京都大学0048新制・論文博士博士(社会健康医学)乙第13358号論社医博第15号新制||社医||11(附属図書館)京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(主査)教授 川上 浩司, 教授 小川 修, 教授 松村 由美学位規則第4条第2項該当Doctor of Public HealthKyoto UniversityDFA

Torishima, Masako

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TitleNegative recollections regarding doctor-patient interactionsamong men receiving a prostate cancer diagnosis: a qualitativestudy of patient experiences in Japan( Abstract_要旨 )Author(s)Torishima, MasakoCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2020-05-25URL https://doi.org/10.14989/doctor.r13358RightMasako Torishima, Michiko Urao, Takeo Nakayama and ShinjiKosugi. Negative recollections regarding doctor‒patientinteractions among men receiving a prostate cancer diagnosis: aqualitative study of patient experiences in Japan. BMJ Open2020, 10:1. doi:http://dx.doi.org/10.1136/bmjopen-2019-032251. ©Author(s)(or their employer(s))2020. Re-usepermitted under CC BY-NC. No commercial re-use. See rightsand permissions. Published by BMJ. This is an open accessarticle distributed in accordance with the Creative CommonsAttribution Non Commercial (CC BY-NC 4.0) license, whichpermits others to distribute, remix, adapt, build upon this worknon-commercially, and license their derivative works ondifferent terms, provided the original work is properly cited,appropriate credit is given, any changes made indicated, andthe use is non-commercial. See:http://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/.Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（社会健康医学） 氏 名 鳥 嶋 雅 子 論文題目 Negative recollections regarding doctor-patient interactions among men receiving a prostate cancer diagnosis: a qualitative study of patient experiences in Japan （医師の診断告知における前立腺がん患者の否定的な記憶：日本における 患者体験の質的研究） （論文内容の要旨） 【目的】がん告知時のコミュニケーション方法は、患者のメンタルヘルスに影響するとの報告もあるが、現行のがん告知ガイドラインはがん患者の視点からの検討が十分ではない。そこで、頻度は多いが患者体験の研究が少ない前立腺がんに注目し、患者の視点を尊重したがん告知のあり方を検討するために、医師の言葉・態度に関する患者の否定的な記憶を明らかにすることを目的に本研究を実施した。 【方法】DIPEx-Japan が構築した日本人前立腺がん患者の面接に基づく語り（ナラティブ）データベースを用いた質的研究。全テキストデータを読み込み、がん告知時の医師の言葉・態度に関する患者の否定的な記憶について概念を抽出するテーマ分析を実施。DIPEx-Japan の対象の選定基準は、診断後 6 ヶ月以上経過、入院中ではない、20 才以上である。リクルートは、日本全国のがん診療連携拠点病院や前立腺がん患者会、メディアを通して呼びかけ、年齢・家族構成・居住地、病状、治療やケアの種類等が最も多様となるようサンプリングされた。データ収集期間は、2007/12/30～2015/1/30 である。 【結果】前立腺がん患者 51 名の語りを分析した結果、がん告知時の医師の言葉や態度に関する否定的な記憶は 17 名が語り、以下の 11 カテゴリーの概念が生成された。［いきなりの告知に驚き］［家族不在下での本人告知に心外］［否定的な言葉での説明に受け入れ難し］［説明は専門用語で理解できず］［質問を遮断の態度に憤り］［以前の検査時の見立ての誤りに不信感］［事実のみの説明に不満］［想定外の余命宣告に憤り］［病院受診の遅れに対する非難に受け入れ難し］［不適切な比喩の使用に違和感］［楽観的な説明も悲観的な思い］。 【考察】本研究で生成された 11 カテゴリーのうち 7 カテゴリーは、既存のがん告知ガイドライン(SPIKES や SHARE)の十分な実践により、患者に否定的な記憶として残さないことが可能と考えられた。残り 4 カテゴリーには、実践の際にガイドラインに追加すべき具体的な視点が見られた。まず 1)がん告知と同時の余命告知は、患者の希望が確認できている場合に限定する、2)過去の行動を否定するような言葉は避ける、3)比喩の使用は慎重に行う、4)悪性度が低い場合でも、患者は重く捉える事があることを心に留め、伝えた直後の患者の受けとりを確認する、ことである。語られた否定的な記憶は、医師に伝えられなかった故に長く記憶として残った可能性があり、がん告知の後、その場で言語化されない患者の内的な強い感情の存在を示している。海外ではがん告知後に質問できる機会を作り、患者の発話を促す提案もある。本研究は 2001 年～2007 年にがん告知を受けた前立腺がん患者の語りを対象にしたものであり、臨床現場でがん告知ガイドラインは浸透しておらず、現在の状況の調査は今後の課題である。 本研究の限界は、1)既存データの 2 次解析であり、今回の目的に対して利用可能なデータで理論的飽和に達していない可能性、2)患者の記憶を対象としているため患者が語った医師の言葉や態度は事実と異なる可能性、3)がん告知から1～7 年の幅があり、がん告知場面の想起に影響した可能性、4)日本の前立腺がん患者の語りのみを対象としているため海外のがん患者に一般化できない可能性がある。 【結論】前立腺がん告知場面における医師の言葉や態度について、多様な否定的体験が患者の記憶に残っていることが明らかとなった。がん告知ガイドラインが現場で個々の患者に適切に使われるために、患者の語りデータの活用が望まれる。  （論文審査の結果の要旨） 前立腺がん罹患率は年々増加傾向で、生存率も高いことから、がんと共に生きる時間が長い。また、特に結果が悪い場合の医師とのコミュニケーションは患者の不安や心理に影響すると言われている。しかし、現行のがん告知ガイドラインは患者体験を基に作成されたものではない。そこで、本研究では前立腺がん患者の告知体験を基に、告知時の医師の言葉や態度に関する否定的な記憶を 明 ら か に す る こ と に し た 。 研 究 デ ザ イ ン は 質 的 二 次 分 析 で あ る 。DIPEx-Japan の健康と病の語りデータベースに収録された日本人前立腺がん患者 51 名の語りから、がん告知場面を抽出し、医師の言葉や態度に関する否定的な記憶についてテーマ分析を行った。結果、51 名中 17 名に否定的な記憶の 語 り が あ り 、 11 カ テ ゴ リ ー が 生 成 さ れ た 。 既 存 の が ん 告 知 プ ロ ト コ ル（SPIKES と SHARE）に記載がない［想定外の余命宣告に憤り］［病院受診の遅れに対する非難に受け入れ難し］［不適切な比喩の使用に違和感］［楽観的な説明も悲観的な思い］の４カテゴリーの視点を追加することで、より患者中心のがん告知が可能になると考えらえた。また、伝えた後に患者の受け取りを丁寧に確認することも大切だと考えられた。 以上の研究は、がん告知場面における医師の言葉や態度に関する前立腺がん患者の否定的な体験の解明に貢献し、がん告知時の医師のコミュニケーション方法の改善に寄与するところが多い。したがって、本研究は博士（社会健康医学）の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、令和２年５月８日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

医師の診断告知における前立腺がん患者の否定的な記憶：日本における患者体験の質的研究

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/253466/1/ysyar00015.pdf

医師の診断告知における前立腺がん患者の否定的な記憶：日本における患者体験の質的研究

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