録数等の評価項目を改善していくことで補正予算の獲得を実現させたいと願っています。  【設備利用約款】 2022 年 10 月 23 日 ・「設備利用約款」を名大 HUB へ提出  【料金設定】 2022 年 2 月 14 日 ・共用推進委員会委員長からの依頼により以下の 3 点をセンターハブ事務局に提出した。①各機関での提供される価値の勘案方法 ②各機関でのディスカウントの考え方 ③共用設備利用料金表   一般利用（成果報告型） データ共用あり 一般利用（成果報告型） データ共用なし 自主事業（成果非公開型） 従量制  大学、公的研究機関 5,500 円/日 大学、公的研究機関 6,875 円/日 大学、公的研究機関、企業 16,500 円/日 企業 11,000 円/日 企業 13,750 円/日 定額制  大学、公的研究機関、企業 55,000 円/年 設定なし 設定なし 33,000 円/6 ヶ月 16,500 1 ヶ月  II．データ共用化 【フィジビリティスタディ（FS）】 フィジビリティスタディ（FS）とは、各実施機関におけるデータ登録の運用，および令和 4 年度から物質・材料研究機構（NIMS）で試運転を開始する「クラウドデータ構造化システム」の運用について表 1 に示される各種のテストを行うことを目的とし，各ハブ機関・スポーク機関の事業関係者が持つデータ群（データセット）を NIMS に提供するものです。  表 1：FS での検討内容例 ・ 構造化システムへ NIMS 運用者によるデータ登録ワークフローの確認 ・ 利用者が構造化システム登録する上での課題の洗い出し ・ データ共用における見本となるデータセットのショーケース化 ・ データ登録規約（案）もしくはデータ利用規約（案）の整備に向けた事例検討 ・ 料金設定や利用における権利形態などの検討 ・ 安全保障貿易に係る機微技術管理の事前検討 ・ データ利活用する上での課題の洗い出し  公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 70  本学では「分子量の異なるポリスチレンの IR スペクトル」と題してデータ収集を行いました。分子量が 2,500～2,000,000のポリスチレン 13種類の試料をカートハウス教授が提供し、ARIM 登録の IR 装置を用いて、木村研究室で測定が行われました。波数 2800～3100 の 7 本の吸収バンドについてピーク波数とピーク強度を比較しました。 2022 年 7 月 6 日 ・令和 4 年度データ蓄積利活用フィジビリティスタディ説明会 15:00～16:30 主催：マテリアル先端リサーチインフラ事業 データ連携基盤委員会 2022 年 12 月 26 日 ・FS データを名大 HUB へ提出しました。  【IoT セキュリティデバイス（CYTHEMIS）設置】 2022 年 8 月 24 日  ・データ構造化サービスおよびネットワーク対応にかかる概要説明会（RDE 概要説明、IoT セキュリティデバイス設置/利用に関する説明）NIMS 主催 2022 年 11 月 9 日 ・東芝インフラシステムズ社とのセキュリティデバイス設置の打ち合わせ  Zoom （東芝、萩原、河野、伊勢崎、櫻井、大沼、吉田、Karthaus 出席） 2022 年 11 月 21 日 ・IoT デバイス設置  ・初回登録装置（3 台）：走査型電子顕微鏡（SEM、日立ハイテク TM4000 PlusII）、電界放出形走査電子顕微鏡（FE-SEM、日本電子 JSM 7800F）、核磁気共鳴装置（NMR、ブルカー AVANCE NEO 400）  【データ構造化システム（RDE）】 ・データ利用範囲 （RDE 受入マニュアル 2023.01.17 6/33 ページ） RDE システムで蓄積されたデータの利用は、データセットを管理する研究チームおよび研究チームの親や祖先グループによって利用範囲が限られます。グループ構成の詳細については、 グループ・グループメンバの構成を参照ください。 データの利用範囲は以下のように変化します。  ・RDE の利用の流れ データセットは、エンバーゴ期限が切れることによって公開されます。 公開前であっても、データセットや試料情報は、各情報の管理者の権限によって、他の研究チームと共有することができます。 データセットや試料を共有することによって、自身が所有するデータセットでなくても、データセットおよびデータセットに登録されたデータの閲覧と、ダウンロードができるようになります。  タイミング 公開範囲 データセット開設～公開直前 データセットを管理している研究チーム内 データセット公開後 研究チームが所属するプロジェクト、もしくは研究チームが属する事業内  公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 71  2022 年 12 月 13 日 ・RDE 機関管理者向け運用説明会 ARIM データ共用チーム主催  III．評価 【サイトビジット】 2022 年 10 月 28 日 ・サイトビジット打ち合わせ会 場所：F204 2022 年 11 月 18 日 ・文科省、ARIM センター等による 2 年に 1 回の視察（サイトビジット）が行われました。 場所：本部棟大会議室 出席者：プログラム運営委員会（PD 曽根純一、サブ PD 伊藤聡、PO 永野智己、PO 田中竜太）、文部科学省（ナノテクノロジー・物質・材料担当、参事官補佐 長田有生、科学技術・学術行政調査員 小椋智、戦略調査・分析係 係員 渡邊なつき）、ARIM センター〈センターハブ機関、運営機構長 小出康夫、ARIM センター運営室 室長 三留正則、業務実施運営統括 内堀千尋、業務実施運営統括 三浦薫〉、横断領域（分子研、太田康仁 特任研究員）、名大 HUB（代表 馬場嘉信教授）、JAIST スポーク（代表 高村由起子教授）、九大 HUB〈代表 中尾辰也教授〉、東大 HUB（代表 井上佳寿恵教授）、 公立千歳科技大（理事長・学長 宮永喜一、副理事長 井手剛、ARIM 責任者 Olaf Karthaus、研究科長 大越研人、教授 木村廣美、教授 堀野良和、以下公立千歳科技大 ARIM 河野敬一、今井敏郎、伊勢崎政美、櫻井真理、大沼友一郎、吉田慎吾） 2023 年 1 月 19 日 ・サイトビジットの結果を踏まえて今後の本学の事業の取り組み方について文科省、ARIM センターから問い合わせがあり、フォローアップ書類を提出しました。  【3 年目の中間評価】 ARIM はスタートしてから実質 1 年ですが、来年度は 3 年目の中間評価が行われます。学内の皆様のご協力をお願い申し上げます。  Ⅳ. 広報活動 2022 年 9 月 15 日 ・利用成果発表会 文部科学省研究交流センター ハイブリッド形式 利用課題名「トド松の KSE 機械解繊により得られた KSE セルロースの特性検討」 ユーザー名（所属）：加藤進（加藤バイオマステクノロジー株式会社） 2022 年 11 月 10 日～11 日 ・ビジネス EXPO アクセスサッポロ 公立千歳科技大 ARIM 事業の紹介のためのポスター展示を行いました 2022 年 11 月 ・公立千歳科技大 ARIM ホームページの開設  https://arim.chitose.ac.jp  公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 72  2022 年 11 月 ・公立千歳科技大 ARIM パンフレット（初版）の作成 2023 年 2 月 1 日～3 日 ・第 22 回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議（nano tech 2023） 東京ビッグサイト 東 1,2 ホール・会議棟 2023 年 2 月 3 日 ・第 21 回マテリアル戦略総合シンポジウム（JAPAN NANO 2023） 東京ビッグサイト 会議棟 1 階レセプションホール オンライン併用開催  Ⅴ. 人材育成活動 【データ人材育成】 2022 年 10 月 27 日、11 月 25 日、12 月 22 日、2023 年 1 月 26 日、2 月 24 日、3 月 24 日 ・「データ人材育成企画」データ構造化オンライン学習 Python 初心者向け) 15:00 ~ 17:00 NIMS 主催 2022 年 10 月 28 日 ・データ登録勉強会 名大 HUB 主催 2022 年 12 月 7 日 ・マテリアルズ・インフォマティクス基礎から応⽤ チュートリアル連続セミナー （データ創出・活⽤型マテリアル研究開発プロジェクト  データ連携部会企画） ⽇程：12 ⽉7 ⽇以降の毎週⽔曜⽇（12 ⽉28 ⽇、2023 年 1 ⽉4 ⽇を除く）全 6 回   【技術人材育成】 2022 年 6 月 1 日 ・ハブ・スポーク 25 機関 技術支援者意見交換会 河野が発表（4 分間） WEB 開催 2022 年 9 月 16 日 ・令和 4 年度学生研修プログラム成果発表会 文部科学省研究交流センター（茨城県つくば市） オンライン(Zoom)併用 2022 年 11 月 7 日 ・技術スタッフ交流プログラム「ナノスーツ法による生きた生物の SEM 観察」 平井先生指導（受講者：NAIST から 1 名） 2022 年 11 月 22 日 ・Bruker 固体 NMR 講習会 2022 年 12 月 8 日～9 日 ・技術スタッフ集合研修会＠東大武田 （カートハウス先生出席） 2023 年 1 月 20 日 ・技術スタッフ交流プログラム（要望提案型）第 1 回「合成プロセスデータ構造化・リモート化ワークショップ」 開催者：北陸先端科学技術大学院大学、分子科学研究所 提案者：公立千歳科学技術大学、奈良先端科学技術大学院大学    公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 73  VI. 会議 令和 4 年度は、WEB 会議が増えたこともあって 75 件の会議が ARIM で開催されました。メンバーとしてあるいは陪席者として科技大 ARIM 参加者の出席した関連会議を以下に掲げます。  【ナノプラ】 2022 年 6 月 28 日 ・ナノテクノロジープラットフォーム事後評価検討会（分子・物質合成PF）  【全体】 2022 年 6 月 30 日 ・第 3 回マテリアル先端リサーチインフラプログラム運営委員会合同会議 2022 年 7 月 22 日 ・第 11 期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会（第 6 回） 2022 年 11 月 24 日 ・第 11 期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会（第 8 回）  【ARIM 運営機構会議】 2022 年 3 月 28 日 ・第 4 回運営機構会議  2022 年 6 月 29 日 ・第 5 回運営機構会議 2022 年 9 月 28 日 ・第 6 回運営機構会議 2022 年 12 月 14 日 ・第 7 回運営機構会議  【ARIM 共用推進委員会】 2022 年 5 月 26 日 ・第 4 回共用推進委員会 2022 年 7 月 21 日 ・第 5 回共用推進委員会 2022 年 11 月 2 日 ・第 6 回共用推進委員会 2022 年 12 月 19 日 ・第 7 回共用推進委員会  【重要技術領域（次世代バイオマテリアル）】 2022 年 7 月 7 日  ・重点領域マスタープラン、マイルストーン作成の学内打ち合わせ 2022 年 7 月 11 日 ・マイルストーン原稿を名大 HUB に提出 2022 年 9 月 14 日 ・マスタープラン、マイルストーンの改定について WEB 会議 出席者：（名大）馬場、高村、山本、（公立千歳科技大）カートハウス、大越、河野 2022 年 9 月 20 日 ・マイルストーン暫定版を名大 HUB へ提出  2022 年 12 月 12 日 ・マイルストーン初版を名大 HUB へ提出  【横断技術領域】 2022 年 9 月 16 日 ・NAIST 服部賢先生来学 横断技術領域（物質・材料合成）連携の強化、公立千歳科技大での情報共有（データ供出法、利用形態等）のために奈良先端科学技術大学院大学の服部准教授が来学されまし 公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 74  た。 2022 年 10 月 7 日  ・合成横断分野のワークショップ開催に向けた打ち合わせ会 参加者：公立千歳科技大（カートハウス、河野）、NAIST（河合）、JAIST（大木）、分子研（太田） 2023 年 1 月 20 日 ・第 1 回「合成プロセスデータ構造化・リモート化ワークショップ」 場所：北陸先端科学技術大学院大学 石川キャンパス  目的：MI において、有機材料、無機材料、複合材料など、物質・材料ごとにプロセスが異なる合成プロセスのデータの収集と整理について理解を深める  本学の担当：ワークショップの提案者の一人としてグループ討議の司会をカートハウス教授が務めました  【学内】 2022 年 7 月 12 日 ・令和 4 年度 ARIM 運営委員会総会 2022 年 9 月 29 日 ・令和 4 年度 ARIM 第１回コアメンバー会議 2023 年 2 月 20 日  ・令和 4 年度 ARIM 第 2 回コアメンバー会議    

令和4 年度「マテリアル先端リサーチインフラ事業」

吉本, 直人

ヨシモト, ナオト

9000367402437

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023)  3  コロナ禍を超えて 〜 with- から post- 〜  公立千歳科学技術大学  理工学部長 吉本直人  読者の皆様におかれましては、日頃より公立千歳科学技術大学の教育や研究成果に対するご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。さて、この数年世界中で猛威をふるった新型コロナウイルスも、感染症法上の位置づけが 2023 年 5 月にインフルエンザと同等レベルである「5 類」に変更されることになりました。ようやく待ちに待った「平常」が大学生活にも戻ってくることになります。振り返れば、緊急事態宣言に伴い教育や研究活動はもちろん、日々の生活においてさえ、誰もが経験したことのない状況が続く中、本学の教職員たちは、コロナウイルス感染症の対策や予防に取り組みつつ、教育・研究活動の継続とその質の維持に尽力してまいりました。一方で、学生たちは課外活動などが制約され不自由なキャンパスライフを強いられつつも、ハイフレックス型やビデオ・オンデマンド型などの新しい授業形態に対して柔軟な適応力を示していました。また、オンラインによる研究発表や就職説明会・面接などの新しい試みについても経験をしてまいりました。こうした経験の中で、得られたものとして新たなるコミュニケーションのありかたが挙げられます。ネットワーク技術を用いた遠隔でのテレコミュニケーションは、技術的には従来からあったものですが、社会全体で認知され、個々人の行動様式としての選択肢が増えたことに意義があると思います。これによって、移動の制約からの開放による時間的な選択肢の増大のみならず、働く場所や学ぶ場所などの空間的な選択肢を増やすことを可能としました。教育においては、きっかけは強制的ではあったものの前述したハイフレックス型やビデオ・オンデマンド型などの新しい授業形態を実行することにより、従来の e-ラーニングとは異なった教育効果を知る機会を得ることができました。今後は、対面型とオンライン型との併用によるブレンド型の授業形態などを試行することによって一層の教育の質の向上に繋げていきたいと考えております。研究活動においては、多くの学術会議がバーチャル化しましたが、これは遠隔からも自由に参加できることを意味しております。地方の大学にとっては、移動にかかる時間とコストに関するハンディキャップを解消し、研究成果の発表する良い機会となりました。一方で、失ったものとして部活動などに代表される人と人とのリアルな繋がりや体験が挙げられます。具体的な影響は今後の調査を待つ必要がありますが、在学生へのケアのみならず今後の新入生においてもコロナ禍が残した影響をしっかりと検証してケアすることが求められます。未曾有な災難であったコロナ禍でしたが、様々な制約が新たな必要性を引き起こし、それが創意工夫と新たな試みを生み出したことは、post コロナ時代にも繋げなければいけません。平常な生活が戻ってきてからも、自ら「問い」を立てることにより必要性を喚起し、創意工夫を続けていくことを願ってやみません。最後に、本紀要を通じて本学の活動の一端をみなさまにご理解いただけることを祈念しております。 

巻頭言：コロナ禍を超えて 〜 with- からpost- 〜

喩, 弘歴

YU, Hongli

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 46  光集積回路への配線用高密度光ファイバならびに機械学習を用いた画像認識による自動調心法に関する研究  Study of the high-density optical fiber for wiring to photonic integrated circuits and its automatic alignment method by image recognition using machine learning  喩 弘歴 (Hongli YU)  This study is mainly focused on automatic optical assembly of high-density photonic integrated circuits (PIC). We proposed a multi-core fiber with double core structure (MDCF) for high-density wiring on PIC.  In this time, we report on three items as below.  Firstly, we evaluated the double-core optical fiber（DCF）based on the proposed design and confirmed its fundamental performance such as the mode field conversion.  Secondly, as for the automatic optical assembly system, we have demonstrated a proposed approach to predict the fiber position based on image recognition using visible light and machine learning, and showed the feasibility of this approach.  Thirdly, to realize high-density optical wiring on PIC, we designed a compact grating coupler for high-density PIC layout.   1. 研究内容 近年，集積度が進展する光集積回路（PIC）おいて，光ファイバ接続工程の簡易化・低コスト化が課題となっている．本研究の主たる目的は，高密度光集積回路への光接続工程の自動化である．この目的を実現するために，この目的を実現するために，以下の３つの観点から研究を進めてきた．第１に，高密度に PIC へ接続可能な高密度配線用光ファイバの実現である．これまで，マルチ二重コアファイバ（MDCF）を提案し，その特性の解析ならびに試作品の評価を実施してきた．第２に，上記光配線用ファイバの PIC への接続工程の自動化の実現である．これまで，従来の信号光のパワーをモニターする調心方法とは異なる，可視光の回折を画像認識と人工知能を利用することによって，光ファイバの位置を推定する調心方法を提案し，その実現可能性を検証してきた．第３に，PIC 上への高密度配線を可能とする従来と比べてコンパクトな光入出力用回折格子（Grating Coupler，GC）の実現である．これまで，従来比で１/5 程度に小型化した入出力用 GC を設計し，これを用いた PIC を試作した．  2. 進捗状況 2.1 マルチ二重コアファイバ（MDCF）  前年度までは主に MDCF による高密度配線の提案と解析ツール RSoft を利用した MDCFの構造設計と最適化を行った．今年度は，その設計を基づき二重コア構造を有する光ファイバの試作を行った．図１に試作した光ファイバのテーパ部分を示す．モードフィールドの小さな高 Δ ファイバ（図１右）を用いて光結合効率の評価を行った．その結果，試作した光ファイバはテーパ構造によって所望のモードフィールドに変換されていることを確認し,結合損失と過剰損失を含めたパワーロスは約 1dB になる事が分かった．これにより，本ファイバは PIC への高密度配線に有用であることを確認した．  公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程 令和 4 年度研究中間発表会要旨 47  2.2 自動調心システム  前年度まではは可視光の回折光現象を利用した位置情報の可視化手法を提案と Lumeriacl社の解析ツールを使用して，提案内容を解析し，回折光現象のシミュレーションを行った．次に，PIC を用いて提案方法の検証を行い，その妥当性を確認した．今年度は，前年度の結果を基に，自動化に向けた可視化した位置情報のデジタル化の検討を行った．回折光の画像認識に機械学習を取り入れ，ラフサーチ時の位置予測が出来る予測モデルの立ち上げを行った．図２にその結果を示す．縦軸が真のクラスで，横軸が機械が予測されたクラスである，機械予測における正解率は８７％と自動化に向けた実現可能性を示すともに，今度の課題を整理した． 2.3 コンパクトグレーティングカプラ  高密度な MDCF によって光配線間ピッチを減少させることができるため，PIC 上においてもより高密度に GC を配置する必要がある．そのため，従来サイズより小型化し，GC 間ピッチも小さいコンパクトグレーティングカプラに関する検討を進めている．今年度初めに，その物理限界や妥当性検証の為コンパクトグレーティングカプラのチップ設計と試作を行った．  3. 今後の計画  3.1 上記３つの研究項目において，さらなる検証を進めるとともに，各々の結果をとりまとめて，論文化・国際会議への投稿を行う予定である．最終的には，これまで研究を進めてきた３つの研究項目「マルチ二重コアファイバ（MDCF）」と「コンパクトグレーティングカプラ」間を「自動調心システム」において光接続検証を実施し，研究を通じて提案した手法の実現可能性とその価値を示す予定である．        Fig.1 Coupling test of DCF taper(right) test        Fig.2 Confusion chart of prediction result   HNA1 fiber DCF fiber 

Study of the high-density optical fiber for wiring to photonic integrated circuits and its automatic alignment method by image recognition using machine learning

小川, 正浩

オガワ, マサヒロ

骨相学とエリザ・ファーナム  ―アメリカ版『犯罪原論』をめぐる一考察―

越前, 太朗

エチゼン, タロウ

公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻修士論文英文要旨 58  Elucidation and imitation of the structure of the viscous sphere of the weft of the spider web   Taro ECHIZEN（越前 太朗）  [Introduction] Spider silk is known for its strength, high elasticity, and superior performance. In recent years, humans have succeeded in mass-producing artificial spider silk that has the same properties as natural spider silk, and its application in various fields is expected. As one of them, it is expected to be applied to the electronics field such as sensors. Spider web wefts are characterized by the generation of droplets at specific locations, and if it is possible to control the position of droplet generation on the fiber, a new stretch sensor can be created by coating it with a conductive liquid.  In this study, we aimed to clarify and imitate the method of controlling the position of droplets in spider weft threads. We evaluated and verified the mechanical properties by fabricating threads.  [experiment] The spider's weft was immersed in a 5 wt% Tween-20 aqueous solution, and the surface of the liquid was wavy with a rotor to separate the coating. After understanding this, we made a model with a diameter of 40 ㎛, coated it with mucus, and confirmed whether or not droplets were generated at specific positions by applying tension. The weft threads of Araneidae belonging to Araneidae were used as the collected threads.   Figure 1 How to remove the coating  [Results/Discussion] Fig2 is an image of the internal structure of the spider's viscous sphere with the coating removed, taken with an electron microscope. From the image, it was confirmed that the yarn is composed of four fibers and has a characteristic spinning method. Two of them are right-handed, and the whole structure is left-handed. This structure occurs periodically This structure, which was clarified based on a model made of polylactic acid filaments, was made with a thread four times thicker than the actual spider silk. The size of the sticky ball changed. When the tension was weakened and the viscous spheres disappeared, viscous globules appeared at the same 公立千歳科学技術大学紀要第 4 巻第 1 号 (2023) 大学院理工学研究科理工学専攻修士論文英文要旨 59  position when the tension was applied again. From this, this structure is one of the reasons why the viscous ball is generated from the place where the thread is fixed. It was thought that it could be applied to manufacturing.   Figure 2 Internal structure    Figure 3 Artificial viscous sphere    

Elucidation and imitation of the structure of the viscous sphere of the weft of the spider web

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