School of Psychological Science, Communication Disorders
Abstract
本稿では、好ましいライフスタイル確立に資する早期健康教育のあり方を模索すべく、日常の健康生活習慣の実践状況と心身の自覚症状や自覚的健康感の関連を検討した。その結果は、以下のように約言される。1)女性は、男性より健康生活習慣実践指標(以下HPI: Health Practice Index)総得点が高く、自覚症状得点が低い。2)HPI各項目の実施群、非実施群の間で、自覚症状得点に有意な差がみられた項目は、男性では「栄養のバランス」、「拘束時間」が、女性では「適正飲酒」であった。また、男女ともに有意な差が見られた項目は、「朝食摂取」、「自覚的ストレス」であった。3)自覚症状で、男性の有訴率が有意に高い項目は「生活に張り合いを感じない」、「自分が他人より劣っていると思えて仕方がない」、「横になりたいぐらい勉強・アルバイト中に疲れる」、「全身の力が抜けたようになることがある」、「自分の健康の事が心配で仕方がない」、「何かでスパーっとうさばらしをしたい」が、女性の有訴率が有意に高い項目は「肩が凝る」、「便秘をする」であった。4)自覚的健康感を目的変数、HPI各項目を説明変数として多変量ロジスティックモデルを構築し、ステップワイズ法によって変数選択したところ、男性では「栄養のバランス」、「自覚的ストレス」が、女性では「適正睡眠」の項目が独立性の高い変数として検出された。5)HPI実践群と比較して、非実践群の自覚症状得点が高くなると同時に自覚的健康感が低くなる傾向が認められた。以上の結果から、HPIの実践が、自覚症状有訴率の低下および自覚的健康感の向上を図るうえで有効な要因の1つであることが示唆された。また、男性では精神的自覚症状の有訴率が高く、女性では身体的自覚症状の有訴率が高いことから、早期健康教育を実施する際には、性別に配慮したプログラムを用意することの重要性が示唆された。We investigated the relationships between the life styles and subjective symptoms in 560 freshman of Health Sciences Univeesity of Hokkaido. The results indicated the following. 1) Practice of HPI produced a fall of the rates of subjective symptoms and improvement of self-assessed health status. 2) Many male students complained mental subjective symptoms, while many female students complained physical subjective symptoms. Accordingly preparing for the program that considered sex is important in early stage health education