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日本付近の3次元S波速度構造 : 沈み込むスラブの形状について

By 佳子 山中, 隆 宮武 and 和朗 平原

Abstract

The three-dimensional structure of S-wave velocity beneath the Japanese Islands is obtained with the ARTB Method. The travel time delays of S-wave observed at the stations within the epicentral distances of 100° are used. The data are taken from the ISC Bulletins from 1964 to 1985. The study region extends from 20°N to 60°N, from 100°E to 160°E, and from the earth's surface to a depth of 1200km. All hypocenters of earthquakes used in this study are contained in this region. We use the source parameters determined with the inversion for P-wave velocity structure by Hirahara and Miyatake in 1989. The total number of travel time data is 53,027. A block size of 0.5°×0.5°×50km (for the uppermost three layers 0.5°×0.5°×33km) is used in this study.ISC (International Seismological Center,国際地震センター)に報告されている地震波走時データを用いて日本付近の3次元S波速度構造を求めた.対象領域は東経120度~160度,北緯20度~60度,深さ0~1200kmまでの領域である.この領域を0.5度×0.5度×50km (最上部3層は0.5度×0.5度×33km)のブロックに分け, ARTB法を用いてJeffreysの成層速度構造モデルからのずれを求めた.データとして,この領域内に起こった1994個の地震の走時を用いた.なお本研究では,領域内の観測点の走時だけでなく,角距離が100度以内にある領域外の観測点の報告も使用している.最終的に用いた走時データは全部で53,027個である.解析の結果得られたS波速度構造は, 1989年にHirahara and Miyatakeによって求められたP波速度構造と概ね似たパターンを示している.日本列島下に沈み込む太平洋プレートの高速度異常は,次に述べるスラブペネトレーションを起こしている地域を除いては上部・下部マントル境界付近まで,フィリッピン海プレートの高速度異常は深さ200kmまで見られた.また,これまでの研究でも指摘されてきたように,千島弧,東北日本弧の一部でスラブは下部マントル内まで沈み込んでいるように見える.上部マントルでは,沈み込むプレートの上側のマントルウェッジの部分やスラブの下側に低速度域が広く存在している.沈み込むスラブの形状については,これまでに地震活動や走時異常および3次元速度構造から求められた結果と概ね同様な結果が得られた.東北日本弧では他の島弧に比べ緩い角度(約25度)で沈み込むスラブが,伊豆小笠原弧北部では深さ650km付近で横たわっているスラブが見られた.またこれまで地震活動から指摘されてきたように,琉球弧ではトカラ海峡付近でスラブが裂けている可能性が速度構造からも見られた.一方,伊豆小笠原弧の北緯30度付近では,沈み込む太平洋プレートの高速度域に割り込む形で深さ400kmまで低速度域が見られる.すなわち,沈み込む太平洋プレートに相当する部分の一部が低速度域となっている.この地域は地震活動,海底地形,および火山フロントの岩石の化学組成が大きく変化している地域に当たっている.琉球弧でも日向灘沖および沖縄本島北東部で,低速度域がフィリピン海プレートに相当する深さ100kmまでの部分で見える.このように今回の詳細な3次元S波速度構造解析により,沈み込むプレート内部の不均質性の存在が明らかになった.千島弧と東北日本弧との,および東北日本孤と伊豆小笠原弧との会合部では,解析結果の平面図を見ると太平洋プレートに相当する高速度域が周囲に比べて太く見える.また深さ200km以深をみると,東北日本弧と伊豆小笠原弧の会合部ではプレートがS字状に曲がって見え,深くなるにつれ,切れてずれているように見える.この地域では,これまでも震源分布や走時異常から,プレートの折れ重なっている可能性が指摘されており,この形状はプレートが塑性変形することなく面積を保って沈み込むとするモデルによってうまく説明することができる

Topics: 453
Publisher: 京都大学防災研究所
Year: 1992
OAI identifier: oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:2261/13103
Provided by: UT Repository
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