research

Monoclonal antibody against bacterial lipopolysaccharide cross-reacts with DNA-histone

Abstract

(1)目 的  自己抗体の産生機構を明らかにするため、リポポリサッカライド(LPS)に対する単クローン抗体と核抗原との反応性を検討した。(2)研究方法 単クローン性抗LPS抗体は、Salmonella Minnesota Re595株由来のLPSを抗原としてハイブリドーマを作製して得た。抗核抗体の検出には、ラット肝を基質として蛍光抗体法を用い、さらに二重免疫抗散法に基づき、精製核抗原との反応性を確認した。なお、抗LPS抗体は酸素免疫測定法により、LPSのエンドトキシンはリムルスを基質に用いて測定した。(3)結 果1)抗LPSモノクロナール抗体(RSO1)の抗核抗体活性 LPS免疫マウスより得た140ウエルのハイブリドーマのうち、抗LPS抗体活性をもち、びまん型の強い抗核抗体活性を有するハイブリドーマRSO1株を確立した。本抗体は1gM Kappaで、その抗核抗体活性はDNA-ヒストンにより完全に吸収された。さらに核材の塩酸処理およびヒストン再添加後の反応および二重免疫拡散法によるDNAーヒストンとの沈降線形成などの結果より抗DNA-ヒストン抗体活性を有することを確認した。またRSO1抗体は、in vitroでLE体形成能を有していた。2)RSO1の抗LPS抗体活性 RSO1と各種細菌由来のLPSとの反応性を検討した結果、Salmonella M.Re595株由来のLPSとのみ特異的に反応することが示された。3)RSO1のLPSと核抗原との交差反応性 RSO1をSalmonella M.Re株で吸収すると抗核抗体活性は消失した。またRSO1の抗LPS抗体活性は、DNA-ヒストンの添加により競合的に阻害され、RSO1が核成分であるDNA-ヒストンとLPSの両者に特異的抗体活性を有することが示された。(4)考 察 細菌固有のLPSを用いて免疫することにより、抗DNA-ヒストン抗体が産生されることを明らかにした。この成績は、抗核抗体のなかには外来性抗原によって生ずるものがあり、それが自己抗原と交差反応する可能性を示唆する。 抗DNA-ヒストン抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)に特異性の高い自己抗体であるので、SLEの発症に関与する一要因としてLPSの果たす役割に注目し、さらに追求する必要性が示された。Thesis--University of Tsukuba, D.M.S.(B), no. 346, 1986.11.3

    Similar works