Japanese Red Cross Repository / 赤十字リポジトリ

須田,悟史

川崎,泰士

再発口腔癌の経験

相星, 景子

村上, 望美

田畑, 遼

蛯原, 優花

堀, 新平

山本, 文子

井手上, 隆史

荒金, 太

横尾, 貴保

安里,嗣晴

196O-10-16肺膿瘍を発症した先天性食道閉鎖症の既往をもつ幼児の一例秋田赤十字病院　臨床研修センター 1）、秋田赤十字病院　小児科 2）、	秋田赤十字病院　小児外科 3）、秋田大学医学部附属病院　小児外科 4）○石いしばし橋　遼りょうだい大 1）、平野　修平 2）、久保田弘樹 2）、土田　聡子 2）、 田村　真通 2）、吉野　裕顕 3）、森井真也子 4）、水野　　大 4）【症例】4 歳男児。先天性食道閉鎖症 C 型にて生後 1 日根治術施行。食道中部の吻合部狭窄、胃食道逆流、胃内容排泄遅延、気管・気管支軟化症をみとめ、生後 7 ヶ月、11 か月、1 才 7 ヶ月時に食道バルーン拡張術を施行した。現在、保育園に通園中で、感染症での入院歴はなく、数ヶ月ごとの小児外科定期受診、PPI 内服を行なっている。【現病歴】X-8 日、咳嗽、発熱症状で、かかりつけ小児科医院を受診、上気道炎にて処方を受けた。症状続き CDTR-PI 処方されるも不応。X 日、当科紹介入院となった。画像上、右上中肺野にびまん性浸潤影と空洞性病変を認め、肺炎・肺膿瘍形成として TAZ/PIPC 投与を行なった。血液培養は陰性、後鼻腔培養にて Moraxella catarrhalis、Streptococcus pneumoniae が検出された。X+8 日、AMPC/SBT 内服にて退院、6 週間継続投与した。経過中、アデノウィルスや COVID-19 感染があるも重症化せず治癒した。【考察】原発性肺膿瘍は、小児の肺炎入院患者の 0.95％に合併するが、健康小児での発症は稀とされる。本症例は、気管支肺異形成はなく、これまで下気道感染の既往もなく通常生活を送ってきたが、食道閉鎖根治術後の胃 / 食道機能障害や、気管支の形態や慢性炎症等の関与が遠因として否定できない。近年、先天性食道閉鎖症において、移行期医療に到るフォローアップ診療が重要とされており、後遺障害について一般小児科医も理解をもって診療を行うべきと考えられた。O-10-15右肺門部小細胞肺癌の治療後、同葉内の末梢に発生した非小細胞肺癌の切除症例沖縄赤十字病院　呼吸器外科 1）、沖縄赤十字病院　呼吸器内科 2）、	沖縄赤十字病院　病理診断科 3）、沖縄赤十字病院　血液内科 4）○矢や の野　貴たかゆき之 1）、宮城　　淳 1）、有馬聖志朗 2）、赤嶺　盛和 2）、 玉城　剛一 3）、友寄　毅昭 4）【緒言】小細胞肺癌治療後に発生する二次癌は、発見の遅れにより予後が悪くなる傾向にある。小細胞癌と同葉内に非小細胞癌が見つかったが、外科的に切除し得た症例を経験したため報告する。【症例】60 代男性。基礎疾患に白血病があり、血液内科で化学療法後に CR の状態であった。X-2 年 8 月に健診で胸部異常陰影を指摘され紹介となった。右肺門部小細胞癌、c-T2aN1M0 stage2B の診断で CDDP+VP16(4 コース )、肺門部照射 45Gy 及び全脳照射 25Gy を行い CR が得られた。しかしながら右上葉の肺結節は消失せず、気管支鏡検査を行ったところ非小細胞肺癌と診断された。X-1 年 11 月に手術予定となったが入院時の検査で白血球増多を認め、白血病再燃の診断となった。化学療法を行なって寛解したため、X 年 1 月に手術を行った。安全のため肺動脈本幹および末梢をテーピングして上葉肺動脈を切除した。肺門部にもリンパ節癒着がみられたが郭清し得た。摘出した病変は 3.3cm で多形癌と診断された。リンパ節に転移はなく、小細胞癌成分の残存もなかった。術後肺炎を併発したが、15 日目に退院した。【考察】小細胞癌治療後の長期生存条件は、小細胞癌の治癒と二次癌の早期発見が挙げられる。本症例では気管支鏡にて右上葉肺結節を非小細胞肺癌(二次癌)と診断し得たため外科切除の適応となったが、放射線化学療法後であったため手術に難渋した。【結語】小細胞肺癌治療後の二次癌は、早期発見で外科切除による予後の改善が期待できるため、適応があれば積極的に手術に踏み切るべきである。O-10-14周期性同期性放電 (PSD) を伴う辺縁系脳炎を呈した神経梅毒の一例秋田赤十字病院　臨床研修センター 1）、秋田赤十字病院神経内科 2）○中なかの野　雄ゆうき貴 1）、柴田健太郎 2）、加藤　　怜 2）、井上　佳奈 2）、 原　　賢寿 2）【症例】45 歳男性【主訴】意識障害 , 痙攣【既往歴】特記事項なし【現病歴】X-3 日，突然の意識障害と痙攣発作を発症し前医に救急搬送され , 不穏が強く鎮静剤の多量投与を要した . X-2 日に撮像した頭部 MRI（拡散強調像と FLAIR画像）で左側頭葉内側から左視床に高信号を認め , 髄液細胞増多も認めたことからヘルペス脳炎が疑われアシクロビル投与を受けたが，健忘とせん妄が遷延したためX 日に当院に転院搬送された .　【臨床経過】意識は JCS I-3．髄液検査では細胞数 53/ μ l, 蛋白 76 mg/dl, 血清・髄液とも RPR,TPHA がいずれも陽性であった．Film Array による PCR 検査ではヘルペスは陰性であった．神経梅毒と診断し , ペニシリン G(2400 万単位 / 日 ) で治療を開始し，X+14 日にアンピシリン 3000mg とプロベネシド 1g に切り替えた . 転院時の脳波検査で左半球優位の PSD を認めたが , 意識状態の改善後に脳波も正常化しX+28 日に退院した．【考察】神経梅毒は Treponema pallidum が血行性に中枢神経系に浸潤することにより生じ , どの病期でも発症し得る . 辺縁系脳炎の病像を呈する神経梅毒は国内外で約60 例の報告があり，男性に多い（90%）．脳波所見としては徐波や PLEDs(periodic lateralized epileptiform discharges) が報告されているが，PSD の報告はなく本例が初めての報告となる．日本では梅毒感染者数が著増している背景もあり , 辺縁系脳炎ではヘルペス脳炎や自己免疫性脳炎の他に神経梅毒を鑑別することが重要である . O-10-13重症熱性血小板減少症候群（SFTS）に複数菌菌血症を合併した一例熊本赤十字病院　診療部 1）、熊本赤十字病院　総合内科 2）、	熊本赤十字病院　総合診療科 3）○寺てらだ田　尚しょうへい平 1）、早野　聡史 2）、遠山　由貴 3）、加島　雅之 2）【背景】重症熱性血小板減少症候群（以下 SFTS）は、マダニによって媒介されるSFTS ウイルスが原因であり , 致死率は 10-30% と高い . 発症時や発症後に細菌感染を合併する例があり , 当院で経験した症例から考察を行う . 【症例】74 歳 , 女性 . 農作業歴あり .【主訴】発熱・下痢【現病歴】ADL full であり , 元々日常的に農作業を行なっていた . 来院 7 日前より悪寒 , 発熱 , 頭痛を認め , 5 日前より腹痛・下痢が出現した . 来院当日に意識障害が出現し , 救急搬送された . 受診時 , GCS10（E4V5M6）であり , 身体所見では痂皮・皮疹・体表リンパ節腫脹は認めなかった . 血液検査では , WBC:576/ μ L, Hb:15.1g/dL,PLT:7.3 万 / μ L,LDH:1992U/L, CRP:0.02mg/dLであった . 入院 2 日目に血液培養 2/2 セットから , Escherichia coli, Streptococcus gallolyticus を検出した . メロぺネム , バンコマイシンで経験的治療を開始し , 感受性結果からビクシリンに変更したが , 血小板低下が遷延した . 追加で検査した血中・尿中 SFTS PCR が陽性となった . SFTS に関しては , 支持治療のみを行い , 血小板数は改善し , 入院 24 日目に転院した . 後日 , 下部消化管内視鏡を施行したが , 菌血症の原因病変は認めなかった . 【考察】SFTS では細菌感染症は 12.7％に合併すると報告されており , 合併例では死亡率が高い傾向にある . リスク因子などは不明であるが , 本症例では , 好中球減少・下痢に伴う一過性の粘膜障害から菌血症を生じた可能性がある . 細菌感染症合併例の CRP の中央値は 0.86 mg/dL と比較的低く , 本症例でもCRP は診断時から継続的に陰性であった .【結語】SFTS 感染症と細菌感染症が合併する例があり , 遅延なく診断を行う必要がある . 地域性・疫学・病歴・特徴的な検査初見で SFTS を疑うことと , 炎症マーカーのみではなく , 適切な培養採取を行うことが早期診断につながる . O-10-12Triple	negative 乳癌に対する化学療法中に irAEによる多発筋炎を発症した一例釧路赤十字病院　内科○小おぬま沼　康やすひろ宏、古川　　真【背　景】近年，癌化学療法では ICI ｓの使用増加に伴い irAE が注目されている。報告数は少ないが，神経筋関連有害事象 (nAE) としての多発筋炎 (PM) の症例が散見されている。【臨床経過】71 歳女性。202X-2 年頃左乳房腫瘤を自覚。202X年 3 月 A 総合病院を受診し、左乳癌　両側多発肺転移 cT4N1M1(PUL)cStage4 のtriple negative 乳癌と診断。4 月化学療法としてアテゾリズマブ＋パクリタキセル開始。8 月 5 クール目に CK と LDH が上昇傾向。5 クール目 day5 で化学療法を中止。CK 5067 / LDH 1347 まで上昇。CK 上昇に伴い、両大腿の筋肉痛や下腿の浮腫を認め、アテゾリズマブによる筋炎の可能性が考えられたため精査目的に 202X 年9 月当科紹介受診。CK・Ald やミオグロビンの上昇、近位筋優位の筋力低下が認められた。筋炎特異的自己抗体（抗 Jo-1 抗体・TIF1 γ抗体）陰性、抗 SS-A 抗体と抗 RNP 抗体陽性であった。MRI で大腿直筋を中心に STIR T2 強調像で高信号像を認めた。筋生検病理では筋細胞の大小不同が著明で、炎症細胞浸潤 (CD4/8 共に陽性・MHC class1 発現亢進 )・筋細胞の壊死・再生繊維を多数認めた。Macrophage、Phagocytosis、筋原線維間の乱れがあり、Type2C 線維を多数認めた。アテゾリズマブ使用開始から約 3 ヶ月という早期の急性発症であり、アテゾリズマブによる irAE多発筋炎と診断した。治療として PSL40mg と IVIG を施行し、寛解導入が得られた。現在 PSL17.5mg まで減量し再燃無いため、202X 年＋ 1 年よりパクリタキセル単剤の化学療法が開始となった。【考　察】ICI ｓに伴う irAE として多発筋炎は発症率0.1-0.6% といわれているが、アテゾリズマブに伴う報告は少数である。ICI ｓに伴う多発筋炎は眼瞼下垂を伴うなど非典型的な場合もあり、重症度や治療反応性も様々である。癌治療における ICI ｓの使用頻度は増しており、こうした希な irAE に関しても、病態解明のため同様の症例の集積が重要となってきている。O-10-11帝王切開瘢痕部から発生した子宮体癌の一例熊本赤十字病院　産婦人科 1）、病理診断科 2）○相あいほし星　景けいこ子 1）、村上　望美 1）、田畑　　遼 1）、蛯原　優花 1）、 堀　　新平 1）、山本　文子 1）、井手上隆史 1）、荒金　　太 1）、 横尾　貴保 2）、安里　嗣晴 2）【緒言】帝王切開瘢痕部から発生する子宮体癌は極めて稀な疾患で、病理学的には帝王切開瘢痕部の組織学的特性と子宮峡部癌の臨床的特徴および病理学的、遺伝学的特性も併せ持つ病態と考えられている。今回、帝王切開瘢痕部に発生した子宮体癌に対し、ロボット支援下手術を施行した一例を報告する。【症例】症例は 44 歳、1妊 1 産女性、帝王切開の既往あり。経血量の増加と繰り返す不正性器出血を認めたため前医を受診した。経腟超音波断層法で帝王切開瘢痕症候群を疑われたが、1 ヶ月後の再診時に同部位に血流を伴う腫瘤を認め、組織診で adenocarcinoma であったため当院紹介となった。骨盤造影 MRI 検査で帝王切開瘢痕部に一致して腫瘍を認め、帝王切開術後の筋層菲薄化のためやや判断困難であったが、深い筋層浸潤は疑われず、子宮体癌 IA 期相当と診断しロボット支援下子宮体癌根治術を施行した。術後病理組織診断は Endometrioid carcinoma, G1 で、帝王切開瘢痕部に一致して腫瘍の主座を認め、子宮体癌 IA 期 (pT1aN0M0) と診断した。再発低リスク群であり、現在術後治療は行わず外来経過観察中である。【結語】帝王切開瘢痕部に発生する子宮体癌は臨床的に様々な問題点が指摘される。瘢痕部に発生するリスクが示唆されている内膜症との鑑別や、瘢痕部の菲薄化による筋層浸潤の評価の難しさなどが挙げられる。近年、妊婦の高齢化や分娩前診断の精度向上に伴い帝王切開の頻度は増加傾向で、本症例のように帝王切開瘢痕部に子宮体癌が発症する症例が増加することが予想される。その発症機序も含め文献的考察を含め報告する。

Japanese

帝王切開瘢痕部から発生した子宮体癌の一例

上田, 賢太郎

馬場, 貴子

富島, 喜朗

下石, 和樹

合澤, 啓二

陣上, 祥子

172O-5-31日赤薬剤師会「2022年度薬剤部の業務・活動状況調査」結果報告旭川赤十字病院　薬剤部 1）、日赤薬剤師会薬剤業務委員会 2）○橋はしもと本　光みつお生 1,2）、坂本　好史 2）、邉見　光利 2）、成瀬　徳彦 2）、 上田　豊実 2）、尼崎　正路 2）、池田能利子 2）、君和田　貢 2）、 藤永理恵子 2）、友金　幹視 2）、森　　英樹 2）【はじめに】2024 年度の診療報酬改定で薬剤業務向上加算が新設された。第８次医療計画に基づき作成された薬剤師確保計画ガイドラインに沿って、病院薬剤師が不足している地域での薬剤師確保に結びついていくことを期待する。また、働き方改革のため勤務環境の改善に取り組んでいる中での手術室や外来における業務の拡大が求められている。【目的】日本赤十字社の病院薬剤師の人員と業務内容の現況について報告する。【方法】2023 年 6 月、日赤薬剤師会薬剤業務委員会では、全国 92 施設に対して「2022 年度薬剤部の業務・活動状況調査」を実施し、前年度の調査結果と比較した。【結果】調査回収率は、100％（92 施設）であった。前年度から薬剤師数が増えた施設は 24 施設、減った施設は 31 施設であった。100 床あたりの薬剤師数は、299 床以下の施設では減り、300 床以上の施設では増える傾向となった。また薬剤管理指導業務は 96.7％の施設で行っており、前年度と比べ月平均件数が増えた施設が 35 施設、減った施設が 55 施設であった。病棟薬剤業務実施加算では、前年度から実施加算 1・2 取得施設が 1 施設増加、実施加算 1 取得施設が 3 施設増加した。がん薬物療法体制充実加算に繋がる外来で業務を行っている施設は 25 施設であった。【考察】薬剤管理指導件数が前年度に比べ減った施設が多かったのは、コロナ禍による入院患者数の減少や薬剤師数の減少が影響していると考える。今後赤十字グループにおいて、薬剤業務向上加算のようなしくみを利用して薬剤師が確保でき業務が拡大していくことを望む。O-5-30周術期管理加算算定に向けた取り組みと 1年間の手術室業務の評価熊本赤十字病院　薬剤部○上うえだ田賢けんたろう太郎、馬場　貴子、富島　喜朗、下石　和樹、合澤　啓二、陣上　祥子【目的】令和 4 年度診療報酬改定により周術期薬剤管理加算が新設され、熊本赤十字病院においても令和 5 年度から算定を開始した。そこで今回、周術期薬剤管理加算算定開始までの取り組みと、算定開始後の手術室での薬剤師業務を評価し報告する。【方法】令和 4 年 9 月から算定開始に向けたチームを立ち上げ、周術期薬剤管理に関するプロトコルや薬剤の安全使用に関する手順書の作成、手術室での薬剤師業務の内容やカルテ記載方法等について検討した。令和 5 年 3 月から薬剤師の手術室業務を開始し、麻酔科カンファレンスにも参加した。令和 5 年 4 月から令和 6 年 3 月の薬剤師業務日誌をもとに手術室での業務時間、手術件数、薬学的関与について調査した。また電子カルテをもとに麻酔管理料 I･II の算定件数、周術期薬剤管理加算の算定件数を調査した。【結果】対象期間中、薬剤師の手術室滞在時間は 1.5 時間 / 日であった。手術件数 5,294件のうち薬剤師が関与したのは 4,408 件 / 年（83.3％）だった。麻酔管理料 I･II の算定件数は 1,798 件であり、そのうち周術期薬剤管理加算の算定は 1,381 件 / 年（76.8％）だった。また手術室での薬学的関与は 207 件（内訳：スタッフからの質問 63 件、スタッフへの情報提供 60 件、アレルギー薬剤の回避や薬剤の中止・継続等の薬学的介入 43 件、その他 40 件）だった。【考察】周術期薬剤管理加算の新設を契機に手術室での薬剤師業務を開始し、周術期薬剤管理加算の算定を開始した。手術室での業務時間は限られており、今後の課題として手術室での業務時間の確保、業務継続のための人材育成が挙げられる。今後も麻酔科医、手術室看護師、病棟薬剤師と協働し、より安全な周術期の薬剤管理を構築していきたい。 O-5-29日本赤十字社フォーミュラリーの現状と効果	～アンケート結果からの一考～日本赤十字社　医療事業推進本部	医療の質・研修部	医療課 1）、日赤薬剤師会 2）○伊い が賀　正まさのり典 1）、東　　陽子 1）、大石　美枝 1）、川崎　智子 1）、 丸　　澄代 1）、行木　希美 1）、鈴木　朋佳 1）、黒川美知代 1）、 鈴木　和幸 1）、横江　正道 1）、塩見　尚礼 1）、友金　幹視 2）、 森　　英樹 2）【目的】　日本赤十字社医療事業推進本部では、フォーミュラリー（以下、F）導入を推進するため、令和 2 年 1 月に完成した F 導入手順書を基準として、日赤薬剤師会との協働により日本赤十字社 F 推奨薬（以下、推奨 F）を作成し、通知してきた。以降、毎年推奨 F を通知し、現在 8 種類となっている。そこで、各施設での現状を把握する為、日赤薬剤師会と共同でアンケートを行い、推奨 F の現状と効果について調査したので報告する。【方法】　調査対象は、日本赤十字社医療施設および医療型障がい児入所施設薬剤部責任者 92 人、質問内容は F 規程（規約）の作成状況、F 導入状況、F 導入効果、および F を作成していない理由等、計 13 項目とした。【結果】　令和 5 年および 6 年における回答率は 92 施設中 92 施設（100％）であった。F に関する規定（規約）は、作成済もしくは検討中が 54 施設から 62 施設、F 導入は 61 施設から 65 施設へ上昇した。F 導入効果の回答として最も多かったのは、非専門医師の医薬品選択が容易になった、2 番目が薬物療法の標準化が向上したであった。また、F を作成していない施設の理由として最も多かったのは、作成時間やマンパワー不足であるという回答であった。【考察】　F 導入は各施設にとって、診療支援や働き方改革、医療の標準化、および医療の質向上に貢献できる手段となり得ると考えられる。F 導入施設をさらに増やすためには、各施設における F 作成支援を行うことが必要である。そのためにも、引き続き日赤薬剤師会と協働して推奨 F を作成していく事で、F 作成導入の契機を各施設に提示することが可能になると推察できる。O-5-28VCMの血中濃度が理論値から大幅に乖離し、急性腎不全を来した１例伊達赤十字病院　薬剤部○近こんどう藤　　績いさお、金田　光弘、武智　　茂、徳光　壽佳【緒言】注射用バンコマイシン（以下、VCM）の投与設計に関し、抗菌薬 TDM 臨床実践ガイドライン（日本化学療法学会/ 日本 TDM 学会）では現在、AUC/MIC 値での評価が推奨されている。また、血中濃度解析ソフトウェアを用いることでより効率的に投与設計を行うことが可能となっている。今回、血中濃度解析ソフトウェアを用いて投与設計を行ったにも関わらず VCM の血中濃度が大幅に上昇し、急性腎不全を来した症例を経験したため報告する。【症例】67 歳・男性【現病歴】CO2 ナルコーシスによる意識障害あり、当院循環器科病棟入院し NPPV 装着、加療としていたところ 39℃台の発熱あり。炎症マーカーの上昇も認め、胸部レントゲンより肺炎疑いとなりアンピシリン（以下、ABPC）の点滴投与を開始した。【経過】痰培養からS.aureus 検出され ABPC を継続するも解熱・消炎せず、慢性骨髄性白血病の既往もあることから菌血症を懸念し VCM へ切り替えとなった。VCM の投与量や投与速度については薬剤部にて投与設計を行い、理論値に基づき投与開始となった。3 回目投与直前のトラフ濃度測定では理論値通りであり副作用もなく経過していたが、投与開始 1 週間後の採血データにて明らかな腎機能の低下が見られ、再度 VCM トラフ濃度を測定すると 80 μ g/mLを超えていたため投与中止となった。その後の補液管理により腎機能は徐々に改善した。【考察】血中 VCM 濃度上昇の要因としては、ループ利尿薬を定期内服していたことや全身管理状態であること、心不全が既往にあること（体循環系のうっ滞）、さらに VCM そのものに腎機能障害の副作用リスクがあることなど、様々な要因が重なった結果だと考えた。また、薬剤の投与量・投与速度のみならず、血液検査への積極的介入も病院薬剤師に必要なスキルだと実感した。O-5-27厳冬期避難演習を受け救護活動に臨む清水赤十字病院　医療技術部　臨床工学技術課 1）、医療社会事業部 2）、	看護部 3）、診療部 4）○成なりた田　圭けいすけ亮 1）、齊藤　麻美 2）、高畑　翔太 2）、後藤　靖興 3）、 中野由佳子 3）、藤城　貴教 4）、山田　圭吾 4）【はじめに】2023 年１月に日本赤十字北海道看護大学（北海道北見市）で行われた「厳冬期避難演習 2023」を受講し，2024 年１月 24-28 日の 5 日間，能登半島地震における救護活動に主事として参加した．【活動内容】避難演習では，ダンボールベッド設置など，氷点下における避難所設営の演習を行った．救護活動では珠洲市災害対策本部で集約した避難情報を巡回診療に向う救護班に申し送り，活動後に報告を受けるサポート業務を行った．【考察】避難演習で使用したダンボールベッドは，衛生的かつ冷気対策に繋がるため有用であった．能登半島地震で被災した珠洲市ではダンボールベッドの設置を進めていたが，一部の避難所では被災者（管理者や避難者）が設置を拒否した情報があり，避難の長期化による心理的・身体的ストレスと考えられた．そのため，避難所開設から環境改善までの調整は短期間に被災者と支援者で進めることが求められる．【まとめ】今後の災害救護活動に備え，平時よりダンボールベッドの有用性を住民と支援者に周知し，受け入れやすい環境づくりに尽力したい．O-5-26実災害時こころのケア指導者・要員帯同の割合石巻赤十字病院　災害救護課○新にった田　聖きよみ美、澁谷多佳子、伊藤　未来、大友　直美、齋藤　聡子、高橋　邦治、阿部　洋子当院では現在、こころのケア指導者が 19 名、こころのケア要員が 168 名在籍している。災害派遣時にはこころのケア研修受講者がいることが望ましいが、過去 3 年での災害派遣時にどの程度の割合でこころのケア受講者を派遣できているのか、調査したので報告する。災害派遣時、こころのケア研修受講者の派遣割合を調査することで、現状を把握する。方法としては、過去のこころのケア研修受講者数と職種別受講者数の把握、過去 3 年間 2 つの実災害時、救護班派遣者に対してこころのケア研修受講者数の割合 ( 能登半島地震、台風 19 号 )。こころのケア班は除く。在職者で受講者数は 168 名、内訳は医師 2 名、看護師 122 名、コメディカル 44 名であった。2 つの災害で派遣された累計数は医師 57 名、看護師 81 名、主事 93 名であった。このうち台風 19 号では 49％％がこころのケア指導者・要員であった。能登半島地震では 29％がこころのケア指導者・要員であった。各班にこころのケア指導者・要員が必ず帯同している状況であった。考察：年々帯同割合は減少している。今後も研修を継続的に行い、こころのケア要員を増やしていく。今後は看護師だけでなく医師、主事にも受講推進していく。結論：こころのケア研修受講者が多ければ実災害時の帯同割合も増える。この調査で受講者減少という現状が見えてきた。今後の当院の取り組み課題である。

周術期管理加算算定に向けた取り組みと1年間の手術室業務の評価

伏見, 卓郎

遠藤, 芳克

信久, 徹治

松本, 祐介

甲斐, 恭平

18110月17日㈭　抄録一般演題（口演）The Japanese Red Cross Medical SocietyO-7-10DPCベストタイミングリストを利用した円滑な退院調整の取り組み福島赤十字病院　事務部　経営企画課 1）、福島赤十字病院　病院長 2）、	福島赤十字病院　事務部　医療情報システム課 3）、	福島赤十字病院　事務部　医療ＤＸ推進室 4）、	福島赤十字病院　事務部　会計課 5）○二にかいどう階堂雄ゆうへい平 1,4）、奈良輪大輔 3）、佐藤　隆昭 1,3）、横山　　剛 3,4）、金子　　瑛 1）、松本　　修 5）、鈴木　恭一 2）【はじめに】DPC では入院期間２の最終日が全国平均値であり標準的な退院日であるが、病院全体での DPC 制度への理解、また医師・看護師、多職種が DPC の入院期間を意識した退院調整を行うことが重要である。そのため、「DPC ベストタイミングリスト」を独自に開発し、円滑な退院調整を目指したプロジェクトを立ち上げた。【方法】DPCベストタイミングリストは、電子カルテから DPC 情報、退院許可・決定、パス終了日などを収集し、入院期間２の最終日に近づくにつれ、色分けされ表示される。リストは毎日３回 RPA にて自動更新を行い、各病棟の 27 インチの専用モニターに常時表示する。医師、看護師はリストを確認し、治療の状況、患者家族の都合、退院先の調整を優先しながら、患者に合わせたそれぞれのベストな退院日の調整を行う。【結果】本運用は 2024 年 6 月より運用を開始したため、DPC ベストタイミングリストの効果を今後モニタリングしていく。リストの更新は、RPA で人件費換算：約 122 万円／年分を処理させる。病棟運営や経営改善への効果、また医師・看護師の情報共有が組織に与える影響などを追って報告する。【考察】DPC タイミングリストでは、病棟全体の患者データの俯瞰性を高めることができ、これらは現在の電子カルテでは表現できないため、医師・看護師における退院許可・決定情報の円滑な情報共有の上で有効である。また医師・看護師の DPC 入院期間の意識付け、DPC 制度の理解促進、また見通しを持った退院許可入力の推進にもなり、円滑な退院調整に繋がると考えている。O-7-9予算達成に向けた経路別目標患者数の設定大森赤十字病院　事務部　経営企画課○岡おかざき崎　莉り お央【背景】わが国では、2020 年に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、その感染力の強さは経済活動や国民の生活を大きく変えるものとなった。全国の病院では、新入院患者数の減少がみられ、当院は現在も経営悪化の状態が続いている。【目的】そこで当院の経営企画課では新入院患者数増加を図るため、今年度予算を基にした病院職員全体が取り組みやすい目標患者数を経路別に設定した。【方法】まず、全体の目標新入院患者数を救急患者、救急患者（ウォークイン）、紹介患者、外来患者、健診受診者の入院経路別に配賦し、経路別新入院患者数の目標値を設定した。次に、目標新入院患者数を経路別入院確率で除して、経路別目標患者数を求め、ベルヌーイ試行で統計学的に検証を行った。最後に、数値の整合を図るために、目標救急患者は昨年度の実績並みに固定し、目標紹介患者数については、上方修正をした。【結果】昨年度実績と目標値を比較すると、救急患者、救急患者（ウォークイン）、外来患者については、目標を上回ったが、紹介患者、健診受診者については目標を下回る結果となった。【考察】紹介患者に関しては、目標紹介患者数 21,000 人に対し、昨年度実績は 10,566人と目標値の半分ほどであり、入院確率は高いが、患者数が非常に少なく改善が必要だと考えられる。紹介患者増加のために、受け入れ体制の見直しや、他施設との連携を強化することなどが今後の課題といえる。【結語】今回、経路別目標患者数を設定したことで、救急患者と紹介患者を増加させることが、新入院患者数増加への近道であることが分かった。地域の患者さんや医療機関、救急隊や診療所に選ばれる病院となるため、この経路別患者数の動向を注視しつつ、職員全体で改善の PDCA を回していきたい。O-7-8事務事業見直しに関する取り組み富山赤十字病院　経営企画課○高たかやなぎ柳　裕ひろこ子、山口　美奈、牧　　義人、眞田　静香、牛丸　和博、高坂　利幸、酒井　陽輔【はじめに】事務部門では、毎年各課の懸案事項を検討し、業務改善を図ってきた。令和５年度は、業務見直しに対する意識醸成を促すとともに、実現までの検討・実施手順等に関するスキルアップを図る目的として、全事務部職員を対象に改善案の検討を依頼し、事務事業の見直しに取り組んだ。【方法】全ての事務系職員を対象に事務事業の改善案（概要・効果・課題等）を提出してもらい、事務部長及び事務系課長を中心としたヒアリング（月２～３回開催）を行うなど、実現性、効果、費用等の観点から総合的に判断し、優先度を整理した。検討結果は、各所属長から提案者へフィードバックするとともに、早期実現可能な項目については、協議の場に提案者を交えて見直しに向けて検討した。【結果】令和５年度は 26 項目の改善案が提出され、６項目の業務改善を実施することができた。一例として、出張関連の項目では、総務課より出張起案書の簡素化、経営企画課より出張旅費の支給方法変更の提案があり、１つのテーマに対し部署の垣根を越え、連携して取り組むことができた。また、他施設からの情報収集や資料作成、プレゼンテーションを実施したことにより、個々のスキルアップにも繋がった。その他の改善項目についても、実現に向けての課題を整理するなど、引き続き検討を進めている。【考察】入職後２～５年目の若手職員から積極的に事務事業改善の提案があった。今回の取り組みの中で、自身のスキルアップだけではなく、他部署と連携することによって事務部強化にも繋がったと考える。今後も継続的に取り組みを行い、常日頃より業務改善を意識し取り組む職場環境を醸成していきたい。O-7-7院内保育園の現状と課題への対策諏訪赤十字病院　事務部　人事課○木きむら村　裕ゆうき樹【現状】　当院は平成２１年８月３日より院内保育園を設置し、令和元年８月１日より隣接するホテルと連携し、１階を間借し、院外保育園を設置した。（共に認可保育園）いずれの保育園も運営は外部に委託し、一週間ごとメールにて運営状況を確認し、年度末に院内保育園運営委員会にてその年の活動報告を行っている。しかしながら、保育園という特性上、集団での睡眠や食事、遊びなど子ども同士が濃厚に接触する機会が多いため、飛沫感染や、接触感染が伝播しやすい環境にある。【課題】感染症の流行院内保育園は病院の職員の子どもが半数以上を占めているため、保育園内で感染症が流行した場合、子どもが感染し多くの職員が看病のため仕事を休まざるを得ないケースが多い。【対策】病児保育の設置の検討現在、当院がある地域には１箇所のみ病児を預けられる施設があるが常に定員に達しておりキャンセル待ちが通常で、子どもを預けたくても預けられない状況にある。職員からの病児保育のニーズは高く、病院内に設置が可能となれば職員の急な休みによる職場への負担を減らせ、また職員満足度にも繋げられると考える。また、院内保育園を委託運営していただいている会社も非常に協力的に考えて頂いている。現在、院内保育園運営委員会では病児保育に係る具体的なスペースの選定を課題としており、必要な設備等も含め、関係部署と打ち合わせを進め、早急な設置を目指す。O-7-6消化器外科医を減少させないために！若手専攻医の満足度向上の取り組み姫路赤十字病院　外科○伏ふしみ見　卓たくろう郎、遠藤　芳克、信久　徹治、松本　祐介、甲斐　恭平消化器外科医が対応する疾患は多岐に渡る。待機的手術に加え夜間休日の緊急手術、病棟管理、術前術後の薬物治療、終末期がん患者の緩和ケアなど幅広い業務に従事している。医師数が増加する中で 20 年前と比較して消化器・一般外科医のみが唯一減少している。消化器外科医激減時代のなかで、消化器外科医を減少させないために、若手専攻医の満足度向上が重要と考える。当科の取り組みと今後の課題について発表する。まず第一に、積極的に手術機会を提供している。外科医を志す者にとって手術は重要な経験である。手術機会により、自己のスキル向上とやりがいを得ることを促している。第二に、全科当直を免除している。これにより手術に集中しやすくなり、ストレス軽減につながっている。第三に、チーム制を導入しており、仕事とプライベートのバランスを取りやすくしている。しかしながら、今後の課題も存在する。第一に、ロボット手術の増加により、若手専攻医の執刀機会が減少する可能性がある。この課題に対処するためには、大学病院など関連医局との連携が不可欠である。第二に、他科医師やコメディカルとの協調性が求められる。外科医の負担が減っても、他職種の負担が増えては好ましくない。最後に、メンタル面でのサポートが欠かせない。外科医の仕事は精神的な負担が大きいためストレスやうつ病などのリスクに備えたサポートが必要である。若手専攻医の満足度向上は、外科医を志す研修医の増加につながる。それが消化器外科医全体の増加につながり、長期的な消化器外科診療につながっていく。また同時にこれらの取り組みは働き方改革にも寄与している。今後も満足度向上の取り組みを継続し、外科医の育成に努めていく。O-7-5職員満足度調査の活用	ー課題の抽出と改善の取り組みー福井赤十字病院　院長 1）、株式会社日本経営 2）○小こまつ松　和かずと人 1）、山崎久美子 1）、土田　勇樹 1）、齋藤　裕一 1）、 松浦総太郎 2）【背景と目的】福井赤十字病院では職員満足度調査として 2017 年度から「ES Navigator II」を用いたアンケートを行ってきた。職員の満足度だけでなく、意欲も含めた活性状況を測定し、他院とのベンチマークが可能であり、改善ポイントを知ることができるという特徴がある。今回、過去に遡って結果を部署毎に観察し、課題を抽出し、改善に取り組んだ結果を報告する。【ES Navigator II について】組織の活性度を職員の意欲と満足度によって定義し、結果系６設問で評価する。また組織の一体感、適切な人事マネジメント、仕事のやりがいの３分野を各５カテゴリー、合計 45 の要因系設問で評価する。その他の設問９問を合わせ合計 60 問の設問で構成される。結果系の評価（意欲の高低、満足度の高低）はどのような要因で影響されるのか、要因系の結果を決定木分析で解析する。【結果と考察】当院の活性度・組織タイプは全体としては常に活性型組織（意欲も満足も高い）に属していたが以下のような課題が指摘された。１）特定の部署で著しく活性度の低い結果が続いており、早急な介入が必要と考えられため人事的措置を含む対応を行なった。２）R プランの施行に反応したかのような、昇進、給与に対する不満足な結果が明らかになった部署がある一方部下との積極的面談を行ってむしろ評価が改善した部署もあった。３）組織、部署の上司（リーダー）によって評価が大きく変容していた。２）とも併せると上司の重要性が認識される一方、組織運営が属人的となり得る危険性を孕んでいるものと考えられた。【まとめ】自己評価と上司からの評価で人事評価が行われている当院では、本アンケートは職員からの上司・病院幹部・病院に対する評価を知る重要なツールであり、一層の活用を目指している。

Undetermined

消化器外科医を減少させないために！若手専攻医の満足度向上の取り組み

伊藤, 辰哉

中山, 正吾

山本, 晃義

村井, 由紀子

宮瀬, 貴子

228O-5-61二次救急医療施設であるA病院における RRS の導入効果と課題八戸赤十字病院　看護科○十じゅうもんじ文 字淳あつし士、佐藤　千雪[ 背景 ] 当院は 2 次救急であり軽症から重症まで様々な患者が入院する。当院でも急変予防の観点から 2022 年より RRS を導入しており、2 年が経過した今、導入後の結果と課題を報告し今後の活動を検討する。[ 活動内容 ] 委員会立ち上げ後マニュアル整備を行い、活動時間を平日日中、対象を院内全体とし運用を開始した。活動開始後、要請時の患者対応と並行して、事例の振り返りやフィードバック、各病棟で学習会を開催、毎日のラウンド、周知活動を実施。RRS 立ち上げ翌年から 24 時間体制とし活動している。[ 結果 ] 新規入院患者 1000 人あたりの予期せぬ死亡者数は導入前年4.4 件 / 年、導入年 1.1 件 / 年、導入翌年 0.5 件 / 年。RRT 出動件数は 3 ～ 7 件 / 月、ラウンド時の相談件数 2 ～ 5 件 / 月であった。[ 考察 ]RRS 導入後予期せぬ死亡者数が減少しており、RRS が急変予防に一定の効果を示していると考える。その要因として、病棟スタッフへの学習会や事例の振り返りが、要請者の「気づき」の能力向上に寄与し、急変前の相談や RRT 要請に繋がったと考える。しかし現状の課題として、1)RRT 要請件数が少ない、2) 病棟スタッフの医師間連携不足、3)RRT 介入後の治療変更や観察不足、4) 患者のスクリーニング不足、5) 夜間の RRS コール増加等の問題が挙げられる。上記問題を改善していくために、リンクナース設置と教育、スクリーニングツールの活用、CCOT 設立、RRT 介入後のフォローアップ強化が必要であると考える。[ 結論 ] 当院においても RRS 導入は急変予防に一定の効果を示している。しかし多くの課題が明らかとなった。より効果的なシステムにするため、評価を定期的に行い、課題を明らかにして改善に取り組み、当院に合ったシステムを構築していくことが必要である。O-5-60RRS は死亡転帰事例でも有意義である京都第一赤十字病院　救命救急センター 1）、京都第一赤十字病院　集中治療科2）、京都第一赤十字病院　看護部 3）○竹たけがみ上　徹てつろう郎 1）、堀口　真仁 1）、山崎　正記 2）、田畑　雄一 2）、 山中真知子 3）、糀谷　枝美 3）、五十嵐佳奈 3）、稲波　享子 3）、 高階謙一郎 1）【はじめに】予期せぬ心停止などでの死亡退院は望ましくなく、心肺停止前での介入が期待され Rapid Response System(RRS) 導入が保険収載されるようになった。当院でも 2018 年より導入開始し、2020 年より 24 時間に拡大した。しかし、急性期病院ではある頻度で病状悪化し死亡退院となるが、死亡転帰例でも RRS では Code Blue(CB) とは違う面があると思われる。【方法】2021 年 4 月から 2024 年 3 月までの約 3 年において、CB や RRS の要請数、要請理由疾患、死亡転帰への関与、そして病院全体の死亡率との関連について検討を行った。【結果】CB 要請件数は 2021 年度から年 43 件、49 件、26 件で、RRS は 11 件、38 件、53 件と増加した。全入院患者に対する死亡率は年 2.0%、2.7%、2.9% と年々上昇した。死亡転帰例における CB関与率は 6.3%、7.3%、3.4% であったが RRS 関与は 1.0%、2.6%、3.9% と増加を示した。要請理由疾患群は CB では循環器系疾患が多く次に呼吸器系、消化器系と続き、RRS では呼吸器系疾患が最も多く次に循環器系、消化器系と続いた。【考察】高齢多死社会において急性期病院では死亡率は年々上昇する事は避けられないが、RRS で病態悪化を早期認知し心肺停止前に介入することはできる。RRS 体制充実で、突然の予期せぬ心肺停止での死亡から一部は治療関与した後の予期された心肺停止に移行している事が示唆され、要請理由疾患としては循環器系疾患より呼吸器系疾患で介入効果があると考えられた。【まとめ】RRS により、死亡例であっても心肺停止前から介入した予期された死亡に移行でき、特に呼吸器系疾患発症において効果があった。O-5-59特定行為研修終了看護師を中心にした当院 RRS4年間のコードブルー件数の変化高松赤十字病院　救急科部 1）、高松赤十字病院　院長 2）、	高松赤十字病院　副院長 3）、高松赤十字病院　看護部 4）○伊いとう藤　辰たつや哉 1）、中山　正吾 2）、山本　晃義 3）、村井由紀子 3,4）、 宮瀬　貴子 4）[ はじめに ] 当院では特定行為研修終了看護師を中心に RRT(Rapid Response Team)組織し、2020 年 6 月より RRS を開始した。開始から 3 年経過しいくつかの成果が得られたので報告する。[ 結果 ] RRS 要請の元となる NEWS(National Early Warning Score) は、2020 年度は 2347 件、2021 年度 4225 件、2022 年度 4453 件、2023 年度5688 件と増加した。2020 年度 12 件の RRT 要請出動件数が 2021 年度 22 件、2022年度 41 件、2023 年度には 66 件に増加した。コードブルー ( 当院では Call 9 と称している ) は、2020 年度 37 件が、2021 年度 59 件、2022 年度 51 件、2023 年度は 40件であった。当初 RRT 出動件数が少なかったが、2022 年 5 月より、RRT が独自に高リスク患者のスクリーニングするようになってから RRT 要請件数が増加し、合わせてCall 9件数が減少に転じた。[考察]当初NEWS件数・RRT要請件数は増えなかった。看護部内での周知やRRTが病棟ラウンドを始めることでNEWS件数が増加した。NEWS 件数が増えることで RRT 及び Call 9 の要請件数が一時増加したが、RRT がラウンド開始することにより Call 9 は減少に転じた。特定行為研修終了看護師を中心とした RRT であり、身につけた臨床推論を元に的確に対応が出来たことで病棟看護師の信頼を得たものと考える。RRS が始まり NEWS 評価が病棟で行われるようになったことで病棟看護師の意識付けとなった。急変の前に RRT への相談が出来るようになり、結果として予期せぬ急変・心停止が減少してきているものと思われる。[ 結語 ] 特定行為研修終了看護師を中心とした RRT を組織し、Call 9( コードブルー ) 件数を減少することができた。O-5-58病室で空気清浄機を準備した際、絶縁監視装置が発報した経験をして秋田赤十字病院　医療安全推進室 1）、医療技術部　機器管理課 2）○松まつた田　光こうき喜 1,2）、五十嵐淑恵 1）、宮澤　秀彰 1）【はじめに】当院では飛沫感染の対策のひとつとして空気清浄機「クリーンパーティション（日本エアーテック ( 株 ) 製）」を使用している。今回、病室でクリーンパーティションを準備した際、絶縁監視装置が発報し、臨床工学技士が対応した経験をしたので報告する。【事例】看護師が病室でクリーンパーティションを 2 台準備し、電源を壁の緑コンセント（非接地配線方式、無停電電源）に接続した際、絶縁監視装置が発報。臨床工学技士に連絡し他の回路のコンセントから電源を取り使用可能となった。【方法】クリーンパーティションの各種漏れ電流を測定した。対象機器：クリーンパーティション 8 台。漏れ電流チェッカを使用し、待機状態（運転 OFF）での「接地漏れ電流」、「接触電流」をそれぞれ「正常状態」、「単一故障状態」について測定した。【結果】正常状態で接地漏れ電流 0.540 ～ 0.563mA、接触電流 0.000mA、単一故障状態で接地漏れ電流 0.704 ～ 0.742mA、接触電流 0.540 ～ 0.563mA であり、正常状態の接触電流以外 0.5 ｍ A を超える漏れ電流であった。【考察】正常状態で 0.5 ｍ A の接地漏れ電流が常に流れているため、2 台使用で 1.0ｍ A を超え、他に同じ回路に接続されているものがあると容易に絶縁監視装置の上限値である 2.0 ｍ A を超えてしまうと考える。接触電流が正常状態・単一故障状態共に JIS 規格値よりも高いことから医用プラグ（3P）の接地極の破損はミクロショックのリスクがあるため使用前後での点検が重要であると考える。【まとめ】非医療機器を病室で使用する場合、漏電リスクを把握したうえで使用することが望ましい。壁面コンセントに接続するものは全てユーザー側の責任であるため、このような事例は臨床工学技士のみならず、医療従事者は知っておく必要がある。O-5-57排泄要因にアプローチした転倒防止の結果と効果福岡赤十字病院　循環器内科心臓外科病棟○松まつお尾美み な こ奈子目的超高齢化を迎えるとされる 2025 年問題に関連し、心不全患者は増加の一途をたどるとされている。循環器・心臓外科病棟である A 病棟は、利尿剤を投与している心不全患者が多く、下肢浮腫や呼吸苦がある中、頻回な排泄行動で転倒に至るケースが目立ち、2021 年の年間転倒件数は 49 件であった。排泄ニーズを把握することが転倒防止になると考え取り組んだ。方法2021 ～ 2023 年度の転倒件数及び要因分析を行った。2022 年 4 月排泄チェック表による排泄パターンの把握を推進し、11 月排泄チェック表に関するスタッフ意識調査を行った。排泄チェック表活用不足が分かり、排泄アセスメント学習会と排泄チェック運用ルールを決定した。カンファレンスで排泄チェック表用いたアセスメントを重ね、多職種で患者指導を実施する段階を踏み、2023 年 11 月再度スタッフ意識調査を行った。倫理的配慮個人が特定できないよう十分な倫理的配慮を行い、所属施設の看護部の承認を得た。結果排泄チェック表を用いたニーズ把握から安全な排泄介助のアセスメント、多職種含めた患者指導により、2023 年度転倒件数は 24 件（排泄要因 9 件）と前年度の 42 件（排泄要因 19 件）から約 4 割減少した。スタッフ意識調査では取り組みが転倒防止につながったと 9 割が回答し、排泄誘導の必要性や常時見守りの判断など看護に反映していると記載があった。また失禁や離床センサー利用が減ったと記載があった。考察排泄チェックの運用ルールを決めたことや、カンファレンスでアセスメントを重ねたことで、患者に応じた安全な排泄介助を強化できた。人間の生理的欲求である排泄ニーズを把握することは、自立支援や失禁予防、行動抑制解除の看護に繋がり、安全な看護と患者の尊厳を守ることを両立させた。結語排泄ニーズを把握することで、患者に応じた転倒防止ができた。この取り組みにより看護の質向上が図れた。O-5-56診療放射線技師部門の医療安全活動について日本赤十字社和歌山医療センター　放射線治療技術課○湯ゆあさ浅　大だいすけ輔、荒井　一正、魚崎　　操、池上　達義【背景・目的】2023 年 2 月に医療安全対策加算 1 に関する施設基準（3）の業務改善計画書の見直しを担当したことから 2024 度から診療放射線技師部門の業務改善計画書を作成することとなった。作成するにあたりインシデント報告を集計するとともに医療安全活動を振り返ったのでこれまでに取り組んできた診療放射線技師部門の医療安全活動について報告する。【方法】2019 年 4 月にインシデント報告方法を手書きのレポート報告から病院全体のインシデント報告システムに変更した。インシデント報告を推進するために記載例を作成し、毎月の会議資料で全技師に事例を共有した。これにより詳細なインシデント分析が可能となり、確認不足が主な要因であった一般撮影の再撮影や放射線治療計画時のインシデントに対して業務改善活動を開始した。一般撮影では、撮影手順の見直しや指先呼称確認の導入、装着物による再撮影対策に対して装着物を取り外す内容の説明書を作成、フラットパネル使用方法の見直しにより業務の標準化に取り組んだ。放射線治療では、診療放射線技師用の放射線治療計画チェックシートの見直しや FMEA（故障モード影響解析）を用いた医師の放射線治療計画チェックシートの作成に取り組んだ。【結果】インシデント報告件数は、2019 年度 753 件、2020 年度 911 件、2021 年度 931 件、2022 年度 621 件、2023 年度 762 件。一般撮影の再撮影は、2021 年度をピークに 39.5％減少、放射線治療計画時のインシデントは、2019 年度をピークに 80.6％減少した。　【結論】インシデント報告による業務改善活動で確認不足によるインシデントを低減できている。

特定行為研修終了看護師を中心にした当院RRS4年間のコードブルー件数の変化

成富, 未果

浦下, 周一

上木原, 健太

坂口, 健

平山, 亮

宮本, 智也

小島, 丈典

松川, 舞

鈴木, 龍介

24310月18日㈮　抄録一般演題（口演）The Japanese Red Cross Medical SocietyO-10-40腹臥位呼吸療法が奏功した侵襲性肺炎球菌性肺炎の 1例長浜赤十字病院　医局科 1）、長浜赤十字病院　集中治療科 2）、	長浜赤十字病院　糖尿病・内分泌内科 3）○阪さかがみ上　桃ももほ帆 1）、長門　　優 2）、児玉　憲一 3）【背景】無菌的部位から肺炎球菌が検出された感染症を侵襲性肺炎球菌感染症とよび，抗菌剤が発達した現在においても，重篤な後遺症を残し致命的となり得る．今回我々は，侵襲性肺炎球菌感染から重症肺炎，敗血性ショックに至り，危機的状態に陥った症例において，腹臥位呼吸療法が奏功し独歩退院し得た 1 例を経験したので報告する．【臨床経過】症例は 60 代男性．呼吸困難感を主訴に当院へ救急搬送された．来院時，呼吸は促迫し，口唇チアノーゼ所見，酸素飽和度の低下を認め，呼吸不全の状態であった．CT 検査で左肺下葉を中心に浸潤影を認め，尿中肺炎球菌抗原陽性であり，肺炎球菌性肺炎疑いにて緊急入院となった．後日，血液培養 2 セットから肺炎球菌が同定され，侵襲性肺炎球菌感染症と診断した．抗菌剤投与に加え，呼吸不全に対して人工呼吸器管理を行ったが，陽圧換気下で P/F 比は 59 と呼吸状態の改善は得られず，また敗血症性ショック，DIC，急性腎不全も合併し，重篤な状態となった．通常の呼吸管理では効果が得られず，また低酸素血症遷延の原因として下肺背側病変が考えられたため，腹臥位呼吸療法を実施した．その結果，肺背側の含気が良好となり，酸素化の改善を得た．その後は徐々に呼吸状態が安定化し，第 21 病日に人工呼吸器から離脱，リハビリテーションを経て，後遺症を残さず第 46 病日に独歩退院となった．【結論】腹臥位呼吸療法は，換気の均一化による酸素化の改善や，肺胞の圧損傷の減少など，重篤な急性呼吸不全状態の改善に寄与する可能性がある．一方で，効果が見込める対象を選択する必要性や，循環動態の変動やライントラブルなど合併症に十分留意することが重要である．O-10-39急性大動脈解離手術中にAndexanet	Alfa を使用しヘパリン抵抗性を示した 1例熊本赤十字病院　心臓血管外科○成なりとみ富　未み か果、浦下　周一、上木原健太、坂口　　健、平山　　亮、宮本　智也、小島　丈典、松川　　舞、鈴木　龍介はじめに：直接経口抗凝固薬（Direct Oral Anticoagulant 、以下 DOAC）はワーファリンに比べ、凝固系のモニタリングが必要なく、出血性合併症が減少するため近年幅広く使用されるようになった。DOAC 服用患者の緊急手術時における致命的な出血の発生報告もあり、その中和薬であるアンデキサネット アルファ（Andexanet Alfa：以下 AA）を術前、術中に使用する機会も増えてきている。AA は優れた止血効果を示す一方で、手術前の AA 投与により手術中のヘパリン抵抗性を示した症例が海外にて報告されている。急性大動脈解離手術中に AA を使用し、ヘパリン抵抗性を示した１例を経験したので報告する。症例：９３歳女性。心房細動、脳梗塞の既往があり DOAC を内服中。突然発症の胸痛が出現し改善しないため当院へ救急搬送された。急性大動脈解離 Stanford A 型、心タンポナーデを合併しており手術適応と判断した。DOAC を内服していたため、術前に AA 投与を考慮したが、溶解に時間を要したため手術開始を優先し手術開始後に AA 投与を開始した。執刀開始時にヘパリン投与、活性化凝固時間（Activated Clotting Time、以下 ACT）が有効域に達したのを確認し人工心肺装置の使用を開始したが、AA 投与後から ACT が低下し術野内に凝血塊が出現した。ヘパリン追加等の処置を行うも ACT の改善なく、AA の影響と考え AA を終了したところ ACT の再延長を得られた。手術は問題なく終了し、術後は出血合併症や血栓塞栓症はなく術後 53 日目にリハビリ転院となった。考察：AA は海外での報告同様に、国内の使用においてもヘパリン抵抗性を示した。周術期にヘパリンを使用する可能性がある場合は AA を投与するタイミングに注意が必要である。O-9-66妊娠中の乳癌症例の検討武蔵野赤十字病院　乳腺外科 1）、武蔵野赤十字病院　病理診断科 2）○松まつだ田　　実みのる1）、笠原　　舞 1）、鳥屋　洋一 1）、櫻井うらら 2）、 瀧　　和博 2）今回、妊娠中に乳癌治療を行った 4 例を経験したので報告する。1 例目は 40 歳。2017 年 6 月から右乳頭分泌でフォローされていた。2018 年 8 月腫瘤が見られ細胞診が classV で乳癌と診断され当科を紹介された。来院時妊娠 10 週であった。キャンサーボードに提示し各科の意見と倫理委員会の許可を得て、妊娠 16 週で全身麻酔下に Bt ＋ Ax を行った。その後妊娠 39 週で誘発分娩を行った。2 例目は 37 歳。2016年 2 月右乳癌で Bp ＋ SN を他院で施行。術後補助化学放射線治療を受けていた。その翌年 2017 年 7 月に出産していた。出産の 4 か月後右乳房内再発が見られ、Bt+Axの手術を施行された。2021 年 9 月に妊娠が確認され、2022 年 1 月に左乳房腫瘤が見られ精査の結果は乳癌であった。手術目的で当科を紹介された。初診時妊娠 15 週であった。キャンサーボードに提示し、妊娠 20 週で Bt ＋ Ax を行った。術後妊娠中に wPTX を行い、妊娠 37 週で帝王切開を行った。3 例目は 33 歳。妊娠中に右乳房腫瘤を指摘され 2023 年 8 月妊娠 23 週で当科を受診された。精査の結果は右乳癌でキャンサーボードに提示し、術前化学療法後の妊娠 37 週での帝王切開後の術前化学療法継続後の乳癌手術となった。11 月に妊娠 37 週で帝王切開を行い、その後Pembro+CBDCA+PTX を開始した。4 例目は 35 歳。2024 年 1 月妊娠初期スクリーニングで左乳房腫瘤を指摘された，針生検で浸潤性乳管癌だった。加療目的で当科を紹介された。初診時、妊娠 25 週であった。キャンサーボードに提示し術前化学療法後の妊娠 40 週での帝王切開後の化学療法後の乳癌手術となった。妊娠中の乳癌症例は病期・サブタイプだけではなくその癌の発見時期により治療法が異なる。これらの診療経過と各科の説明内容、妊娠中の手術・化学療法について文献的考察を加え報告する。O-9-65脳性麻痺を合併した妊婦に対する緊急帝王切開術の一症例沖縄赤十字病院　麻酔科○小こにし西　華はなこ子、大城　美哉脳性麻痺による両下肢運動麻痺と開脚制限のため経腟分娩が不可能な妊婦に対し、選択的帝王切開術が予定された。麻酔科術前診察で脊髄くも膜下麻酔と全身麻酔両方の方法と合併症、帝王切開術における利点・欠点について説明した。前期破水のため緊急帝王切開術となった際、患者の希望する全身麻酔を施行し、母児ともに良好な経過をとった。術後は経静脈的自己調節鎮痛法を主とした多剤併用鎮痛法を施行し、疼痛コントロールは良好で神経筋症状の悪化は来さなかった。脳性麻痺を合併する症例では、麻酔方法や合併症等についての詳細な説明と同意形成ならびに十分な術後鎮痛を施行することが重要である。 また当院は地域周産期母子医療センターであり、関係各部署合同で定期的に超緊急帝王切開術の模擬訓練を行い、知識と技能の維持向上、各部署との連携を図っている。今回は超緊急ではなかったが全身麻酔下帝王切開術に際し安全に施行することができ、訓練の重要性を再認識した。O-9-64小児科診察におけるインシデント防止のための仕組み作り東京かつしか赤十字母子医療センター　看護部○山やまかわ川　早さなえ苗、稲田　裕子【目的】当院の産科病棟における小児科診察は、生後 24 時間以内に行う「初回診察」、生後 4 日目に行う「退院診察」、入院中に黄疸や嘔吐など気になる時に依頼する「その他診察」がある。小児科診察において、二重診察、それに伴う二重採血、診察に使用する針やラベルの紛失などのインシデントが複数発生した。その要因には、確認不足、思い込みがあった。小児科診察は平均１５名の児に対し、産婦人科病棟に小児科医師が１～５名程度来棟し、看護スタッフ１名が介助を行ことから多重課題となり時間切迫感が生じていた。小児科医師の中には非常勤医師がおり、看護スタッフも不慣れなことがあり、多くの新生児の情報を誰もが明確に把握し診察を安全に行うための仕組み作りが必要だと考えた。【方法】小児科診察の準備から終了までの業務フローを分析し、課題を抽出した。診察準備台の環境整備をを行い、コットの中にカルテや針およびラベルを予め準備することを廃止した。診察時に必要な物品やラベルを実施する医師が確認し準備をする運用に変更した。また、シグナルカードを作成し、黄色を「初回診察」赤色を「退院診察」緑色を「その他の診察」とし、準備時にコットにたてることで、診察対象児とその種類を明確化した。【効果】準備から診察までの業務フローの変更後、二重診察および二重採血、物品紛失のインシデントは発生しなかった。アンケートにより看護スタッフおよび小児科医師から対象児や責任の所在が明確となったという意見が聞かれた。また、シグナルカードの活用により準備の時間に余裕ができ、看護スタッフの準備時の時間切迫感が解消された。O-9-63精神科併設のない周産期母子医療センターでの妊産婦の精神疾患への対応と課題石巻赤十字病院　医療技術部　臨床心理課○柴しば　　春はるな菜当院は精神科が併設されていない周産期母子医療センターであり、精神疾患に対する治療や対応が必要と思われる妊産婦に対しては、精神科を開設している他医療機関への受診を促すか、精神科が併設された医療機関での分娩を検討する必要がある。また、過去に精神疾患を罹患し他医療機関にて治療を受けていたが、何らかの理由で治療を自己中断した妊産婦についても、精神症状の悪化を予防するために改めて精神科受診を促すことが望ましいとされている。当院ではメンタルヘルスへの対応が必要となるハイリスク妊婦に対して早期から対応できるよう、初回の妊婦健診にて全ての妊婦へ EPDS を実施し、助産師による保健指導時に精神疾患既往の有無を確認した上で、精神面のサポートが必要と思われる妊婦に心理士による面談を適宜実施している。しかしながら、EPDS の得点や受診時の精神状況等から心理士の面談へとつながった妊産婦のうち、精神科受診が必要と思われる状況であってもなかなか受診へ繋がり難い事例も存在する。そこで、当院における精神疾患合併妊娠および精神疾患既往歴のある妊産婦のうち、心理士が面談を実施した症例をもとに精神科受診を困難にさせている要因を探り、精神科との連携における課題について検討する。

急性大動脈解離手術中にAndexanet Alfaを使用しヘパリン抵抗性を示した1例

58企画・セッション　本社企画10 月 17 日（木）15:10 ～ 17:10　第 2 会場（仙台国際センター　会議棟２F　橘）臨床研修推進部会／医療事業推進本部第 60 回日本赤十字社医学会総会Red Cross Resident Super Arena in Ishinomaki 2024（研修医症例検討会）責任者：中房　祐司（臨床研修推進部会　部会長・福岡赤十字病院　院長）世話人：横江　正道（臨床研修推進部会　部会委員　　　　　　　　　　日本赤十字社　医療事業推進本部　医療の質・研修部次長）　　　　古川　　真（釧路赤十字病院　第三内科部長）　　　　米原　利栄（釧路赤十字病院　第一産婦人科部長）　　　　尾本　篤志（京都第一赤十字病院　総合内科部長）　日本赤十字社では、全国の赤十字病院で日々、臨床研修に勤しんでおられる研修医の皆さんに、日頃の研修成果を発揮していただく機会として Dr.G 形式を用いた症例検討会を行っています。　ご応募いただいた病院から２～３名の研修医を 1 チームとして、病院対抗の団体戦を行います。指導医からの症例提示に対し、“診断推論”や“Problem Oriented Solving ”を用いて叡智を尽くして回答していただきます。「研修医の！研修医による！患者さんのため！」の核心に迫る症例検討会を目指します！　ただし、正解だけが予選通過の条件ではありません！「ユーモアな発言」や「貴重なアイデア」も審査員がポイントとして評価します。　この“Red Cross Resident Super Arena in Ishinomaki“は参加いただく全ての研修医が主役です。　この企画には、研修医や上級医、指導医のみならず、本学会に参加される皆さんが研修医の応援隊として参加可能となっております。どうか、たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。＜参加病院・33 施設＞　旭川、釧路、盛岡、仙台、石巻、那須、足利、前橋、さいたま、深谷、みなと、長岡、富山、　高山、岐阜、名一、名二、伊勢、大津、長浜、京一、京二、姫路、神戸、広島・原爆、徳島、　高松、松山、高知、福岡、唐津、熊本、沖縄

本社企画４　「第60 回日本赤十字社医学会総会　Red Cross Resident Super Arena in Ishinomaki 2024（研修医症例検討会）」

江澤,康平

中田,託郎

大岩,孝子

大鐘,崇志

虫垂炎疑いで救急外来を紹介受診した症例の検討

The Japanese Red Cross Medical Society1第 60 回日本赤十字社医学会総会抄　録　集メインテーマ　未は な来は咲く ～可能性の開花～ Get over yourself会　長：	 石橋　　悟（石巻赤十字病院　院長）会　期：	 2024 年 10 月 17 日（木）・18 日（金）会　場：	 仙台国際センター		 〒 980-0856　仙台市青葉区青葉山無番地		 TEL：022-265-2211担　当：	 東北ブロック	 八戸赤十字病院	 秋田赤十字病院	 盛岡赤十字病院	 仙台赤十字病院	 福島赤十字病院	 石巻赤十字病院（当番病院）参加受付・総合案内：仙台国際センター会議棟２階ホワイエ・展示棟１階会議室３

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日赤医学第74巻１号表題紙

新谷,恒弘

北,英典

創傷を伴う重症下肢虚血（CLTI）に対する血行再建術後の予後についての男女差比較

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