Article信州醫學雜誌 10(3-4): 234-238(1961)journal articl

早川,  善郎

沼田,  一

若月,  岩雄

野田,  金次郎

金箱,  房枝

青山,  幸次郎

Japanese

Shinshu University Institutional Repository

1961，7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　17－（234）昭和35年度科学試験研究費による「Rh判定用血清の国産（産量）への研究」報告（II）昭和36年7月7日受付　　　　　　信州大学医学部法医学教室野田金次郎　若月岩雄　金箱房枝沼田一　青山幸次郎東京標準血清株式会祉技術部長兼松本工場長早川善郎Studies on the Mass-production of Anti-Rh Anti-body of Animal OriginKinjiro Noda, Iwao Wakatsuki, Fusae Kanebako, Hajime Numata and Kojiro Aoyama　　　Department　of　Legal　Medicine，　Faculty　of　Medicine，　　　　　　　　　　　Sh三nshu　UniversityZenro Hayakawa　　　　Technical　Chief：Tlle　Tokyo　Standard　Serum　Co．，　　　　　　まえがき　　　　　　　　　　　　　　　　そこで我々は，現在本邦に於いて使用されている外第1報〔酬医誌。1・（・）、32－、e．、961，〕燃　来の撒瀧・出来る限り鋤鱒詠取撒ると共凱警菟撮欝血欝艦欝砦峯を㍊ξ欝騒麟開t・讐1’襲蕪に・つて従来叛られ。いた、り，極めて翻。鋤　を行う塑合に於ける秘嫌個麟慮して・2～3の嫉抗Rh。抗体臆生せしめ得藤擁認し汰量　点の検論行つた・（備燦際使騎鰍ける腿生戯の畿拓き，　E一その抗鞭厭際しての条件の　点のみであり遮齢畑繭学直勺な棚ではな噸を2～3につい破討しより働易い，綻馳轍　縮しておく・）　　　　，の途を進んでいる枷・つ、、て一鰯告した，・，引続　使肌た畑来抗D抗f｛“’は，A・S・Wlen叫ab’き，更にその他の点について糊・・ @　蟹蕊號鷲繍鴇欝（諜諜：　　　　　　実験方法其他について　　　　　　　　　　plete）agglutininであつた。その事情は表中で知ら　この点に関しては（1）報記載通りであり，且引用　　　れたい゜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　先づこれらの抗血漕を用いて，夫々手持血球4種に文献についても（D報を参照されたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　っいて先づ検してみた結果は第1表の如くであつた。　　　　　　実験成績並説明　　　　　　　　　　　　　　蝕で先づ使用血球の性状を示してみよう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ki　1血．球：Rh　incompatible　pregnancyでEry－　　1各種人由勅血清について　　　　　　　th，。b1。、t。、i，　f。，t。li，の子を産んだ　従来常用されている人由来の抗血蒲が如何なる性状　　　　　　　　母の血球であり，その人の血清中にはを示すものであるかという事は，本判定用ll皿清作製に　　　　　　　　incomplete　Anti－D　agglutininが認際し，如何なる性状を附与すべきかという事に重大な　　　　　　　　められた。勿論Wiener　Lab．及Ortho関係を有するのであるeこれは，Rh式のみならずす　　　　　　　　製のAnti－D　saline　agglutininで共にべての血液型判定用血清について言える事であるが、　　　　　　　陰性である。今後Rh式rtn液型判定が，高度に拡大された範囲に於　　　　Ha血球：Wiener　Lab，のAnti－D　saline　ag91u一いて実施される可能性を考えると，これらの点は，判　　　　　tininで（一），　Ortho．製のAnしi－D定のii呉り，型の誤認という重大な事態を来す外因たり　　　　　　　　saline　agglutininで（士），　Wiener，うるのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Lab・の、Anti－variant　D十＋即Du。18－（235）　　　　　　　　　　　　　　信州医誌第10巻第3号　　　　　第1表　各種抗血清を，分与を受けた際示された検査法（使用法と異なる）に則つ　　　　　　　　　　て検査した結果使用抗血清別KnickerbockerLabor鼓tories（incornplote）Blood　BankFoundation（incomplete）Blood　BankFoundationOrtho　Ph．　Corp．（incomplete）Ortho　Ph．　Corp．（complete）Hyland　Lab．‘incornplete）No．1801（incomplete）（東医歯大・法医）No．1790（incornplete）（東医歯大・法医）＿．S　氏　血　清＿＿（旦丞中央病陵・産科）＿　Y　氏　血　清　（日赤中央病院・産科）　T　氏　血　清t－－tt一開（貝歩虫曇病院三産昼D＿　　　　　A　氏　．血　清　　　　　（日赤中央病院・産科）、　　　　　　1：不検試験法1・〈・・　iH・　i・・室温15分，Slide　test室温，　Tube　test，即時遠’む370C　60分，Tube　test，遠心後室温15分，Slide　tess27°C5分，Slide　test37°C60分，Tube　test，遠心後27°C5分，Slide　test室温，Slide　test室温∫Slide　test370C　6Q分，Tube　test，遠心後十十十十十士十一　　　十37°C60分，　　　　　　　＿Tube　test，遠心後37°C60分，Tube　test，遠心後1　370C　60分，［Tube　test，遠心後十十十士十十十／十／／十十十　　　Ha・iT・十十十十t十十十ヱ　　1／1－　－　　1／／／十＿豊．一ト／／／／／／　丁血球：H血球同様な反応を呈しD・と判定され　　　　これでも判る様に，同一血球に対して・各種の抗血　　　　　　た。唯Ortho製抗一Dには．Ha血球より　　清が，必ずしも1司一の反応を示さない事がある事実が　　　　　　やS強い反応を示した。　　　　　　　　　判つたが，これはその血滑の製造方針に基く部分があ　S血球：Wiener　Lab．　AntiD　saline　ag91utinin　　る事は勿論である。　Wiener　Lab・製のものでは，そ　　　　　　（一），0・th・のA・ti－D・ali・・agglu一　のA・tmに対して陽｛生血球はRh・（＋）・（D）型　　　　　　tinin（＋）　　　　　　　　　　　　　　であり，それに対して陰性の血球は更にVariant血　H血球：Wiener　Lab．　Anti－D　saline　agglutinin　　清を用いて判定し，これに陽性であればDu型，陰性　　　　　　（一），0・th。　A・ti－D・ali・・　・ggl・ti・i・　であれぽRb・（一），（d）型と判定するものであり・　　　　　　（＋）　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ortho製のものは・反応陽性な血球は・Rho（＋）・つまり，ki血球は問題なくRh。（一），（d）型血球　（D）型反応陰性な血球に対しては・同製不完全抗体であり，H・血球，　T血球は，0・th・の抗一Dでは極　で検査して・陽性を暴したものはDu型，陰性を呈しめて弱い陽性を示し，Wiener　Lab．血清でDuと　　た血球は皐ho（一），（d）型と判定する様に作られ判定されたものであり，S血球，　H」血球はWiener　　ている。Lab，血漕では陰性を示した（抗一Variantでは検査し　　　所が，本邦に於いてRh式血液型を判定している所えなかつた。）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　の様子を問合せてみると，自巳作製人由来抗血清又1961，　7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　19－（236）は，外国よりの不完全抗体を用いている向が多いと考　　　そこで、Hyland　Lab．，　B1。。d　Bank　F・undation，えられる様子を知つたので，前記の血球を用いて央々　　　Ortho　Ph，　Corp．のincompleteを用いて使用書にの抗血清に対する反応を検討してみた、その状況を第　　　則つた方法を中心に検討した所第2表の如き結果をえユ蓑に示してある。この場合，試験法欄に記載した通　　　た。使用書では，圏何れ，も反応時間2分と限っているりの方法で検査したのであるが，これは，本邦でその　　　が，本実験の結果をみると，先づ2分での反応では，抗血清を使用して居られる方々の常用している方法に　　Ha血球は，　Ortho．血清に極めて弱く反応（士）する則つたものであり，各抗血清製造元指定の方法とは多　　　のみであり，T．血球は，　BIQod　Bank血清にのみ陰少異つた点がみられる。（後述）　　　　　　　　　　　性を示し，S・血球は全例陰性，　H．1血球は全例に極め　この結果をみると，外来の一血清ではincompleteの　　　て弱い反応（±）を示しているが，対照として用いた抗体は同様の結果を示し，Ki，血球に対してのみ陰性　　　被凝集性の強い明かなD型である0．血球では，全例であつたが，completeの抗体（Ortho，製）では，　　　で著明な凝集が発現している。以下3分，5分とたつKi．血球は勿論陰性であったが，　H血球では士，　Ha．　　にっれ反応が増強されつx陽性化の例も増加し，　jo分及丁・血球では全く陰性とは言いがたいザラッギを示　　　に至れば，強弱の差こそあれ全例の組合せに於いて陽していた。参考の為使用した本邦での血滴は夫々Ki．　　性反応を示す事が確認された。血球にはすべて陰性を示し，H，血球には陽性を示し　　　こxに用いた抗血清は，言わぽScreening用としたが，S．，　Ha・，　T．，1血球には種々な態度を示してい　　　て使用すべきrapid　test用のものであり，これで予た。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　検して後，Saline　agglutininによつて本格的検査iを第2表　　　　　Slide　Testにょる時聞と凝集の状態血球別観察時　A間分　）　　　　2　　　　3Ha．　　　　5　　　　10T．S．H．0．23510235102351023510使用抗血清別並使用書抄Hyland　Lab．（incomplete）30秒以内に発現し，2分で完了する　十十十十十十　　　十　　　十　　　十十．　　十十十↓　十十十↓　士　十　十十十十十十十十十十十十十十十十十十十　BIQod　Bank　Foundation．　（incompleLe）30秒以内に発現する。2分以上見ない様十十十十士十士⊥十十十　十十　十十十十⊥十十十⊥Ortho　Ph，　Corp．（inComplete）2分以内でみよ　士十十十十十　制一十十十十十十十山　十十十十　十　十十十十十備考：（i）抗血渚は充分に有効期間内のものである　　　（ii）血球は検査前時間以内に採血したものである　十十十十十十十十十十十↓20－（237）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信州．医誌　第10巻　第3号実施するという手順をふむべぎものであるから，この　　　第3裏纏灘麟鷲雛謙讐繍繍［墾塑」・国！5．一題なくR、t，｝（．），（、）蜘球であ。、1，・・型或は　…h・・　　　1一士↓犠ε糠撒鷺蚤欝盤…unda・i・n：∵A4……の如きもの）等に関しては，各種血清によつ　　　　備考：浮遊液濃度　50％て必ずしも同じ様な態度を示さないと考えられ，或　　　　　　　媒体：吸収済AB型人血清は，或種のものでは弱い非特異性凝集様変化を示す何　　　　　　　　　　37eC・Slide　Test・物かが含まれているのではなかろうかとも考えられる。そうであれば，更にRho（一），（d）型血球の或　　　　このAk．血球のT・P♂6に対すの態度をみると・る血球に対しては疑わしい様相を示すかも知れないと　　Tube　Testでは，』一程度の疑わしい反応がみられた。も考えられる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　そこで，この」血球によるT．P・・－6の吸収試験を行つて　そこで米国より入手しえたpanel　cellsについて更　　　みた。に検討してみた。　　　　　　　　　　　　　　　　　その際の条件は下記の通りであつた。　cde型5例を検したが，何れの並ほ球も同様な態度を　　　　抗由L清1：Ak．1nL球を抗血清のt！s　VoL用いた。示し，Blood　Bank　Foundation製，　Hyland製の　　　　抗血滴皿3Ha・（Du）血球を抗血清の1／5　Vol・incemp！eteの抗DはSlide　Test，室温15分では全　　　　　　　　　用いた。く陰性を示したが，Ortho製のものは，2分後では　　　　抗血蒲E：アカゲ猿Rh｛⊃（一）型血球をV5　VoL全く陰性であるが，10分頃から，疑はしい様相てザラ　　　　　　　　　用いた。ツキ）を示し始め，15分では↓程度の凝集を示した。　　　以上の如くにして，室温12時間吸収した。　これらの結果からみると，外来の人由来抗D血清で　　　尚前記の抗頂L清の稀釈にSalineを用いた場合が第も，前述の如き或る特殊な血球に対しては，必ずしも　　　4表に示されAB型人血L蒲を用いた場合が第6表に示同一の反応を示すとはいい難い点のみられる事を知つ　　　されている。たがJ動物免疫抗D一血清作製上，非常に参考となる　　　第4表によれば，T・P．－6をアカゲ猿Rho（一）型所見であつた。　　　　　　　　　　　　　　　　　血球で卿1又した場合，Du型並D型に対する凝集素価　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　には殆ど変動をみず，Ak．血球に対しては全く陰性を　　正　紛らわしい疑集様態度の除去について　　　　　示した。これに比し，Ak，　JIII．球，　D　U血L球での吸収で　1に述べた如く，Du型，　Dの極めて弱い或る例等　　　は，この程度の吸収では，何等の影響をもあたえず，に対しては必ずしも，型判定は容易ではない事が判り，抗血清作製上大に参考となる所見を得たが，この　　　　第4表諜鷲搬諜璽羅1囑論：諜轡レー…16紹点を検討したので蚊にその概要を示してみよう。　その血球をAk．血球と呼び分ける窮とした。　　　　　　　1　本検討に用いた抗血清は，Ortho．　Ph．　Corp・製，Hyland　Lab。製，及Blood　Bank　Foundation製の　　　“　　『抗血清と我々の作つた動物免疫抗一D1血清T．　P．－6とである。KAk，血球の外来3種抗血清に対する態度を検する　　　一一と第3表の如くであつた。指定の時間内では何れの抗血清でも灘を示したが，翻の縄と郷…h。．　1πに，次でHyland．に疑わしい反応を示して来る。併し参考として，saline　ag91utininを用いてTube　　　対　照Testを行つてみると・Ortho・製抗血清には全く陰性　　　丁，　P－6であつた。Ak．Ha．（DU）0・DAk．Ha．（DU）0・DAk．Ha，（Du）D。0Ak，Ha．（Du）0・D？　？　？　？　一　一十ト　十ト　十　十　一　一冊　冊　十　十　＋　士＝　？　？　？　一　一升普　＋　＋　一　一冊　惜　十1－　十　　十　一ff十　＋　＋　一　一柵　十什　十　十卜　十　一十　　一」　一　　一　　一　　一十ト　卦　　十　十　一　一→什　柵　→十　十ト　ー1・”　士1961，　7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　21－（238）ag　5褒　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第1報で述べた如く，Rh，〕（一）型猿血球で吸収すな、一＿蝉稀釈率抗血漕別＼＼　血球別＼～＼一1皿皿対　照T．P－6Ak，Ha，（Du）0・DAk．Ha．（Du）0・DAk．Ha，（Du）0・DAk．Ha．（Du）O・Dる事は，人Rho（一）型血球の人手難をカパーするの・1・2　・4・8・16・23　　　みならず，P免疫原である猿血球に由来する不測の非特一一一一一一一一t @　　一　　　異部分に対する抗体除去という意昧をも含めて，この？　一　一　一　一　一冊　帯　帯十　＋　一辮　帯　掛　柵　十　↓猿による吸収は非常に有意義であると考えられる。むすび＿　　　　　　　　一一一一＿＿　　　←），（d）型に対する外国より輸入した1ncomplete⊥　？　一　一　一　一　　　　　　　　　　　　　　　Du型，　D型の極めて弱い血球（A型に対するA2根　柵　帯十　＋　一　　　　　　　　　　　　　　型，A8型，　A4型………の如きもの），一部のRho冊　帯　冊　研　十　＋　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．？　一　一　一　一　一　　　　（for　rapid　Test．）の判定用抗血清の態度は必ずし伊　界　昂　卦　＋　　　　　　も同一ではなく，使用期間内に，使用法に則つて検査冊帯＿世二世．升　↓　　　を行う必要があり，且あく迄Screening用として，士　士　一　一　一　一　　　　或は問題ないRho（一），（d）型を求める際にのみ冊　冊　帯　十　＋　一　　　　使用可能であるが　単なる型判定の際には，この点＋旧什一H一什＋士　充分臆し決定鰍半腱には，樋に齪された　　　　　　　　　　　　　　Sa］ine　agglutininカミよい菓カミ知られたo紛らわしい反応の除去にも，あまり好影響をあたえた　　　又本研究の如き作製法では，必ずRho（一）型猿」血とは考え難い。この関係をAB型入血清を溶媒として　　球で吸収を行う事は，紛わしい反応の除去にも役立つ用いた際にも，すべての反応の様相の増強がみられる　　　事を知った。外は，第4表でみられたと同様の結果を示していた。

Studies on the Mass-production of Anti-Rh Anti-body of Animal Origin

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/5991/files/Shinshu_med10-3_4-04.pdf

「Rh判定用血清の国産(産量)への研究」報告(Ⅱ) : 昭和35年度科学試験研究費による

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