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Seven Early Songs by Alban Berg

By 立神 粧子 and Shoko Tategami-Ozawa

Abstract

アルバン・ベルク(1885-1935)は、シェーンベルク、ヴェーベルンとならび、今世紀初頭に活躍した第二ヴィーン楽派のひとりである。20世紀初頭の作曲家たちは、調性音楽の崩壊という流れの中で、新たなシステムと語法を模索していた。シェーンベルクが、新しい音列システムである12音技法を手に入れて、調性の枠組みから抜け出していったのに対して、その弟子ベルクは生涯、調性音楽から完全に逸脱することなく、音列を用いながらも、新しい要素はあくまでも伝統の中に組み入れることで、独自の音楽語法を確立していった。ベルクはシェーンベルクに師事していた青年期に、100曲をこえる歌曲を作曲している。この中からベルクが自分自身で7曲を選び出しまとめたのが、この≪7つの初期の歌≫である。現在、カリフォルニアのヘイリー、ブラント両博士によって、≪初期の歌曲集≫が出版されるところだが、これら初期の歌曲からは、ベルクがいかに、シューベルト、シューマン、ヴォルフと続くドイツ・リートの伝統を受け継いでいるかがよくわかる。と同時に、シェーンベルクも指摘しているように、このごく初期の段階ですでに、のちのベルクの作風を特徴づける様々な要素を見いだすことができる。独特の対位法、均整のとれた形式、ピッチやリズムそして音列のシンメトリックな取り扱い、名声部間の緻密な関係、多彩な響きなど、ベルク固有の音楽書法が、いくぶん未熟な技術ではあれ、見事に芽生えているといえよう。本稿では、ベルクの育った芸術環境や、≪7つの初期の歌≫が作曲された頃の創作背景にも触れながら、7曲を年代順にとりあげ、ベルク固有の音楽語法について、特に演奏者の観点から概観してみた。西欧ではレクチャー・リサイタルという形式がある。これはリサイタルの前に、演奏される曲目に関するレクチャー(講演)を伴うもので、レクチャーは鑑賞の質を高めるのに大きな役割を果たしている。本来ならば演奏と対をなすものであるが、本稿を演奏前のレクチャーとして理解して頂ければ幸いである。従って、脚注はなるべく本文に含まれるように配慮し、また平易な言い回しにつとめた。なお本稿は、1991年12月、ソプラノのマーガレット・モリソン嬢の協力を得て、ロサンジェルスの南カリフォルニア大学で行なった博士号レクチャー・リサイタルのレクチャー部分を改訂したものである

Publisher: フェリス女学院大学
Year: 1995
OAI identifier: oai:ferris.repo.nii.ac.jp:00000372

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