水素吸蔵マグネシウムの核磁気共鳴(NMR)

Abstract

 次世代燃料電池材料として有力視されている水素吸蔵マグネシウムにおいて,プロトンの核磁気共鳴(NMR) の実験を室温と液体窒素温度で行った.高温高圧下で水素を吸蔵させたマグネシウムと,市販試薬の水素化マグネシウムの二つを試料とした.室温での測定結果はどちらの試料も結晶相と固溶相の二つの相を有することを示した.液体窒素温度では両試料ともに予想に反して液体気体で見られるような大きなスピン・エコーが観測された.ドライ・アイスや冷凍庫で冷やした試料においても同様の現象が見られた.これは低温化することによって試料に不可逆的な構造変化が起こり,気体水素が発生したものと考えられる.この現象は,吸蔵量は多くても水素の放出が困難であった水素吸蔵マグネシウムの,燃料電池としての有用性に新たなブレークスルーをもたらすことが期待される

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