38 research outputs found
Chinese Hosts' Intercultural Contact with Japanese International Students : Categorization of Recognition and Coping Based on the AUC·GS Learning Model
日本人留学生と交流経験を持つ、中国人ホスト学生15名及び中国人ホストファミリー6名を対象として、異文化接触における認知と対応について半構造化面接を実施し、AUC-GS学習モデル(田中・中島,2006)に基づき分析を行った。異文化に対する「気づき(A段階)」「理解(U段階)」「対処(C段階)」の3段階につき、語りからこれらの有無を判断してカテゴリ分けを行った。異文化への気づきはあるが葛藤への理解はなく葛藤場面にも出会ったことがない、というカテゴリに最も多くのホストが分類された。従来から異文化交流の正統派であると考えられてきた、異文化への気づきと葛藤理解と葛藤対処の3段階全てが備わったカテゴリにも、4名の学生が認定された。しかし、異文化葛藤への対処の仕方は、日本人学生のそれとは異なる傾向が認められた。中国人ホストは、日本人学生が実践していたような他者視点に立った調整型の対処方法というよりは(奥西・田中,2009)、自己の視点を機軸とした寛容さの発露により解決を試みていた
Difficulties and Coping Behaviors in Interpersonal Relationship Formation among Japanese Students in France: Implications for Cross-Cultural Social Skills for Studying Abroad in France
This study examined cross-cultural difficulties experienced by Japanese students in France and their coping strategies. This study consists of 2 parts: in Study I, difficulties in interpersonal relationship formation and coping strategies were explored from the perspective of Japanese students in France. In Study II, Japanese students’ coping behaviors in France were evaluated from the hosts’ perspective. Additionally, expected coping behaviors in specific sociocultural contexts were examined. Data were obtained through questionnaire surveys and interviews. Study I demonstrated that interpersonal difficulties fell under three major categories: assertiveness, sociability, and schedule fluidity. These comprise eleven medium and four minor categories. In Study II, active coping, in which a guest student actively attempted to address a challenge, and receptive coping, in which a guest accepted the host’s behavior and perspective, received high evaluations. Finally, the use and teaching of cross-cultural social skills with French people are discussed
Research Note on Social Skills Learning Sessions for Hosts : Trials in the Preliminary Sessions
留学生と対人関係を築く日本人ホストを対象にした、異文化間ソーシャルスキル学習が、小グループによるセッション形式で試行された。セッションの流れは、参加者からの意見聴取による課題場面の設定、 1回目ロールプレイの実施、参加者の討論と講師による説明、 2回目ロールプレイの実施、参加者による振り返りと講師からの解説であった。セッション中の発言記録、及びセッション後の記錬用紙・評価用紙への自由記述について検討した結果、対人関係形成に関わる認知行動的な学習が行われ、異文化間の対人的接触で必要となるソーシャルスキルの獲得が進んだことが分かった。参加者は、認知的には、相手の持つ異文化性をより意識するようになり、行動的には、相手が日本文化と相手文化との違いを理解できるように配慮したコミュニケーションを心掛けるようになっていた。具体的には、文化的な規範を説明するときは、相手が納得できるような理由を付加する、日本文化の基準に照らせば受け入れられない行動が実施されている場合は、その事実と実施による相手へのインパクトを説明する、相手の文化的な基準を理解しそれを尊重しながら話す、非言語コミュニケーションを効果的に取り入れて行動する等である
Hosts in Intercultural Contacts : Empirical Study on Hosts - Guest Exchanges and their Relationships
本論では、外国からのゲストを迎え入れるホストに関する先行文献を、大学における学生交流及び地域におけるホストファミリー交流という2つの教育的場面の交流に絞って概観する。大学における
交流をみると、留学交流に関する研究蓄積が多く、特に異文化滞在者であるゲストの困難への関心が高い。一方で、受け入れ側であるホストについての研究は、比較的僅かである。大学での交流を巡っては、ホストとゲストの関係が進展しづらい現象が頻繁に注目されており、その原因を究明する試みから、両者間の認識の甑僻が明らかにされてきたoLかし両者の岨鯨を埋めていく方法となると、日本人と留学生の交流実践によって両者の隔たりが埋められるとする簡易な報告はあるが、学術的背景を備えた介入実践などの微密な実証研究はない。両者の関係改善に向けた、教育的介入の研究の進展が期待される。地域のホストファミリー交流においては、アカデミックな観点からの研究例は少なく、体験談や経験則の報告が中心となっている。数少ないアカデミックな立場からの報告には、現状や課題を生理して報告したもの、満足度を調べたもの、特定のコミュニケーション理論に少数のサンプルを当てはめて解釈したものがみられる程度で、体系化されるに至っていない。すなわち実証研究の質的・量的な不足が指摘できる。ホストとゲストがどのような葛藤に出くわし、どのようなプロセスを経て関係を改善させていけるのかという問いに対しては、まずフィールドの現実に密着したデータ収集と理論化の試みが求められる。ホストは教育交流を通じて変容するのか、それはどのような道筋を経るのか、変容は教育的に促せるのか、人為学習と自然学習はどう異なるのかなどが、今後の解明を要する課題と考えられる。ホストとゲストの接触を巡る研究がホストの側からも蓄積されていけば、両者のダイナミックな関係がより解明できるものと期待される