宮崎大学博士（獣医学）2019年度doctoral thesi

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Yamamoto, Shushi

ヤマモト, シュウシ

山本

山本, 集士

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University of Miyazaki Academic Repository

別紙様式第４ 学  位  論  文  要  旨 博士課程 甲・乙 第   号 氏 名 山本 集士 [論文題名] Usefulness of Urinary Creatinine/Urea Nitrogen Ratio as Indicator of Body Protein Catabolism in Dogs Fed Low Protein Diets  犬の低蛋白食給与時における体蛋白異化の指標としての尿中クレアチニン/尿素窒素比の有用性の検討  Frontiers in Veterinary Science, accepted, 12ページ, DOI: 10.3389/fvets.2019.00449  [要   旨] 緒言 犬の慢性腎臓病や肝硬変では、食事による蛋白負荷で病態を悪化させることがある。そのため、蛋白質量を制限する食事療法が一般的に用いられ、有効性についても数多く報告されてきた。その一方で、長期的な低蛋白食給与により、体蛋白異化、特に筋肉量の減少が生じる可能性が以前より懸念されてきた。しかしながら、獣医療においては簡便に適用できる異化指標が存在しないため、その有害事象はほとんど認識されていない。そこで今回我々は、尿中の蛋白代謝産物である尿素窒素（UN）とクレアチニン（Crn）に着目した。 UN の生成・排泄量は蛋白摂取量や異化亢進の程度により増減するといわれている。一方、Crn の合成および尿中排泄は、食事や外的因子の影響を受けず恒常的とされてきた。しかし我々は、 Crn が体蛋白の中心である骨格筋に主にプールされていることから、UN と同様に、Crn の排泄量も蛋白摂取量や体蛋白異化の影響を受けて変動する可能性があると考えた。そこで本研究では、まず尿中排泄 UN (UUN), Crn (UCrn)が①食事中蛋白質量により変化するのか、次に②低蛋白食の継続給餌により変化がみられるか調べ、それら 2 つを用いて、犬の低蛋白食給餌時における体蛋白異化を評価できるか検討した。 材料と方法 実験 1 では、健常犬 7 頭に対して、低蛋白食（LP）、標準蛋白食（SP）、高蛋白食（HP）をそれぞれ 1 週間給餌した後、食前から食後 16 時間の UCrn, UUN を 2 時間間隔で測定した。UCrn と UUN の関係性を元に、尿中クレアチニン/尿素窒素比（UCrn/UN）の算出も行った。実験 2 では、健常犬 5 頭に LP を 18 週間継続給餌して、同様に UCrn, UUN, UCrn/UN を調べた。合わせて体組成の変化を CT 検査で評価した。また、食前の血漿アミノ酸濃度（AA）も分析した。 結果と考察 実験 1 において、UUN は食事間で差がみられなかった。今回給餌した食事の蛋白質量の差では、UN 排泄に影響を及ぼさなかったのかもしれない。対して、UCrn は食事中蛋白質レベルに反して LP で食前後ともに高値傾向となり、これまでの報告とは異なる結果であった。さらに、CP と HP で差がみられなかったことから、この UCrn の変化は蛋白不足による異化作用が大きく影響したと考えられた。UUN に比べ UCrn の方が、LP に対して鋭敏な変動を示したことは重要である。その関係性に注目して、UCrn/UN で比較したところ、食前後の全時点で LP が CP, HP と比べ有意に高値を示した（P<0.01）。この結果から、食前後関係なく随時尿の UCrn/UN を用いることで、低蛋白食給餌時の蛋白不足を評価できる可能性が示された。次に実験 2 では、LP 長期給餌による影響を調べた。すると、CT 検査において 10 週時点で筋肉量が有意に減少していたことから、犬でも LP 継続によって負の蛋白質バランスとなり筋肉の分解が生じたことが示唆された。また、継続期間で AA に有意な差がみられなかったことからも、食事のアミノ酸供給不足に対して筋蛋白分解が起こり、内因性のアミノ酸が血中に動員されたと考えられた。これらの結果は体蛋白異化がおきていることを表していたため、UCrn, UCrn/UN も経時的に上昇することが予想された。しかし UCrn の変化はみられず、UCrn 単独で蛋白異化を評価するのは不可能であった。一方、UCrn/UN は、筋肉量が減少していた 10, 18 週に 0 週（LP 開始時）と比較して食前で高値となった（P<0.05）。食後の UCrn/UN は、期間での差がみられなくなる傾向であったため、LP でも食後は異化抑制されるような代謝適応が生じていたと考えられた。したがって、食前の UCrn/UN であれば、LP の継続給餌における体蛋白異化の指標となりうることが示された。ただし、4 週目では食前でも UCrn/UN の上昇がみられなかったため、評価可能な時期に関しては今回の条件だけでは結論づけられない。 これまでにも LP のリスクは論じられてきたが、獣医領域でそれを証明するような報告は乏しかった。実験 1, 2 の結果から、健常犬においても LP の継続により体蛋白異化が生じることが今回示された。そして、給餌 1 週間後の UCrn/UN を指標とすることで、筋肉分解を起こす LP かどうか事前に評価することが可能となり、その予防に繋がると考えられた。本研究の限界は、実際に低蛋白食療法を用いる疾患犬でUCrn/UN が適用できるか不明な点である。そのため、症例を対象とした臨床研究が今後必要である。 結論 今回の検討結果から、食前の UCrn/UN は、LP 給餌時の体蛋白異化の指標として有用であることが示唆された。さらに、LP の導入 1 週間後に UCrn/UN を調べることで、筋肉量が減少する前に蛋白異化の評価をすることができると考えられた。 備考 論文要旨は、和文にあっては 2，000 字程度、英文にあっては 1，200 語程度 

犬の低蛋白食給与時における体蛋白異化の指標としての尿中クレアチニン/尿素窒素比の有用性の検討

https://miyazaki-u.repo.nii.ac.jp/record/2000145/files/%E5%AD%A6%E4%BD%8D%E8%AB%96%E6%96%87%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf

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