Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University
Abstract
当研究では，バングラデシュ沿岸部において行われている，飲料水汚染の低減を目的とした雨水貯水タンクの導入にあたって，各種の情報源がもつ役割を明らかにすることを試みる。雨水貯水タンクを導入した住民は，マスメディアよりもむしろ個人間の口頭でのコミュニケーションによって，タンクのことを知るようになっていった。個人間の情報ネットワークは大きく二つに分けられる。口頭でのコミュニケーションと観察である。タンクを導入した住民は，タンク導入におけるリスクを軽減するため，さまざまな情報源からタンク導入に関する情報を聞くことを好む。しかし，彼らは限られた観察を通して，タンクに大きな信頼を寄せるようになる。情報は，空間的および社会的に閉じた集団の中で，口頭でのコミュニケーションによって広範囲に伝わっていったが，観察というでは，集団相互間でも伝達されていった。タンクの導入具合は，口頭でのコミュニケーションがあまり密に行われていない地区では，一様ではなかったが，卓越した社会的ネットワークを形成している地区では安定していた。観察はネットワークを発生させた一方，タンクの導入の進展具合には影響を与えなかった。Our study attempts to find out the role of various information sources in the implementation of the rainwater harvesting tanks to reduce water pollution risks in the coastal Bangladesh. An extensive field survey has shown that adopters of the tanks mostly have come to know the tank by interpersonal sources rather than mass media. By mapping interpersonal information networks into two elements – hearing and observation, we found adopters preferred to hear about the innovation from various sources to reduce the adoption risks, but they become quite certain about the tank through observing a limited number of tanks. Information broadly passed through mouth to mouth within a closed spatial and social group, but for observation, it crossed the group boundaries.当研究では，バングラデシュ沿岸部において行われている，飲料水汚染の低減を目的とした雨水貯水タンクの導入にあたって，各種の情報源がもつ役割を明らかにすることを試みる。雨水貯水タンクを導入した住民は，マスメディアよりもむしろ個人間の口頭でのコミュニケーションによって，タンクのことを知るようになっていった。個人間の情報ネットワークは大きく二つに分けられる。口頭でのコミュニケーションと観察である。タンクを導入した住民は，タンク導入におけるリスクを軽減するため，さまざまな情報源からタンク導入に関する情報を聞くことを好む。しかし，彼らは限られた観察を通して，タンクに大きな信頼を寄せるようになる。情報は，空間的および社会的に閉じた集団の中で，口頭でのコミュニケーションによって広範囲に伝わっていったが，観察というでは，集団相互間でも伝達されていった。タンクの導入具合は，口頭でのコミュニケーションがあまり密に行われていない地区では，一様ではなかったが，卓越した社会的ネットワークを形成している地区では安定していた。観察はネットワークを発生させた一方，タンクの導入の進展具合には影響を与えなかった。Our study attempts to find out the role of various information sources in the implementation of the rainwater harvesting tanks to reduce water pollution risks in the coastal Bangladesh. An extensive field survey has shown that adopters of the tanks mostly have come to know the tank by interpersonal sources rather than mass media. By mapping interpersonal information networks into two elements – hearing and observation, we found adopters preferred to hear about the innovation from various sources to reduce the adoption risks, but they become quite certain about the tank through observing a limited number of tanks. Information broadly passed through mouth to mouth within a closed spatial and social group, but for observation, it crossed the group boundaries
