Shizuoka University of Art and Culture Academic Repository / 静岡文化芸術大学学術リポジトリ
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地域固有の風土と空間構成に関する研究 -防災機能をもった地域拠点づくりについて-
2024PDF地域固有の風土を活かした空間は、厳しい自然環境下でも快適に過ごすことができ、土地に対する愛着を呼び起こす要素となり得る。しかし、科学技術が進歩し、現代の生活に適応した空間が求められた結果、地域固有の風景は希薄化している。また、地域性が残る地域では、自然災害発生時の被害が目立ち、地域性と災害は表裏一体であることから、地域性と防災を両立した空間的工夫が望まれる。 以上より、本研究は、地域に根ざした空間を現代の生活に対応させる設計手法を見出し、人々から長く親しまれる地域拠点施設を提案することを目的とする。修士(デザイン)静岡文化芸術大学thesi
Reception of Western Music in Cities during Russo-Japanese War Focusing on Kagoshima
2024PDF本論文では、日露戦争期の鹿児島県を対象とし、洋楽受容に関わった人物や団体、演奏曲、音楽の場から、地方都市における洋楽受容の過程と、日露戦争との関係性について明らかにする。『鹿児島新聞』の音楽関連記事の悉皆調査を中心としながら、情報を補足するため、『鹿児島実業新聞』を参照、国立国会図書館デジタルコレクション等でその他資料を収集し、分析を行った。
鹿児島県では明治二十年代に唱歌教育がはじまり、明治三十年代には学校行事で唱歌や軍歌が歌われていた。高等女学校や第七高等学校造士館においても、ピアノによる洋楽指導や寮歌が歌われており、学校において様々な音楽活動が行われていたことが明らかになった。また、「学舎」という武士階級の男性を中心とした鹿児島県独自の社会教育において、軍歌の歌唱や喇叭の吹奏が行われていた。これは薩摩藩時代から引き継がれた鹿児島、薩摩の気風を表す特徴的な音楽文化であったといえる。
明治三十年代以降から日露戦争期にかけて、県内各地で民間による楽隊が設立されたことが確認できる。そのなかでも、「鹿児島音楽隊」は、社会的・経済的有力者のもとに設立され、提灯行列や祝捷会、音楽会や学校行事などで活動した。「鹿児島音楽隊」は地方都市の鹿児島県に初めて、近代的な楽器と服装、西洋の響きを持ち込んだ団体であり、洋楽受容に大きな影響を与えたといえる。
日露戦争期になると新聞には多くの軍歌が掲載されるようになった。これらの軍歌は、県内の音楽教員によって創作されたものが多い。そのなかでも、第七高等学校の学生、佐々木信香と師範学校教員の佐藤茂助による《上村将軍》は、鹿児島県出身の軍人を歌った歌詞と特徴的な曲が異色の軍歌であり、県内各地で歌われた。さらに、海軍や第一高等学校で歌われるなど、県内にとどまらず県外へと伝播した軍歌であった。
日露戦争以降、鹿児島県内では音楽会の開催が活発になった。ほとんどが婦人会によるもので、軍や軍人家族援助のための寄付金集めが目的で開催されている。これらの音楽会には、鹿児島県における邦楽、西洋音楽のローカルな音楽家たちが出演しており、鹿児島県における洋楽受容を示す場であった。
教育の場における音楽活動や民間楽隊の設立、軍歌の創作、音楽会の開催など、明治後期においては音楽活動が活発であったが、男女によって担う音楽文化に違いがあった。これは薩摩藩時代から引き継がれた、勇壮で、男らしいことが求められた封建的な価値観が、当時の鹿児島県においても根強くあったことが考えられる。
また、音楽活動が活発化した背景に日露戦争がある。戦争によって提灯行列や祝捷会、凱旋行事や葬儀など戦争関連の行事が増えると同時に演奏の場も増え、戦意高揚や愛国心の鼓舞を示すものとして、音楽は用いられ、戦争協力を目的としながら、副次的に洋楽受容が進められた。
従来の洋楽受容史は東京を中心に、著名な音楽家たちが取り上げられ進められてきたが、明治後期の音楽文化は、地方の音楽教員や一般大衆によっても担われ、現在考えられているよりも多彩な音楽活動があったことは間違いなく、本研究ではその一端を明らかにすることができた。修士(文化政策)静岡文化芸術大学master thesi
Albrecht Altdorfer : History of Reception and German Art in the 20th Century
アルブレヒト・アルトドルファーは、1891年のマックス・フリートレンダーの論考以降、長らく風景画の先駆者として語られてきた。第一次大戦後、ナチス政権の成立にともない芸術が政府の統制下に置かれるようになると、アルトドルファーはドイツ・オーストリアの政治的統一を宣伝するプロパガンダとして利用されることとなった。この頃大ドイツ芸術展に出品された、ナチスの公式画家ヴェルナー・パイナーによる戦争画のタペストリー連作の下絵は、アルトドルファーの《イッソスの戦い》が着想源となった可能性が高い。一方、当時退廃芸術とされたオットー・ディックスやオスカー・ココシュカの作品においても、アルトドルファー作品からの引用の可能性が考えられる。アルトドルファーの作品は、戦前より主にナショナリズムの高まりのなかで政治的に利用されてきた。今後は、彼の作品をより包括的に見直すことが求められるだろう。Albrecht Altdorfer has long been regarded as a pioneer of landscape paintings, since Max J. Friedländer’s article was published in 1891. After World War I, when the arts in general were placed under the control of the government following the establishment of Nazi Germany, the works of Altdorfer were utilized to propagate the political unity of Germany and Austria. It is highly probable that Werner Peiner, one of the Nazis’ official painters, was inspired by Altdorfer’s “The Battle of Alexander at Issus” when he drew the series of Gobelin designs depicting battle scenes for display at the Great German Art Exhibition. On the other hand, it is also possible that Otto Dix and Oskar Kokoschka, both of whom were branded as “degenerate” artists during this period, borrowed from Altdorfer, too. Since before World War II, works by Altdorfer have been used mainly as political tools to boost nationalism. We now need to reevaluate these works in a more comprehensive manner.departmental bulletin pape
モビリティがル・コルビュジエの都市計画に与えた影響に関する研究
静岡文化芸術大学近代を代表する建築家ル・コルビュジエは、船、自動車、飛行機といったモビリティに大きく影響を受けて都市計画概念を構築してきたが、その具体的な影響関係については不明な点が多い。そこで本研究は、建築・都市計画の文脈に、モビリティ史・都市交通史を加えた横断的な視点から、ル・コルビュジエの都市計画概念の段階的変化を解明することを目指す。さらには、20世紀初頭におけるモビリティの都市計画への影響を明らかにすることにより、21世紀初頭の変革期にある現在のモビリティ環境に対応する今後の都市計画のあり方にも、指針を与える。21K04399research repor
Performance Script for the Original Production of Balinese Wayang, “The Ascension of Meganada”
静岡文化芸術大学はじめに
「メガナダの昇天」 について
上演台本の表記について
第一幕 メガナダの出陣
第二幕 ラクサマナと猿軍の出陣
第三幕 猿たちと魔物たちの戦闘の場面
おわりにPDFSUACWP-2025-001research repor
江戸時代における静岡浅間神社「二階拝殿」の建築形式・技術と駿府社会
静岡文化芸術大学江戸時代の静岡浅間神社を特徴付ける「二階拝殿」の建築形式と建築技術について古文書・古絵図による人文学的成果と、保存修理事業と連携した建築調査による科学的成果を合わせて検証し、「二階拝殿」の特異な建築形式と安政東海地震に耐え抜いた高度な建築技術を解明する。その背景にある駿府の建築普請活動の中でも持続可能な社会の仕組みに着目し、歴史学・民俗学の視点も加えた駿府社会の基礎構造を紐解き、神社境内における「二階拝殿」という存在に留まらす、駿府城下町や駿河国、富士山まで俯瞰した景観や都市研究に発展させる。22K04510research repor
近代ユーラシア高緯度帯の風土病とそのパンデミック化:帝国医療研究の拡張を目指して
静岡文化芸術大学本研究は、ユーラシア高緯度地帯の風土病(地域特有の疾病)に焦点を合わせつつ、主に近代における〈帝国〉が試みた医療・公衆衛生の実態の解明を目指す。
ユーラシア高緯度帯は多様な自然地理的かつ歴史・文化的諸条件を有する広大な地域である。本研究では、その各地域における風土病とそれへの〈帝国医療〉的な対応、言語・文化・歴史の多様性に由来する研究の分断を乗り超えての比較で明らかになる各風土病とそれらへの対応の連関、さらに風土病のパンデミック化の問題の解明を試みる。そしてそれらを通し、従来、低緯度帯(熱帯)を対象としてきた帝国医療研究の対象をユーラシア高緯度帯に拡張し、疾病史・医学史研究の新地平を切り拓く。21H00500research repor
Industry-Academia-Government Collaboration Initiatives and Considerations for Revitalizing Shizuoka Prefecture's Craft Industry
2021年度より産学官連携プロジェクトとして静岡県の伝統工芸産業活性化を目的とし、本学学生と静岡県の職人とともに新たな工芸品を提案していく「匠ものデザインプロジェクト」に取り組んできた。本事業は、静岡県経済産業部商工業局地域産業課からの受託事業として、県内の伝統工芸品の特性を活かしたプロダクトの提案と、モックアップ制作、展示発表等を実施。3年にわたって各伝統工芸従事者との連携を深め、学生にとっても有益な学びが得られている。本稿では、3年間の中で行ってきた事業経過の詳細をまとめ、実施内容と成果について報告する。職人・デザイナー・学生の三者間による重層的なデザイン検討や制作上の創意工夫が、新しい「用の美」を体現するような成果物を生み出したと言える。各年の具体的事例をもとに、静岡県の工芸分野の現在地と今後の可能性について考察する。Since 2021, the "Takumi Mono Design Project" has been an industry-academia-government collaboration project aimed at revitalizing Shizuoka Prefecture's craft industry, in which TUAT students and Shizuoka Prefecture craftspeople work together to propose new craft products.
This project, commissioned by the Regional Industry Division, Commerce and Industry Bureau, Ministry of Economy, Trade and Industry, Shizuoka Prefectural Government, involves the proposal of products that take advantage of the characteristics of traditional crafts in Shizuoka, mock-ups of the design, and exhibition presentations, etc. Over the course of three years, the program has deepened cooperation with various traditional craftspeople, and the students have learned a great deal of valuable lessons.
This article summarizes the details of the project's progress over the course of three years and reports on the implementation and results. It can be said that the multi-layered design discussions and creative production efforts among craftspeople, designers, and students produced artifacts that embody a new "beauty of utility.“
Specific examples from each year will be used to examine the current state and future possibilities in the field of crafts in Shizuoka Prefecture.departmental bulletin pape
触れたくなるテキスタイル素材によるアートワーク - 視覚的知覚と触覚的知覚を手がかりに
2024PDF「触れる」とは、指や手により能動的に接触することであり、テクスチャーとは触れることで知覚した物体の表面から得られる質感やその印象を指すとされ、改めて身体接触による「触れる」に着目し、触感のメリットを再考することは有意義であると考える。本研究では、「ウサギ」をモチーフとした造形物を用いて「思わず触れたくなる」体験を通じ、「視覚」と「触覚」の双方からアプローチを行う。思わず触れたくなる テキスタイル素材によるアートワークを通じて、感受性の豊かさの再発見に資することを目的とする。修士(デザイン)静岡文化芸術大学thesi
高齢者の身体機能維持を楽しく支えるプロダクトデザイン研究 -「二人でトレーニング」するサポート機器-
2024PDF日本では2007 年より超高齢社会となり、前期・後期の高齢者数の割合が増えている。後期高齢者になると、心身の機能の減衰が顕在化し、フレイルを発生しやすくなる。さらに老年症候群、認知症が増加し、要介護となりやすい。
高齢者がもしもフレイルの状態になると、活動量や社会活動の参加が減っていって、外出意欲も低くなる。また、男性は女性より他人と交流する意欲が低く、退職後に地域社会との関わりが少なくなるため、孤独感を抱きやすいと言われている。そこで、本研究は男性の後期高齢者を主な対象として他人との交流機会を創出し、心身の健康を促進することを目的とする 。修士(デザイン)静岡文化芸術大学thesi