京都大学0048新制・課程博士博士(工学)甲第19685号工博第4140号新制||工||1639(附属図書館)32721京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻(主査)教授 小森 悟, 教授 中部 主敬, 教授 稲室 隆二学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDFA

Kitano, Tomoaki

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TitleNumerical Study on Droplet Evaporation and CombustionInstability( Abstract_要旨 )Author(s)Kitano, TomoakiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2016-03-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k19685Right学位規則第9条第2項により要約公開; 許諾条件により本文は2016-09-05に公開Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（ 工学 ） 氏名 北野 智朗 論文題目  Numerical Study on Droplet Evaporation and Combustion Instability （数値解析による液滴蒸発および燃焼振動に関する研究） （論文内容の要旨）  本論文は，噴霧燃焼中の燃料液滴の蒸発および燃焼振動に関する研究の結果をまとめたものであり５章からなっている．  第１章は序論であり，本研究の背景および既往研究との関連性について概観し，本研究の目的と重要性について述べている．  第２章では静止流体中の燃料液滴群の蒸発・燃焼現象に直接数値計算（DNS）を適用し，雰囲気圧力，初期雰囲気温度などの条件の違いが，燃料液滴群の蒸発・燃焼現象に及ぼす影響について検討を行っている．さらに，単一の成分から構成される燃料だけでなく，実際の燃焼器に用いられる多数の成分を含む燃料についても言及している．燃料には，単一成分燃料および多成分燃料として，それぞれデカンおよび航空機用燃料の一種であり多数の化学種から構成される Jet-A の模擬燃料を使用している．燃焼モデルには，単一成分燃料および多成分燃料に対して，それぞれ一段総括反応モデルおよび詳細反応モデルを使用している． DNS の結果，燃料液滴群の蒸発完了までの時間（液滴寿命）は，燃焼の有無によらず，雰囲気圧力の増加に伴い，初期雰囲気温度の低い場合には増加し，初期雰囲気温度の高い場合には減少することを明らかにしている．また，燃焼を伴う場合の液滴寿命は，燃焼に起因する雰囲気温度の上昇により燃焼を伴わない場合と比べて減少し，その減少傾向は特定の燃料投入量および雰囲気圧力において顕著になることを明らかにしている． また， Jet-A を，3 成分（n-dodecane, iso-octane, toluene），2 成分（n-decane, 1,2,4-trimethyl-benzene）および 1 成分（n-decane）の燃料で模擬する場合，3 成分燃料の蒸発速度は，2 成分および 1 成分燃料の蒸発速度に比べ蒸発初期で速く，その後遅くなることを明らかにしている．また，これは 2 成分燃料および 1 成分燃料に含まれる n-decane および  1,2,4-trimethyl-benzene に比べ， 3 成分燃料に含まれるiso-octane および toluene の揮発性が高く，n-dodecane の揮発性が低いことに起因することを明らかにしている．さらに，各燃料間の燃焼による温度上昇の違いは着火直後で顕著であり，その後時間の経過に伴い小さくなることを明らかにしている．  第３章では，バックステップ燃焼器におけるガス燃焼および噴霧燃焼に Large-Eddy Simulation （ LES）を適用し，燃焼振動の発生メカニズムについて検討を行い，さらに，初期の燃料液滴径の違いが燃焼振動特性に及ぼす影響についても調査を行っている．燃料には，ガス燃焼および噴霧燃焼に，それぞれメタンおよび Jet-A の模擬燃料を使用している．燃焼モデルには二段総括反応モデルを使用し，乱流モデルおよび乱流燃焼モデルには，それぞれ，Dynamic Smagorinsky モデルおよび Dynamic Thickened Flame モデルを使用している． LES の結果，ガス燃焼において，既往実験と同様の周波数をもつ圧力変動，流速変動および熱発生率の変動を伴う燃焼器内の燃焼振動を再現することに成功しており，LESにより燃焼振動を精度良く再現可能であることを示している．また，この燃焼振動は，京都大学 博士（ 工学 ） 氏名 北野 智朗 流速の変動により形成される渦が燃焼器入口のステップ後部に存在する瞬間において最も強く駆動されることを明らかにしている． また，噴霧燃焼における燃焼振動では，ガス燃焼の場合と同様の圧力変動，流速変動および熱発生率の変動に加え，燃料液滴の蒸発速度も変動することを明らかにしている．また，噴霧燃焼振動はガス燃焼振動と同様のメカニズムで発生するが，その強度は初期の燃料液滴径の違いにより変化し，特定の燃料液滴径において最大となることを明らかにしている．さらに，その燃焼振動強度の変化は，平均液滴径の違いにより変化する蒸発率がステップ後部における熱発生率に影響を及ぼすために生じることを明らかにしている． 第４章では，燃焼振動に起因して発生する火炎の逆流現象（フラッシュバック）について調べるため，チャネル乱流中のガス燃焼に DNS を適用し，燃焼振動を模擬した圧力変動を与えることにより，燃焼振動がフラッシュバックに及ぼす影響について検討を行っている．燃料には水素を使用し，燃焼モデルには詳細反応モデルを使用している． DNS の結果，燃焼振動を想定した圧力変動をチャネル下流部から与えることにより，フラッシュバックの瞬間速度および瞬間壁面熱流束が大きく変動することを明らかにしている．さらに，この圧力変動によるフラッシュバックの瞬間速度の変動は，フラッシュバックの加速時により顕著になるため，フラッシュバックの平均速度が増加すること，つまり，フラッシュバックの危険性が増すことを明らかにしている． 第５章は結論であり，本研究で得られた結果を要約するとともに，今後の研究課題についても言及している．                     氏 名 北野 智朗 （論文審査の結果の要旨）  本論文は，噴霧燃焼中の燃料液滴の蒸発・燃焼振動特性および火炎逆流現象に及ぼす燃焼振動の影響に関する研究の結果をまとめたものであり，得られた主な成果は以下の通りである．  1. 静止流体中における燃料液滴群の蒸発完了までの時間（液滴寿命）は，燃焼の有無によらず，雰囲気圧力の増加に伴い，初期雰囲気温度の低い場合には増加し，初期雰囲気温度の高い場合には減少することを明らかにした．また，燃焼を伴う場合の液滴寿命は，燃焼に起因する雰囲気温度の上昇により，燃焼を伴わない場合と比べて減少し，その減少傾向は特定の燃料投入量および雰囲気圧力において顕著になることを明らかにした． 2. バックステップをもつ噴霧燃焼器内に生じる，圧力変動，流速変動，熱発生率および燃料液滴の蒸発率の変動を伴う燃焼振動現象を数値的に再現した．また，その燃焼振動は，流速の変動により生成される渦がステップ後部に存在する瞬間において最も強く駆動されることを明らかにした．さらに，燃焼振動の強度が初期の平均液滴径の違いにより変化し，特定の平均液滴径において最大となること，および，その燃焼振動強度の変化は，平均液滴径の違いに伴って変化する蒸発率がステップ後部における熱発生率に影響を及ぼすために生じることを明らかにした． 3. 燃焼振動に伴う圧力変動が，壁面近傍における火炎の逆流（フラッシュバック）の瞬間速度や瞬間壁面熱流束に大きな影響を及ぼすことを明らかにした．また，この圧力変動によりフラッシュバックの平均速度が増加すること，つまり，燃焼振動によりフラッシュバックの危険性が増すことを明らかにした．  以上，本論文は，噴霧燃焼中の燃料液滴の蒸発・燃焼振動特性および燃焼振動が火炎の逆流現象に及ぼす影響について明らかにしたものであり，学術上，実際上寄与するところが少なくない．よって，本論文は博士（工学）の学位論文として価値あるものと認める．また，平成２８年１月２１日，論文内容とそれに関連した事項について試問を行って，申請者が博士後期課程学位取得基準を満たしていることを確認し，合格と認めた． なお，本論文は，京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し，公表に際しては，当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める．     

数値解析による液滴蒸発および燃焼振動に関する研究

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/215511/1/ykogk04140.pdf

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