Articleしがだい : 滋賀大学広報誌, 第11号, p. 3articl

宮本, 憲一

Japanese

Shiga University Repository

し が だ い　（３）　日本の国立大学は歴史上かつてない変革の時期を迎えています。国立大学の法人化と統合再編による研究・教育の水準の向上が進められているからです。滋賀大学もこの時期に大きな飛躍を迎えようとしています。　滋賀大学は大都市圏にあって都市型の大学としての研究・教育の水準の高さと琵琶湖を中心とした地方農村型の生活環境の佳さとを兼ね備えた特徴を持っています。これは欧米の大学に負けない、優れた教育環境と言ってよいでしょう。　滋賀大学は滋賀師範と彦根高商という戦前の伝統を受け継いで、その先輩は財界や教育界で多くの有為な仕事をしています。この先輩の実績もあって、就職などの社会的な活動は有利に展開してきたと言えます。　しかし、今、日本社会は戦後の政治経済システムが行き詰まり、グローバリゼーションの中で混迷の中にあります。諸君達の前途も、決して、泰平無事と言えない状況です。諸君達は国内だけでなく国際的に、同じ世代間の激烈な競争の中に巻き込まれていくと思います。こういう時期には、まず健康で強靭な体力と、どのような状況の下でも自立し得る生命力が求められます。　新入生諸君にまず望みたいことは、国際的に通用する基礎学力と教養を身につけるということです。本学では英語を中心にした語学教育と情報教育には力を入れています。是非、国際的に活動し得る最低限の語学力と情報処理能力を身につけて下さい。　大学生活の面白さは自由であり、自らの興味や能力に応じて、多様な専門研究を選ぶことができることです。高校のように受験勉強という単一の形態で学習することとは全く違います。それだけに目標は自分で決めて自発的に学習しなければ、何も得るところがないでしょう。　私は大阪市立大学や立命館大学時代にゼミの学生を連れて、韓国の大学と交換ゼミを行ってきました。韓国の学生は徴兵制の為に、学業の途中で兵役に就きます。このこともあって、学業に対する熱意は極めて高く、始業前の午前七時頃には図書館の前に行列が作られる程です。就職試験も英語又は日本語などの外国語の会話が必ずあるので、日本の学生よりも語学力があります。　諸君達はこれまで日本の高度成長の恩恵で苦労なく育ってきましたが、韓国の学生のような生命力のあるアジアの学生と共生していかねばなりません。自らの思想そして自らの意見を持っていなければ、急成長していくアジアの中で生きていくことは難しいでしょう。　厳しい社会状況の中で、大学も研究・教育条件の向上を目指し変っていきますが、諸君達も先輩を乗り越えて、国際的に通用する新しい大学生像を作り出して下さることを希望します。	  宮 本　憲 一（経済学博士）【経歴】名古屋大学経済学部（旧制）卒業、金沢大学法文学部助手〜助教授、大阪市立大学商学部助教授〜教授、同大学名誉教授、立命館大学政策科学部教授。平成十三年七月から滋賀大学学長。 

新入生歓迎特集 : これが滋賀大だ 「 これが滋賀大学 : 新入生諸君へ」

https://shiga-u.repo.nii.ac.jp/record/11900/files/学長.pdf

新入生歓迎特集 : これが滋賀大だ「これが滋賀大学 : 新入生諸君へ」

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Shiga University Repository

新入生歓迎特集 : これが滋賀大だ 「 これが滋賀大学 : 新入生諸君へ」

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Shiga University Repository

新入生歓迎特集 : これが滋賀大だ「これが滋賀大学 : 新入生諸君へ」