Research on Competences and Career of Teaching Staff in the field of Secretary and Applied Business : Survey findings for the members of Japan Society of Applied Business Studies

Abstract

日本ビジネス実務学会には,ビジネス実務の実践者やビジネス教育に対する志向性を持つ会員が多く所属している.本研究では,文系大学・短大を中心とする「非専門職型」職業教育という観点から,教育の担い手である教員の活動状況を検討し,教員として必要とされる能力や実務家教員のキャリアの特徴について明らかにすることが目的である.具体的には,仕事での時間の費やし方,仕事で求められる能力,キャリアパスの特徴を中心に,日本ビジネス実務学会の会員調査データを用いて分析を行った.「非専門職型」の人材養成を担当している秘書・ビジネス実務担当教員の実情を明らかにすることは,今後,文系大学・短大等において,実務家教員の能力開発や処遇を検討する上で,示唆を与えるものである.学会に所属する教員(以下「学会教員」とよぶ)の職務内容の4つの主要機能としては,「教育>管理運営>研究>社会サービス」の順に時間を費やしていたが,特に教育活動に費やす時間がその多くを占めていた.また,「学会教員」は,時間を有効に使う能力を最も身に付けたいと考えており,研究や教育に必要な能力の獲得が現在の仕事を遂行する上で不足していると捉えていた.能力開発の課題としても,時間の確保が最も大きな課題となっていた.このように「学会教員」は研究志向を持ってはいるが,授業などの教育活動に主たる時間を費やしているため,研究時間の捻出ができずにいることがうかがえる.「秘書・ビジネス実務関連科目」を担当している教員は約4割いるが,この科目を担当している教員のキャリアは,ほとんどが実務経験からキャリアをスタートさせていた.実務経験年数をみると,大学教員が平均21.8年であり,短大教員と比べると9.2年も長い経験年数を有していた.男女別の違いを見ると,男性大学教員の実務経験年数が平均35.0年であるのに対し,女性大学教員は10.0年と3分の1程度の実務経験しか有していなかった.短大と大学の実務家教員の経験年数を比較すると,女性教員にはそれほど大きな差は見られなかったが,男性教員は短大と大学とでは,実務経験年数において15.1年もの差があり,管理職経験者の比率も大学教員の方が約3倍多かった

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