京都大学0048新制・課程博士博士(工学)甲第18296号工博第3888号新制||工||1596(附属図書館)31154京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻(主査)教授 澤本 光男, 教授 中條 善樹, 教授 赤木 和夫学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDGA

Hibi, Yusuke

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Title Sequence Regulation in Radical Polymerization via TemplateMechanism( Digest_要約 )Author(s)Hibi, YusukeCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2014-03-24URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k18296Right学位規則第9条第2項により要約公開Type Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University 京都大学 博士（ 工  学） 氏名 日比 裕理 論文題目 Sequence Regulation in Radical Polymerization via Template Mechanism (テンプレート機構による配列制御ラジカル重合)  （論文内容の要旨） DNA やタンパク質などの生体高分子は、構成単位となるモノマーの配列（シークエンス）が完全に制御されており、その配列に基づく機能を発現している。一方、合成高分子では、分子量、末端基、立体構造の制御は可能になりつつあるが、配列を制御する手法は見出されておらず、配列に基づく機能も知られていない。本論文は、生体高分子の配列がテンプレート（鋳型）機構により制御されていることに着目し、代表的な高分子合成法であるラジカル重合にテンプレート機構を導入することで配列制御重合を検討した結果を、3 編 5 章にまとめたものである。  緒論では、生体高分子における制御配列がもたらす高分子効果・機能について概説した後、セントラルドグマのタンパク質翻訳過程に見られる、配列制御の機構や特徴を考察することで、配列制御における鋳型機構の重要性を論じている。また、高分子合成化学における従来の配列制御への取り組みについても広く考察し、配列制御を達成する上で解決すべき本質的問題点が (i)「成長末端の基質非選択性に起因する生長順序のランダム性」、 (ii)「ラジカル反応の連鎖性に起因する、成長末端へのモノマー一分子付加の非制御性」、の二点であることを明らかとした。これにより本論文の目的、指針を明確にした上で、本論文の構成、概要について述べている。  第 1 編(第 1 章―第 2 章)では、鋳型分子上に異種複数個のラジカル重合性ビニルモノマーを、切断性結合 (リンカー )を介して特定配列で導入した「テンプレートモノマー」という新しい概念を提唱している。鋳型分子上でビニルモノマー同士の空間的位置関係を精密に制御し、生長順序を規制することで、鋳型による配列制御の可能性について検討している。また、重合後、リンカー切断により、容易に生成ポリマーからテンプレートが除去できる設計がなされている。これにより、上記の問題点 (i)「生長順序のランダム性」を解消し、繰り返し配列の制御に成功した。  第 1 章では、剛直な鋳型としてナフタレンに着目し、この 1,8-位に二種類のモノマー (A: メタクリレート;  B: アクリレート) を、切断可能なエステル結合を介して導入している。鋳型単位の設計に加えて、重合系を設計することでモノマー分子間の架橋反応を抑制し、選択的な連続環化生長(A→B)を制御した。さらに、得られた高分子のエステル結合を加水分解してテンプレート部位を除去し、狙いの AB 交互配列が制御されていることを確認している。 第 2 章では、機能性官能基のより複雑な配列への制御を目指し、金属錯体を利用したテンプレートを設計している。パラジウム錯体テンプレート上に 4-アミノメチルスチレン (A)と 4-ビニルピリジン (B)を ABA 配列で導入し、テンプレート上での生長順序を制御することで、選択的ダブル環化生長 (A→B→A)に成功している。また、重合後に金属配位部を切断してテンプレートを除去し、狙いの ABA 配列の制御を 13C NMR 測定により確認している。  氏 名 日比 裕理 第 2 編 (第 3 章 )では、アミノ酸の側鎖にリンカーを介して、ラジカル重合開始点とビニルモノマーを配置した分子を設計・合成し、新たな配列制御法を提案している。すなわち、この分子のアミノ酸を逐次的にペプチド化  (重合 ) することで、開始剤とモノマーをペプチド鋳型上に配列し、この配列を反映した連鎖生長反応を進行させて、配列を制御できることを検討している。その初歩的検討として、開始剤とモノマーを有すジプチドを合成し、ラジカル環化付加反応を行うことで、このコンセプトの妥当性を実証している。ペプチド鋳型上でラジカル反応することで、オリゴマー化をほとんど伴わない選択的なラジカル付加反応が進行し、このような反応は鋳型が無いと制御できないことから、鋳型によって一分子ラジカル反応を制御できることを明らかにしている。この検討は、 (i)「成長末端の基質非選択性に起因する生長順序のランダム性」を制御するためになされたものだが、結果として、(ii)「ラジカル反応の連鎖性に起因する、成長末端へのモノマー一分子付加の非制御性」の解決に対する指針を示した。  第 3 編(第 4 章―第 5 章)では、上記の  (ii)「ラジカル連鎖性に由来する一分子付加の非制御性」の解決に向け、一分子付加を効率的に連続制御するための設計を検討し、配列制御を目指している。まず、鋳型上にラジカル開始剤とモノマーを一分子ずつ導入し、希釈条件下で、分子内ラジカル環化反応を選択的に行うことで、オリゴマー化を抑制した一分子付加反応を制御し、さらにこのラジカル環化反応を連続的に繰り返すために、生じる環状構造を一度破壊し（開環）、モノマー再導入を経て、初期と同様の開環構造を再度形成する分子設計を検討した。  第 4 章では、相補的水素結合および二種一組の直交性切断基を鋳型に組み込み、これによる環状構造の開閉制御が可能な鋳型設計を行い、一分子付加の制御の可能性を示した。  第 5 章では、4 章の切断基の直交性に非対称性（異なる切断反応の導入）を加えた分子設計を行い、生長末端に沿ってリンカーが二足歩行しながら、付加とモノマーの選択導入を繰り返して、分子内の一分子付加を制御しうる鋳型分子を実現している。   

テンプレート機構による配列制御ラジカル重合

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