1863

2068

小山, 廣和

江島, 晶子

Japanese

Meiji Repository (Meiji University)

吉田先生のこと言語: Japanese出版者: 明治大学法律研究所公開日: 2009-02-10キーワード (Ja): キーワード (En): 作成者: 小山, 廣和, 江島, 晶子メールアドレス: 所属: メタデータhttp://hdl.handle.net/10291/1385URL吉田先生のこと小山廣和江島晶子吉田善明先生は、、二〇〇六年一二月二二日に古稀の嘉齢を迎えられ、本年三月末日をもって明治大学を定年退職されることとなった。先生は現在もますます精力的に研究・教育活動を展開されており、心からお慶び申しあげたい。先生は、一九三⊥ハ年に北海道室蘭市でお生まれになり、その後、明治大学法学部に進まれた。一九五九年に明治大学法学部を卒業されるときに、学部ゼミの指導教授であった山田準次郎先生に、ジャーナリスト(新聞記者)になろうか、大学院に進み公法の研究をすべきか相談され、後者を選ばれた。明治大学大学院法学研究科では憲法を専攻し、安澤喜一郎先生、和田英夫先生の指導を受けておられる。一九六一年に明治大学法学部助手に奉職され、同専任講師、同専任助教授を経て、一九七六年に教授に昇格された。この間、法学部長をはじめ、明治大学の数多の要職を歴任されると同時に、明治大学評議員、常勤理事(学務理事)としても尽力されてきた。一九⊥ハ一年以来、四六年間にもわたって明治大学の研究教育のために渾身の力を注がれてきた先生のお姿にはまさに畏敬の念を禁じえない。学外におかれても、学会や社会のために多様な活躍をされている。学会においては、日本公法学会、全国憲法研究63会、日本財政法学会、日本選挙学会等、数多の学会運営に運営委員、理事として積極的に活動されてきたのはもとよ4り、全国憲法研究会代表、日本地方自治学会理事長、日本財政法学会理事長(現在)として、それぞれの学会を文字4通り支えられてきた。一方、大学基準協会判定委員会専門委員.幹事、学術審議会専門委員、大学評価・学位授与機　4構.大学評価専門委員など、日本の大学全体の発展にも尽力されている。他方で、司法試験考査委員を長年お務めになられ、東京第二弁護士会懲戒委員会委員など、法曹界の発展にも貢献されてきた。さらに、先生はご専門のテーマの一つである地方自治について、学術的研究だけではなく、東京都、武蔵野市、中野区、目里…区等において、武蔵野市教育委員会委員長、東京都目黒区公文書公開・個人情報保護審査会副会長をはじめとする数多の要職につかれて理論の実践にも尽くされてこられた。一叢研究の面では、別掲の業績目録が示すごとく、憲法の主要な問題について築かれてこられた膨大な業績は、内容の論豊かさ、提示される視点の鋭さと独創性、問題点の摘出の的確さ、その根底にある歴史的洞察の深さ、理論と実践の架橋と、いずれの点でも他の追随を許さないものである。なかでもとくに力を入れておられるのは、国会、選挙、財律政、地方自治、そして平和の研究、比較法的にはイギリスの憲法研究である。ことに、選挙・代表制の研究は、先生↓の学位論文である、イギリスを基軸にした『代表民主制の法理論的・実証的研究』につらなるものである。そこでは、歴史的洞察、比較憲法的洞察に全面的に裏打ちされて、代表民主制に関する究としては、理論研究としても実証研究としても、比類なきものとなっている。こうした蓄積が、国会、選挙、財政、地方自治、平和の研究、いずれのテーマにおいても、先生の学説の独創性と説得力を生み出すことにつながっている。さらに、先生がイギリス憲法を基軸として展開してきた比較憲法学は、憲法学の体系書と比すると、単著としては数が限定される比較憲法学の体系書において、独創的な存在を占めている(『現代比較憲法論(改訂版ご)。実態を無視した表面的比較や、表層飼類似性に引きずられた結論へと至る危険を回避することは並大抵ではない。先生の比較憲法学は、体系性を意図しつつ、「比較憲法の方法論」、「類型論」を基礎として、機能的、歴史的観点から「諸外国憲法の分析」を行うもので、非常に魅力あるものである。また、はやくからアジア憲法に関する研究の重要性にも目配りされてきた。かくいう筆者も先生の「比較憲法」の授業によって、憲法学の懐の深さと魅力に取り付かれたといっても過言ではない。他方、歴史や比較法を基礎にしながら、先生は、早い時期から、憲法時評、評論の世界で論文を発表されてこられた。次々と起こる憲法上の諸問題について法律専門誌等を通じて発表しつづけ、今日に至っておられる。業績目録をたどひていくと、その年に何が憲法問題として議論されたσかが見えてくるほどである。また、先生は法社会学の観一書…から、現実の社会における法現象を社会学的に究明しようと、早い時期から様々な問題について実態調査を行ってとこられた。筆者も、明治大学社会科学研究所総合研究「政治資金と法制度」に加えていただき、沖縄、名古屋、独仏この英米と実態調査に出かけた際に、先生の好奇心(情報収集力)と分析力に感嘆した記憶がある。生以上、舌足らずながらも先生の憲法学の多様な局面を紹介させていただいたが、それらを先生の憲法学の理論体系跣・して見事に結実・せてい・のが、『呆国憲法論(第三版)』であ・。歴史・比較の視点に裏打ち・れた、先生の理吉論体系は、解釈学としても、理論研究としても、実証研究としても白眉の体系書となっている。そこに通底するのは、一「在野」'「私学」からの批判精神で萱「人」を根本に塑る姿勢である・とき三伝統Lと対峙・厳・い緊張関係をはらみつつも、現実の社会の中での均衡をとろうとする「コモン・センス」の存在を感じさせるものである。教育の面では、明治大学はもとより、多くの国立・私立大学でも教壇に立たれ、多様な人材の育成に尽くされてこられた。卒業後も、「明善会」として年に一回、吉田ゼミ卒業生が集うのは、先生のお人柄ゆえである。先生の周りには65自然に人々が集まり、笑いが起こる。にぎやかな雰囲気に包まれる。だが、それは先生の「ひとなつつこさ」だけか4らくるものではない。先生の凛とした信念、気概に引かれるのである。研究者である前に、人間としての作法を守らなければならない、というのが先生の固い信念であった。それは良き法律家になるには、良き常識をわきまえた隣人64になることが不可欠だという考え方が先生の根底にあったからであろう。人間として守るべき掟をきちんと守ることを折りに触れ、私たちに諭してくださった。いわく、約束した時間の五分前には席についていなければならない。原稿の締切は守らなければなら.ない:・。豪放蕊落なお人柄でいて、細やかな心配りやゆるがないけじめをすっと先生自らの行動によって自然に示される。そのたびに、はっと気付かされるのである。明治大学大学院のゼミを出発点として、毎月一回開催されてきた「東京憲法理論研究会」は、現在、三月の例会で「第天・回を整ようとしている。先生は自由と蔓性を極めて重んじられる。・の研究会で墾口する.・とは、非常叢に緊張することであるが、先生は鋭い質問を投げかけてくださると同時に、どのような報告であろうとそこに何か光論るものがないかという目で見てくださる。挑戦してごらんなさい、あなたの個性を最大限伸ばしていきなさいという暖かな気持ちを感じるのである。吉田ゼミ門下生が、それぞれの個性を反映した様々なテーマに取り組んできたのも律その現れといえよう。法一以上・先生が立たれていらっしゃ三頂上」の景色はどの考なものであうつかと・馨らそれを見上げる者の眼で語らせていただいた。よって、はなはだ見当はずれなものであるかもしれず、不適切・不見当な点についてはご寛容をお願いしたい。吉田先生は、現在、法科大学院教授に専念し、院生を直接指導するかたわら、明治大学付属高等学校・中学校の校長先生として、校舎の西調布移転等の困難な問題に日夜、心を砕いている。先生は、古稀を迎えても、なお、多忙なのである。どうか今後とも、ますますお元気で過ごされ、私たちを頂上へといざなってくださるようお願い申しあげたい。

吉田先生のこと

https://meiji.repo.nii.ac.jp/record/1018/files/horitsuronso_79_4-5_463.pdf

吉田先生のこと

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Meiji Repository (Meiji University)