京都大学0048新制・論文博士農学博士乙第2809号論農博第585号新制||農||201(附属図書館)学位論文||S50||N783(農学部図書室)4626UT51-50-J372(主査)教授 塚本 洋太郎, 教授 深海 浩, 教授 瀧本 敦学位規則第5条第2項該当Kyoto UniversityDA

Ando, Toshio

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Title Studies on factors controlling the dormancy of Dutch iris bulbswith special emphasis on hormonal aspects( Abstract_要旨 )Author(s)Ando, ToshioCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1975-05-23URL http://hdl.handle.net/2433/220738RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University氏 名学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件学位論文題 目安 藤 敏 夫あん どう とし お農 学 博 士論 農 博 第 585号昭 和 50年 5 月 23 日学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当StudiesonfactorscontrollingtledormancyofDutdlirisbulbswithspecialemphasisonhormorLalaspects(ダッチアイリスの休眠を調節する要因に関する研究,特にホルモン的観点より)(主 査)論文 調 査 委 員 教 授 塚本洋太郎 教 授 深 海 浩 教 授 瀧 本 敦論 文 内 容 の 要 旨球板アイリス (ダッチ ･アイリス)は促成され,切花として多く用いられており･アメリカ,オランダなどでも多数の研究が発表されているが,球根の休眠を深く掘 り下げて研究したものは少ない｡著者は球根アイリス (主として品 種 ･ウエッジウード)を用い,休眠の動態を主に植物調節物質の立場 か ら研究し,この論文にまとめている｡内容は9章に分けられ詳述されているが･大略以下のようである｡(1) 球根アイリスのようなりん茎類は芽が球根の最内部に位置しているので,外から芽の変化を調べることは困難である｡そこで芽以外に休眠の破れを知る指標を調べたところ,第1葉の伸びを調べることが最も適していることがわかった｡(2) 5月下旬,福岡県産の球板を収穫直後に入手し,9月下旬まで2-30℃の間の5段階の温度に貯蔵した後は場に定植したところ,13℃以下の低温.においたものは休眠を続け発芽しなかったo休眠が破れるためには球根が高温にさらされる必要がある｡(3) 低温貯蔵した球根に種々の調節物質処理を行なったが,低温貯蔵のままの球根に対しては効果がなく,高温処理を行なった後に調節物質処理を行なえば,高温処理だけのものに比較して発芽は促進 された｡この場合 CEPA が最も効果があり,続いて GA,BA の順序であったo(4) 低温に長 く貯蔵した球板からメタノールで抑制物質を抽出し,酢酸エチル可溶性酸性分画と中性分画をとり,イソプロ′リ ール ･.アンモニア .･水 (10‥1･1,V/V)の展開剤を用いてペーパークロマトグラフィーを行なった後,11切片をとってアべナ伸長試験を試みたところ,低温貯蔵区の球根には酸性･中性両分画とも抑制物質がみられた｡これに対し,高温貯蔵区の球根からは,第1葉の伸長が始まる8月上旬以前に抑制物質は消失していた｡また貯蔵中の球根では,温度に関係なく貯蔵齢と平行してジベレリン･レベルの上昇がみられた｡(5) 低温貯蔵した球根から抑制物質をメタノールで抽出し,カラムクロマトグラフィー･ORD,ガスクロマ トグラフィー,NMR,UV,MSなどの分析をくり返し,アブシジン酸 (ABA),カプリン酸,ラウリー 932-ン酸, ミリスティン酸などを同定した｡これらの飽和脂肪酸の中で,カプリン酸が量的に最も多かった｡なお,球根アイリスの第 1菓およびアべナ幼菓鞘を用いこれらの物質の伸長抑制作用を調べたところ,低濃度では ABA がカプリン酸より強く抑制し･高濃度ではカプリン酸の方が ABA より強 く抑制する｡またカプリン酸とABA とは共助的に抑制作用を示すことがわかった｡同定された飽和脂肪酸はペーパークロマトグラフィーで比較するといずれもABA と同じRf.値を示す｡(6) 以上に述べた休眠の動態は,アイリス球根についてはすべて共通しているが,形成された球根の位置によってもちがい,外側に作られた小球根ほど深い休眠を示す｡また,品種間差異も認められ,比較した8品種中では,ウエッジウードは中程度の休眠をもっている｡(7) 高温にさらされた球根と高温不足の球根の生理的差異をみるために種々の反応を調べたが,パラアミノ ジーフェニールアミンによるチ トクローム酸化酵素の反応が最も鋭敏に受けた高温程度と平行 して現われた｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨促成に用いられる花井球板の中で,球根アイリス(ダッチ ･アイリス)は,ヒアシソス,テッポウユリ,チューリップなどと共に世界各国の多くの研究者によって研究されてきた｡とくに開花促成に関する研究が多いが,促成と密接な関係にある球根の休眠について深く掘 り下げたものは少ない｡著者の研究は球根の休眠を植物調節物質の立場から追求したもので,この分野に新しい知見を加えている｡元来,芽の休眠に対してほ50年代にイギリスおよびスエーデンの学派が,インヒビターβが関与するという仮説を提案していたが,60年代になってアメリカおよびイギリスで,アブシジン酸(ABA)が発見され,ABAが休眠誘導物質の本体であると結論されるに至った｡ごく近年になって ABA だけでは解釈できぬ事実がいくつか発見されていたが,著者の研究結果はそれに応える有力な解答を与えた｡一般に内生調節物質を扱 う研究者はイソプロパノール :アンモニア ･水(10.･1:1,Ⅴ/v)の展開剤を用いたペーパークロマ トグラフィーとアべナその他の生物試験を併用することを標準手法としている｡酸性分画をこの方法で分離,検定して現われるインヒビターβは休眠と深い関係をもち,中性分画は休眠に関係がないとしていたが,著者は中性分画に抑制物質が現われることをつきとめ, カラムクロマ トグラフィー, ガスクロマ トグラフィー,IR,NMR,MSなどの分析法を駆使して,飽和脂肪酸がいくつか存在し,ABA と共助的に作用して休眠を誘導することを明らかにし,ABA だけで解決されなかった点をときほぐした｡また飽和脂肪酸の炭素数と抑制程度の関係も明らかにした｡さらに,貯蔵中の球根のジベレリン･レベルが温度に関係なく,貯蔵齢と共に高まること,高温処理がABA や脂肪酸の減少を促す原因であることなどを詳細に調べ,高温を受けた球根はチ トクロム酸化酵素反応が著しく高まることを明らかにして,球根の調節物質の状況を間接的に判定する途を開いた｡これらの諸点も高く評価できよう｡以上のようにこの論文は,球根アイリスの休眠を植物生長調節物質の立場から追求し,多 くの新知見を与えたもので,園芸学,植物生理学に貢献するところが大である｡よって,本論文は農学博士の学位論文として価値あるものと認める｡- 933 -

ダッチアイリスの休眠を調節する要因に関する研究, 特にホルモン的観点より

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/220738/1/ynogr00585.pdf

ダッチアイリスの休眠を調節する要因に関する研究, 特にホルモン的観点より

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