現代中国における格差を是正する制度改革に資する日本の資産所得税改革および年金改革経験

Abstract

格差是正をするための資産所得税改革および年金改革に関して現在中国で行われている論議に資するため、戦後日本が行った資産所得税改革および年金改革の主な論点を展望した。 1.資産所得税改革については、日本における資産所得の分離課税がおこなわれた背景を説明すると共に、総合所得税と分離課税を厚生経済学的に比較した議論を紹介した。さらに、この分離課税に多くの意義が認められるが、最終的には、資産所得のうち利子部分と超過利潤部分を分離して課税し、超過利潤部分には、賃金と同じ税率が適用されるべきだという議論を紹介した。 2.譲渡益税については、日本では、現在の20%に落ち着くまでは、税率の引き下げや引き上げの繰り返しによる試行錯誤が行われた。これは、ロックイン効果を阻止することと十分な税収をあげることの2つの目的のトレードオフから生まれたものであった。日・米で提案された両目的の同時達成手段も紹介した。 3.日本では現在、基礎年金は全ての年金受給者に対して共通な給付を与える制度になっている。しかし日本では歴史的経緯で、そのための保険料は自営業と被用者との間で異なる。中国では、基礎年金の財源は全額、税に求めることが望ましいと論じている。research repor

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    Last time updated on 14/06/2023

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